1,800円以上の注文で送料無料

土の文明史 の商品レビュー

3.6

23件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/03/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・気候変動が今後どのような影響を人類に及ぼすかという疑問から手に取った一冊であったが、私にはいささか難しいすぎ、また自分の知りたかった部分の記述は意外と少なく流し読みになった。 ・しかし学びは幾つかあった。土地が支えられる以上に養うべき人間が増えた時、社会的政治的紛争が繰り返され、社会を衰退させた。 ・肥沃な谷床での農業によって人口が増え、それがある点に達すると傾斜地での耕作に頼るようになる。植物が切り払われ、継続的に耕起することでむき出しの土壌が雨と流水にさらされるようになると、急速な斜面の土壌侵食が起きる。その後の数世紀で農業はますます集約化しそのために養分不足や土壌の喪失が発生すると収量が低下して人口を支えるには不十分となり、文明全体が破綻へと向かう。 ・人口統計学によると2050年までは世界人口は増え続け、人口が増えると経済活動は活発になるという。経済活動は環境への影響のみを考えるとマイナスに働く。 ・つまり環境難民は今後もっと増加するだろう。世界は人口を減らすための方策を分からないように取るだろう。そうなった時の今後の自分の身の振り方を考えなければいけないと思わされた一冊であった。

Posted byブクログ

2022/09/17

原題は「Dirt:The Erosion of civilization」=「泥:文明の浸食」。その名の通り、文明がいかに表土を侵食し、貴重な資源を食いつぶしてきたかという歴史である。人類が農耕を始め、鋤を使って土を耕起するようになってから表土の流出が始まった。それは、ローマ帝国...

原題は「Dirt:The Erosion of civilization」=「泥:文明の浸食」。その名の通り、文明がいかに表土を侵食し、貴重な資源を食いつぶしてきたかという歴史である。人類が農耕を始め、鋤を使って土を耕起するようになってから表土の流出が始まった。それは、ローマ帝国やマヤ文明を滅ぼし、今もアフリカの飢餓を招き、アメリカや中国を衰退させようとしている。それに拍車をかけたのが、石油から生み出した肥料を土に施して収量を増やす「緑の革命」だった。しかし、遺伝子操作と農業化学による収穫増は、もはや限界に来ている。有限の資源である土を、いかに保全し持続させてゆくか。そこに人類の未来がかかっている。

Posted byブクログ

2021/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 土壌を大切にしなければ、文明は崩壊するということがこの本では伝えています。私は、ジャレドダイヤモンド氏の著書を読むなかで、土の大切さに気づき、より詳しく知りたいと考え、「土の文明史」を読むことにしました。ただ、中盤の内容がほとんど繰り返しになっており、冗長でそこまで面白くはありませんでした。  しかしながら、土壌やミミズの説明。表土を大切にするためには、自然農法が効果的であること。現在の二酸化炭素の三分の一は土を掘り起こすことで発生している。現行農法は必ずしも正解ではないこと。など、参考になる視点は多くありました。  私はこの本を通して、自然農法により興味を持つことができたので感謝しています。

Posted byブクログ

2021/07/31

土壌流出が農業をする限りは宿命的についてまわる問題であり、過去の文明に大きなダメージを与えてきたことを明らかにしてくれる。 しかしながら冗長かつ散漫な書きぶりもあって、今日の文明にとってもどれくらいの深刻度の問題となっているかが今ひとつ見えてこない。著者は緑の革命の成果などに否...

土壌流出が農業をする限りは宿命的についてまわる問題であり、過去の文明に大きなダメージを与えてきたことを明らかにしてくれる。 しかしながら冗長かつ散漫な書きぶりもあって、今日の文明にとってもどれくらいの深刻度の問題となっているかが今ひとつ見えてこない。著者は緑の革命の成果などに否定的なのだが、いまだ農業生産は右肩上がりに増え続けているしねえ。

Posted byブクログ

2021/06/30

非常に面白いテーマだが、古代帝国から近代国家まで、土壌の侵食が進んだ経緯や斜面耕作地や限界地まで切り詰めて行った流れが繰り返し同じであり、読み物として退屈させる内容だった。 シュメールやローマ、帝国時代の欧米など、根本を辿れば侵食で土壌喪失したことが文明崩壊や人口破綻の原因となっ...

非常に面白いテーマだが、古代帝国から近代国家まで、土壌の侵食が進んだ経緯や斜面耕作地や限界地まで切り詰めて行った流れが繰り返し同じであり、読み物として退屈させる内容だった。 シュメールやローマ、帝国時代の欧米など、根本を辿れば侵食で土壌喪失したことが文明崩壊や人口破綻の原因となった印象を受ける。 共通して言えるのは侵食の進行はある程度時間を伴うため、どの社会も目先の利益を優先させてしまう点。 これからの人口を養うための取り組みとして、小規模で有機・不耕作のシステムを提唱している

Posted byブクログ

2019/07/16

他のレビュワーも触れている通り『文明崩壊』でそのエッセンスは要約されているので、趣味の読書の範囲においてはそちらを薦める。

Posted byブクログ

2018/11/06

『銃・病原菌・鉄』を補完するという評もあったので読んでみた。さすがに、ずーーーーーーーーと土の話で、まいった。途中からはとばし読み。もっと土が好きになったら読み返す。

Posted byブクログ

2017/04/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かったけど、後半に向かうにつれてちょっとタレた。先に『文明崩壊』を読んでいて、巻末の参考文献リストから飛んできて手に取った本でしたが、この本における主要なエッセンスはがっつり『文明崩壊』の方で要約されてしまっていたということが読み進めるごとに明らかに。 つまるところ、程度の差こそあれ、過去に崩壊した様々な文明や、現在進行形で消滅の危機にある地域の疲弊の原因は良質な土壌の流出によるものなんですよ、ということを一冊を費やして何度も何度も繰り返し論じている、というのがこの本の軸です。中盤あたりでそれが読み取れてしまうので、あとは章ごとに新たに出てくる各地の事例を各論として読むだけ、となってしまいます。 土のことだけ抜き出して詳しく知りたい、という方にとっては良質な参考書となるでしょう。土以外の要素も含めて文明の疲弊や崩壊について知りたいのなら、包括論になっている『文明崩壊』を読んだほうが参考になります。

Posted byブクログ

2018/09/09

 著者のモンゴメリー氏は地形学の専門家だが、人類学や社会学等幅広い視点から、土壌の大切さを訴えている。300ページを超える大著だが、著者の主張を一言で伝えると「土壌は有限の資源であり、消失速度が生成速度を上回れば、いずれ土壌は枯渇し、その文明は消え去る運命になる。」  農業という...

 著者のモンゴメリー氏は地形学の専門家だが、人類学や社会学等幅広い視点から、土壌の大切さを訴えている。300ページを超える大著だが、著者の主張を一言で伝えると「土壌は有限の資源であり、消失速度が生成速度を上回れば、いずれ土壌は枯渇し、その文明は消え去る運命になる。」  農業というと他の産業よりも環境に優しいイメージがあったが、実は有史以来自然を最も破壊した産業はこの農業だった。機械や薬剤に頼った現代の農業だけでなく、天然素材だけで行われた古代の農業も含め、土壌に対する配慮を忘れ土壌を消耗すれば後に残るのは不毛の大地だけ。メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマ…古代の文明が栄えたこれらのエリアが現在、一面の砂漠や荒涼とした大地になっているのは、無秩序な農業のせいだった。古代文明は土壌の消失により衰退したが、近代の欧州では失われた土壌を補うために植民地支配へとつながった。そして、現代は経済性を重視し、機械と薬剤で土壌の消失を加速させている。土壌はただの土でなく、再生困難な希少資源であり、食糧生産や人口を通じて、経済や社会に如何に大きな影響を与えている現実を直視しなけれなならない。  本書を通じて、著者は土壌枯渇の危険性に強い警鐘を鳴らす一方で、リスク回避のための処方箋も提案している。それは古くて新しい農法、有機農業である。有機農業では土壌を生物学、生態学的にとらえ、土壌の生産性を維持しながら作物を収穫する。正しく実践すれば、その生産性は現代の慣行農法を上回るポテンシャルがあるという。薬剤に頼らずに厩肥や被服植物を活用する有機農法は農家にとって負荷がかかるが、経済重視の米国でも有機農法が広がりつつあるという事実は、本書で述べられた数少ない安心材料である。  著者は時間、空間的に幅広い調査を行っているが、いずれも畑作の事例が中心で、アジアで盛んな米作に関する記述はない。日本で古来から続けられている米作は地形や気象の条件等の制約はあるが、持続的な食料生産に対する別解なのかもしれない。この点については著者の今後の調査活動に期待したい。  日本は地理的に高い土壌回復力に恵まれ、米作の文化が持続的な食糧生産を支えてきた。しかし、その恵まれた環境こそが、土壌資源が恒久であるかのような錯覚をもたらしているかもしれない。自分がそうであったように。足元の問題を再認識するためにも、是非、本書をお勧めする。

Posted byブクログ

2013/07/18

地質学者が論じる土壌開拓、農業の歴史を記述した本。土壌は有限の資源であり、文明の存続可否は土壌を再生可能な状態で維持できるか否かにかかっているという。思えばアルキメデスの示した四元素のひとつでもあり、先人は遥か昔からそのことに気づいていたのではないだろうか?にもかかわらず、人口は...

地質学者が論じる土壌開拓、農業の歴史を記述した本。土壌は有限の資源であり、文明の存続可否は土壌を再生可能な状態で維持できるか否かにかかっているという。思えばアルキメデスの示した四元素のひとつでもあり、先人は遥か昔からそのことに気づいていたのではないだろうか?にもかかわらず、人口は爆発的に増加の一途を辿り、土壌の汚染、崩壊は止まるどころか加速しているようにも見受けられる。人間視点ではなく地球視点、宇宙視点で農業のあり方、人類のあり方を見つめなおさなければならないように思う。

Posted byブクログ