無限と連続 改版 の商品レビュー
読了後すぐにレビューを書くのを忘れていた。そうすると、全く頭に残っていないということがはっきりわかる。1章はかろうじて分かった、と思う。カント―ルの対角線論法くらいまでなら何となく理解できるし、授業で話をすることもある。しかし、それ以降は、ところどころ分るところがあるというくらい...
読了後すぐにレビューを書くのを忘れていた。そうすると、全く頭に残っていないということがはっきりわかる。1章はかろうじて分かった、と思う。カント―ルの対角線論法くらいまでなら何となく理解できるし、授業で話をすることもある。しかし、それ以降は、ところどころ分るところがあるというくらいで、ほとんど霞がかかった状態である。本書の議論に影響はないとは思うが、三すくみの例がよくわからずに頭を抱える。「ヘビ、カエル、ナメクジ」ナメクジがヘビより強いというのはどういうことか。ネットで調べるも判然としない。そしてその後の話とどうつながっているのかも分からずじまい。群論に入るとさらに分からなくなる。素粒子論の本なんかを読んでも出て来るので、その都度何となく頭には入るのだが結局は自分のものにはなっていない。トポロジーもしかり。著者はしがきにある。「数学的自由」などということばは「丸い三角形」というほどにも不合理なことばである。本書はそのことを念頭に置いた「数学者の弁明」であると書かれている。ということは、数学にとって論理的な正確さや厳密性は欠くことのできない一つの性格ではあるが、数学の本質は自由性の中にあると考えられているのだろう。私には本書が弁明らしくは聞こえてこないのだが、「数学への招待」とはなっているように思う。もう少しちゃんと知りたい、理解したいとは思っているので。
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初版は1952年で、私の本は2022年の第67刷でした。 無限にも大小があるという不思議なことや、数字ではなくて「働き」についての話など、正直言って半分も理解できていないと思いました。 でも、はしがきに書かれている、音符が読めなくても、感受性さえあればすぐれた音楽の鑑賞家にはなれ...
初版は1952年で、私の本は2022年の第67刷でした。 無限にも大小があるという不思議なことや、数字ではなくて「働き」についての話など、正直言って半分も理解できていないと思いました。 でも、はしがきに書かれている、音符が読めなくても、感受性さえあればすぐれた音楽の鑑賞家にはなれるはずである。まったく同じように、数式なしで数字を「鑑賞する」ことはできないだろうか。 という感じで、数学の雰囲気は鑑賞できたと思います。 この本の数学は現実世界とは関係ない世界で人間が創造したものかと思われましたが、量子力学や相対性理論の世界では、これらの数学があてはまる、ということなので、こういう数学も人間が創造したのではなくて、この世界にもとからあったのを人間が発見したのかな、などと哲学的なことを思いました。
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この本は、頑張って読みましたが、達成感がありませんでした。亡くなった祖父の部屋にあったので、読みました。私は数式で計算したり考えたりするのは好きですが、この本には良い印象は持てませんでした。「理解できないものを、尊いものとありがたがる」日本人の特性に付け込んだ本のように感じます...
この本は、頑張って読みましたが、達成感がありませんでした。亡くなった祖父の部屋にあったので、読みました。私は数式で計算したり考えたりするのは好きですが、この本には良い印象は持てませんでした。「理解できないものを、尊いものとありがたがる」日本人の特性に付け込んだ本のように感じます。複数の章に分かれていますが、散漫な感じがしました。 この本は、数学の定義だけ並べて、ゴールのようなものがありません。著者だけでなく当時の(今も?)数学者は、入門とは何らかの本質を語ることではなく、「すごそうなもの」の雰囲気を定義で権威的に示すことだという感が値をお持ちなのかもしれません。私は定義だけではそれは新しい知を得たとは感じられず、むしろそれまで定義を並べ立てたのはただの目くらましのように感じてしまいます。勿論、その先に何かの知見があるのでしょうがそれには触れないので、読者として馬鹿にされている感じがしました。 かなり昔に書かれたものです。前書きには1951年とありました。アンコール復刊ということで2007年に印刷されたものです。祖父は、昔読んで懐かしくて購入したのか、何らかの知に触れられそうかと思ったのか、理由は今となっては分かりません。 今は情報がかなり手に入れやすくなりましたが、この時代は、数学のこれらの少し専門的な知識は、特権階級である学者、しかも数学の学者しか持てないものだったのでしょう。ここにある集合論、群論などの用語と定義に触れるだけで、当時の知識に憧れる人々には魅力的だったのでしょう。当時、教職か建築士をしていた祖父にとってもそのような魅力的な本に感じたのかもしれません。不変部分群の定義などをかなりしっかりとしているので、それらを使って何か主張があることを期待して読んでいました。私は群論は大学で学んだことななく、「5次方程式の解の公式が存在しない」ことの証明を知りません。ガロアの名前も出てきて、それとなくにおわすことはあったのですが、そこには話が至りませんでした。 やたらと社会を集合ととらえ、集合論や群論の説明に利用しています。当時、いろいろな概念が否定されて新しくなっていく時代の空気を感じ、それを学者の文筆業に反映させているのかもしれません。ただし、この著者が社会運動の活動をされたのかは存じません。例えも含蓄があるようには感じられませんでした。 数学者の知識が特権であるがゆえに許される本、という感じます。特に、本質的な所は専門家に限らずお互いに話し合えるものと私は考えるのですが、数学に関しては特に、用語を知らないがためにバリアを築かれる、というのが、中学高校大学でも私の経験で、特にこの本はその用語だけを売り物にしてマウントをとられるようで、大人の今となっては腹立てたりしませんが、少なくとも良書とは思えませんでした。数学が好きな人に、雰囲気を餌に引き寄せ、肝心なところを話さない、そういう本です。いつの時代も啓蒙書というのは一定の需要があり、その中の一冊という感じでした。もちろん、啓蒙書や入門書は、書くのが難しいことは承知ですし、私の感触が絶対だとは全く思いません。個人の意見ですが、私はこれを誰かに積極的には薦めません。疲れました。数学は数学者のものではない、と改めて感じました。以上。
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集合論、群論、位相空間についての一般向け入門書。いわゆる”理系”でない人にもわかりやすくしようと、数式はあまり使わないように書かれている。ただ、昔の本は最近の類似の入門書より、内容が高度だったり、例がかなり圧縮された記述でパッとわかりにくかったり、でこの本も例に漏れない。薄さの割...
集合論、群論、位相空間についての一般向け入門書。いわゆる”理系”でない人にもわかりやすくしようと、数式はあまり使わないように書かれている。ただ、昔の本は最近の類似の入門書より、内容が高度だったり、例がかなり圧縮された記述でパッとわかりにくかったり、でこの本も例に漏れない。薄さの割には内容が圧縮されていて、けっこう時間をかけて楽しめる。(この本がさらっと読めてしまう人はそもそもよむ必要があまりない人だろう)含蓄もあり古典感がある。もうちょっと具体的に、という人は同じ著者の『現代数学対話』がいいと思う。 昔の”本を読む人”は賢かった、ということもあるだろうが、今ほど本が溢れていないからもっとゆっくり読む習慣だったのかもしれないな、、なんてことをちょっと思ったりもした。
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集合論の創始者カントールが始めた破天荒の試みは「無限を数える」ことであった。それは現代数学が直面してきた課題である。難解とされる現代数学の根本概念を、数式を用いずにやさしく解説する「
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現代数学の概念、集合、群、束、トポロジー、非ユークリッド幾何学などを極力数式を使わないで平易に説明されている。平易でも抽象数学なので頭をフル回転しないといけないな。1952年に発行の岩波新書だが、現在にも価値がある一冊である。
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正直何が書いてあるのかよくわからなかった。ここまでよくわからなかったのは相当に久しぶりである。しかも新書なのに… 。そんなに数学は苦手ではなかったが本質的なところがわかってなかったということだろうか。
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無限、群、位相空間、非ユークリッド幾何学など、数学啓蒙書でよく取り上げられるテーマに関する遠山啓による著書。類書に比べて、最も短く最もわかりやすく、深さと広がりをもっている、といってよい。ゴールに向かって最短距離で急降下する話の進め方、適切な例示、一般化による広がりは数学において...
無限、群、位相空間、非ユークリッド幾何学など、数学啓蒙書でよく取り上げられるテーマに関する遠山啓による著書。類書に比べて、最も短く最もわかりやすく、深さと広がりをもっている、といってよい。ゴールに向かって最短距離で急降下する話の進め方、適切な例示、一般化による広がりは数学において最も味わうことができる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
- 多様性と単一性 - 血液型の輸血できるという関係は束 - 推理のスイッチバックによってより高い抽象へ - 変換群によって変化しない性質を扱う P81の aga^{-1} = gg^{-1} = g が分からなかった P174の引用:"ユークリッドの直線は、このモデルの「直線」に比して無条件に実在的であろうか. よく考えて見れば、そのような常識を支持する論理的根拠はひとつもみつからないのである." 非ユークリッド幾何学の'線分'ではない見た目上無限の距離を持った「直線」を当たり前のようにひょいと引いて使っているのはおかしく見えなくもない。非ユークリッド幾何学の(見た目)線分(直線)も目ではなく「手で見る」と無限の距離を持ってるけど。 今慣れ親しんでいるものが全てじゃない。
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真の教養と呼ぶにふさわしい本。現代数学の道のりとは拡張、抽象化、妥当性の確認、不変量の発見を繰り返していたのか。数学的概念の真意を知る喜びがあった。
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