文学に現はれたる我が国民思想の研究(2) の商品レビュー
この書物で言う国民思想とは、日本史を通じ、何か積極的な意味内容を持って受け継がれる不変の日本的なる何ものか、というものではなく、人々の実生活から生まれた概念によって紡がれる、というプロセスを経て生まれた思想のことである。この観点で国民思想の歴史を見ると、概念が中国からの借り物であ...
この書物で言う国民思想とは、日本史を通じ、何か積極的な意味内容を持って受け継がれる不変の日本的なる何ものか、というものではなく、人々の実生活から生まれた概念によって紡がれる、というプロセスを経て生まれた思想のことである。この観点で国民思想の歴史を見ると、概念が中国からの借り物である、主要な担い手が支配層である、等々あり、津田から見れば、武士の時代に至るまで、実生活から遊離した文学しかなく、そこに国民思想はない、ということになる。これが戦前に書かれたことを考えると記紀神話以降の国体批判であることもよく分かるが、一方で、国民の実生活から生まれる思想なるものが、別の日本的なるものを措定しているとも言えなくもない。
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