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トーラーの名において の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2024/09/10

イスラエルの存在自体を「メシアが建国すべきはずなのに人間であるシオニストが作り出した偽りの国家」だと否定する超正統派のネトゥレイ・カルタそのままな反シオニズム・反イスラエルの主張だと割り切って読むべき本。根本的な事を無視されて?単なる反イスラエルの文脈で利用されているのは、ある意...

イスラエルの存在自体を「メシアが建国すべきはずなのに人間であるシオニストが作り出した偽りの国家」だと否定する超正統派のネトゥレイ・カルタそのままな反シオニズム・反イスラエルの主張だと割り切って読むべき本。根本的な事を無視されて?単なる反イスラエルの文脈で利用されているのは、ある意味において滑稽。本文には著者はイディッシュ語の話者でないので超正統派にとってはシオニズムとイスラエル国家の象徴のような言語であるはずの現代ヘブライ語で話しているという個所がある。 著者はソ連出身で母語はロシア語のはずだが訳者あとがきを読むとソ連から出国してから使わなくなったらしい。同世代のユダヤ人で同じ頃にソ連から亡命したソロモン・ヴォルコフは蒼々たる20世紀のロシア文化の有名人と面識なり交友関係なりがあって(「20世紀ロシア文化全史」の献辞にロストロポーヴィチはあるのにヴィシネフスカヤがないのは彼女の「自伝」から検討がつくが)文化史の研究者なのでロシア語が捨てると仕事にならないのと対極的だ。

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2024/05/24

烏兎の庭 第七部 5.26.24 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto07/diary/d2405.html#0526

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2020/09/27

トーラーの名において シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史 (和書)2011年01月18日 23:46 ヤコブ・M・ラブキン 平凡社 2010年4月2日 asahi.comの柄谷行人さんの書評で知りました。 とても面白い。シオニズムとユダヤ教というものがユダヤ人がユダヤ教...

トーラーの名において シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史 (和書)2011年01月18日 23:46 ヤコブ・M・ラブキン 平凡社 2010年4月2日 asahi.comの柄谷行人さんの書評で知りました。 とても面白い。シオニズムとユダヤ教というものがユダヤ人がユダヤ教徒、イスラエル人とされることを的確にポイントを押さえながら明確にされていて参考になる。 「ユダヤ人の起源」も次に読む予定。 関係ないけど、昔は高橋源一郎の書評を参考にしていた。でもなんだか虚しい気がしてきた。柄谷行人さんを知ったのは高橋源一郎の文芸批評の本だった。それは収穫だった。そしてもう一つ収穫だったのが本を選ぶのに良い書評家を見つけることということだった。柄谷行人さんは当たっていると直観したし、それ自体は珍しいことではないと思う。ただ良い書評家を見つけて幸運だったと思う。柄谷さんの場合は書評以外にも作家としても良いです。

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2013/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イスラエルを建国したシオニストに対するユダヤ教の伝統的なラビたちの拒否反応は全く考えもしませんでしたが、確かにそのとおりです。イスラエルという現代の国家が必ずしもユダヤ教徒にとっては理想的な国ではなく、むしろキリスト教世界の帝国主義の手先として建国されたと言わんばかりの主張です。これは日本のマスコミの論調であるイスラムとユダヤ教の宿命的な対立のように書かれていることからすると全く意外なことだと思いますが、これが正統なユダヤ教の立場から考えるとそうだろうと納得できる話です。

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2013/08/03

この本が示しているのは エピローグにあるページ359〜361に凝縮されている言葉であって ユダヤ問題が人類問題の縮図でありひな形であることが読み取れる この本を例え話として客観視することで、 人類史を描き直すことができるだろう。 そのことによって人類があるいは一人ひとりが、 今...

この本が示しているのは エピローグにあるページ359〜361に凝縮されている言葉であって ユダヤ問題が人類問題の縮図でありひな形であることが読み取れる この本を例え話として客観視することで、 人類史を描き直すことができるだろう。 そのことによって人類があるいは一人ひとりが、 今何をスべきかを神に頼ることなく< 自ら導き出すことができそうだ。 つまり人類そのものが、 神達の仲間入りをすることにもなりそうなのだ。 宛がい扶持の法律に添うことから其の法をもてあそぶことを覚え、 そのイジメ合いの体験によって、 お互いが心を開き争うことをやめて、 意識を磨き合うことで個々が生み出す倫理観を得るのである。 それこそがパラダイスへの交通手形。 ユダヤの民が国家を創造する時とは、 トーラを咀嚼しきり青い鳥を自らの心に見付けて、 卒業する時ではないのだろうか。

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2012/05/25

確認先:町田市立中央図書館 ジュディス・バトラーやノーム・チョムスキーの「イスラエル国」批判やハンナ・アーレントのシオニズムへの期待と失望(そして痛烈な批判)の起源を、ユダヤ教神学のコンテクストやラビたちの意見表明などを丁寧にたどることで「イスラエル国=ユダヤ人国家」あるいは「...

確認先:町田市立中央図書館 ジュディス・バトラーやノーム・チョムスキーの「イスラエル国」批判やハンナ・アーレントのシオニズムへの期待と失望(そして痛烈な批判)の起源を、ユダヤ教神学のコンテクストやラビたちの意見表明などを丁寧にたどることで「イスラエル国=ユダヤ人国家」あるいは「シオニズム=ユダヤ教保守派」というすり替えに対するアンチ・テーゼを唱えている。 評者は対イスラエル国BDS(ボイコット、資本引き上げ、経済制裁)キャンペーンに一定の評価をしているのだが、しかし日本での運動指導グループたちが一様に「ユダヤ人=シオニスト」を自明視していることへの違和感も同時平行としてあるのだが、その違和感の根幹を本書で理解できたと考えている。彼らもまた、かの地に住むシオニスト同様、「ユダヤ教神学」やトーラーをまったく存じない地点からの空虚な放言でしかないのではないか、と本書を何度も何度も読み直すうちに理解してきたことである。 シオニズムというムーブメントを形成するに当たり、「ハスカラー」と呼ばれるユダヤ教啓蒙主義がその出発当初から「血と大地」のロマン主義に彩られていたこと、あるいは大陸ナショナリズム(byアーレント)と言語への幻想(現在イスラエル国で用いられている自称ヘブライ語は一種の人工言語であると、ラブキンはじめタルムード律法者の間で一致した見解にいたっている)やロシア語の修辞法で相手を染め上げることのみに血なまこを掻き立てた発想などは、そっくりそのまま自己安堵を得んがために行う承認欲求のそれであり、タルムードやトーラーはそれを戒めるはずではなかったのかというラブキンの叫びが聞こえてくるのである。 ラブキンは、現在多くのキリスト教シオニストという矛盾した形態が発生する原因も「まさにそれゆえだ」としている(評者としてはここに「日本・ユダヤ同祖論」のシオニズム的解釈を用いる日本人も同列に加わるであろうと見ている)。そうであればあるほど「神なき宗教」の「作為的教義」によって引き起こされる「宗教紛争」とはいかなるもので、トーラーやタルムードはそれに対抗することは、神に対していかに反逆でしかないのかという結論がユダヤ教倫理の知識がない私でも理解が及ぶ。 宗教は英雄を必要としないという中世期のタルムード律法者たちの言葉が今の私たちにも重くのしかかるのは、おそらく宗教と神話の関係を混同状態に置きやすくなってしまっているのか、あるいは宗教の権威を高めるがために神話の英雄を持ち出すことに良心の呵責がなかったか(こんなことを言うのは、おこがましいにもほどがあるが)、どちらにせよ私たちにとっての当たり前を一度根底から再考せねばならないのは事実である。

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2011/05/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これを書いた著者の気持ちを思うと、本当に感動した。 シオニズムの歴史、問題はもちろんだが、信仰心とは何かということに深く切り込んでいる。 日本でも他宗教の人との関わりが増え、信仰心への理解が必要だと思われる今、必読。 旧ソ連イスラム地域を勉強する中で、ロシアという国について考えることが多いが、イスラエル成立にもロシア(ソ連)の役割が大きかったと思うと、社会主義というイデオロギーがもたらした世界への影響は本当に大きく、現在も無くなってはいないのだと実感する。 ユダヤ人(教徒)であることとイスラエル人であることの難しさ、この国の矛盾を見事に描き出している。またこれはイスラエルに限ったことではない。

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2019/11/08

シオニズムについての誤解を訂正する良書だと思います。 私自身、ユダヤ教を熱心に信じているユダヤ人が、シオニズムを支えていると思いこんでいました。 学校の授業ででも、中高生にそのように教えていました。 しかし、この本に寄れば、むしろユダヤ教を信じることによってユダヤ人のアイデンテ...

シオニズムについての誤解を訂正する良書だと思います。 私自身、ユダヤ教を熱心に信じているユダヤ人が、シオニズムを支えていると思いこんでいました。 学校の授業ででも、中高生にそのように教えていました。 しかし、この本に寄れば、むしろユダヤ教を信じることによってユダヤ人のアイデンティティが保てなくなってしまった人々の間で、シオニズムが力を持ったということで、なるほどと思わされます。 また、ユダヤ教を信じることと、パレスチナの人々を苦しめたり、殺したりすることが、どうして両立するのであろうかという素朴な疑問があったが、熱心にユダヤ教を信じる人々にとって、それらの行為が罪と理解されていることを知り、納得です。 ユダヤ教を心から信じている人々にとって、神の民としてのユダヤの民の回復は、人間的な努力によるシオニズムによってではなく、ただ神の行為によって達成されるべきもので、それを信じようとしないシオニズムは、不信仰であると言うことです。 とにかく、自分の中にあった誤解を訂正され、疑問に答えられた読書経験でした。

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2010/08/29

ユダヤ教とイスラエルに関する誤解がするする解ける本。ろくに勉強もしてないぺーぺーの大学生にはかなりキツイ一冊だったが、読む価値は大いにあった。

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