カント全集(13) の商品レビュー
『思考の方向を定めるとはいかなることか』『人間愛からの嘘』など、20世紀前半の新カント派系の研究ではさほど重視されて来なかったカントの諸論文が収録されている。内容はさておき、全集13・14巻に収録されている論文が、だいたい当時の学術雑誌に掲載されていたことは、カント哲学が単なる学...
『思考の方向を定めるとはいかなることか』『人間愛からの嘘』など、20世紀前半の新カント派系の研究ではさほど重視されて来なかったカントの諸論文が収録されている。内容はさておき、全集13・14巻に収録されている論文が、だいたい当時の学術雑誌に掲載されていたことは、カント哲学が単なる学校哲学ではなく、広く読書人に向けられたものであることを理解させてくれる。「啓蒙」に対する非難は戦後以降枚挙にいとまがないが、このような具体的活動に裏打ちされた「啓蒙」という理念はなお無視できない重要性を持っているだろう。
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