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2011/06/30

「第5世代コンピュータ」プロジェクトで知られる渕一博氏の追悼本。これくらいチャレンジングな国プロを今の日本で立ち上げられるのか、というのと時代の趨勢が代わったときの方向転換の難しさを感じた。 時代を読むという点で、1996年に書かれた「コンピューター技術開発の過去・将来」という...

「第5世代コンピュータ」プロジェクトで知られる渕一博氏の追悼本。これくらいチャレンジングな国プロを今の日本で立ち上げられるのか、というのと時代の趨勢が代わったときの方向転換の難しさを感じた。 時代を読むという点で、1996年に書かれた「コンピューター技術開発の過去・将来」という文章では、インターネットはブームで終わり、PC/WSの分散から集中への揺り戻しが必ず起きる。そして膨大な情報を処理できる巨大な並列推論マシンが裏方で活躍する時代が21世紀に訪れると予言している。この超並列推論マシンは今で言うGoogleのデータセンタなのかもしれない。でも、やはりインターネットのインパクトを過小評価してたのではないだろうか。ユーザ像は一般大衆じゃなくて、研究者・専門家だったんだと思う。技術の方向性は見通せたけど、それを取り巻く社会情勢までは、、、無理だよなぁ。 最後に、1972年に電総研がつくばに移転したことにまつわるエピソードとして、森英夫所長(当時)の言葉を引用する。 「つくばの団地に行くときに、私はその時所長で、簡単にいうと反対したんです。その原因はですね、渕さんだけじゃないんですけれども、普通の研究はみなつくばでいいんだと、だけど情報の研究だけはね、都会にいないとできないのだとこう、どうも渕さんが行ったと思うんですけれども、私もそう思って、情報の研究だけは東京に残してもらえませんかと、言うのがおまえは(移転に)反対だ、クビだと言うんで辞めさせられまして、その年の11月に電総研の所長を辞めました。だけども、これが歴史に残ると、森所長がつくば団地の移転を決定したと書いてあるんですね。」

Posted byブクログ