サイン会はいかが? の商品レビュー
「成風堂書店事件メモ」の3冊目。短編集に戻る。 今回の決め台詞は『本屋をコケにして、お日さまがのんびり拝めると思ったら大まちがい』というわけで、相変わらず多絵ちゃんの推理が冴えわたる。 表題作の本屋さんでサイン会を開く時の段取りや準備の様子はもとより、取り寄せに関するトラブルや...
「成風堂書店事件メモ」の3冊目。短編集に戻る。 今回の決め台詞は『本屋をコケにして、お日さまがのんびり拝めると思ったら大まちがい』というわけで、相変わらず多絵ちゃんの推理が冴えわたる。 表題作の本屋さんでサイン会を開く時の段取りや準備の様子はもとより、取り寄せに関するトラブルやコミックへのビニールかけに付録付きの雑誌の紐がけ、常連さんの忘れ物探しなど、本屋さんの仕事の大変さがつぶさに描かれるのも、いつもの通り興味深い。 幼い頃に亡くなった父親の記憶を胸に本屋の中をそぞろ歩く小6の男の子の心情がいじらしい「君と語る永遠」と、いじられキャラの不器用なバイトくんと彼が憧れる爽やかなホクロ美少女とのすれ違いが微笑ましい「バイト金森くんの告白」が好き。 お話は悪くないのだが、推理は丸投げする割に多絵ちゃんの不器用なところを何気にディスる杏子さんと事なかれ主義の割にいっちょ噛みしてはこちらも後は丸投げの店長にはちょっとイラつく。
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「本格書店ミステリ」と銘打たれたシリーズの三作目。 表題作を含む五編が収録された短編集です。 本にまつわる謎の解明と、書店員の仕事内容が並行して描かれ、ミステリとお仕事小説の両面で楽しめるのではないかと思います。 好きな本に囲まれて仕事が出来るのは羨ましさを感じますが、携わる...
「本格書店ミステリ」と銘打たれたシリーズの三作目。 表題作を含む五編が収録された短編集です。 本にまつわる謎の解明と、書店員の仕事内容が並行して描かれ、ミステリとお仕事小説の両面で楽しめるのではないかと思います。 好きな本に囲まれて仕事が出来るのは羨ましさを感じますが、携わる方々にしか分からない苦労も多そうですね。 本や書店に対する思いが伝わってくる、坂木司さんの解説もとても素敵でした。
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一作目、二作目に引き続きやっぱり杏子さんが苦手で…お話しは面白くて好きなんですが、杏子さんの言い方がなんだかきつく感じて気になってしまうのが残念。多絵ちゃんやその他の登場人物は大丈夫なのになぁ。
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54点:おかしいことなど日常茶飯事 「お仕事ミステリ」はその仕事に興味があるか、自分が実際やってて知ってる、というときに爆発的に楽しい。レアな本の注文を複数人から同時に受けて、取り寄せ不可のお断りの電話をいれたら全員そんな注文はしてない!との返答。原因を追求したくなる魅力的な謎!
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ミステリーというだけでなく、本屋さんで繰り広げられる人間模様が味わい深くて好きです。 本屋さんの表からは見えない仕事内容が知れるのも本屋好きにはうれしい。
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成風堂書店シリーズの第二作。 書店が舞台となるミステリー。 その設定で自由に考えることができなるくなるのでは …と心配するのは素人の考えか。 一編一編、それぞれ違った趣向の謎解きだった。 「君と語る永遠」や、「バイト金森くんの告白」が自分の好みだったかな。 ただ、私はそれほ...
成風堂書店シリーズの第二作。 書店が舞台となるミステリー。 その設定で自由に考えることができなるくなるのでは …と心配するのは素人の考えか。 一編一編、それぞれ違った趣向の謎解きだった。 「君と語る永遠」や、「バイト金森くんの告白」が自分の好みだったかな。 ただ、私はそれほどミステリーが好きではない。 どちらかというと、これもお仕事小説として楽しんでいる。 そういう意味では、付録を挟み込む苦労とか、漫画本をシュリンクするとか、サイン会の運営とかそういったところが興味深かった。 あとは…「バイト金森くんの告白」で出てくる、雑誌注文をしては取りに来ない迷惑なお客の話。 あれは何かの伏線になるのか…と思って読んでいたが、そうでもないような。 私がうっかり読み飛ばしたのか?
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シリーズ3作目。 前作は長編だったが、今作はまた短編に戻っている。 本屋で起きる様々な謎を書店員の杏子とアルバイトの多絵が解明していく様子は、長編より短編の方が面白い。 表題作の「サイン会はいかが」は少し長いが、初めてサイン会を開く、書店員の方たちの奮闘と多絵の推理が並行して描か...
シリーズ3作目。 前作は長編だったが、今作はまた短編に戻っている。 本屋で起きる様々な謎を書店員の杏子とアルバイトの多絵が解明していく様子は、長編より短編の方が面白い。 表題作の「サイン会はいかが」は少し長いが、初めてサイン会を開く、書店員の方たちの奮闘と多絵の推理が並行して描かれ、楽しめる。 「取り寄せトラップ」と合わせ、この2作は本格的な推理が展開されるが、他の方のレビューにあるように、手掛かりが多絵の謎解きの中で解説されてしまうので、読者が謎解きしながら読める楽しさはない。 「君と語る永遠」は小学生の社会見学の様子が描かれるが、こちらは推理よりも、小学生と書店員たちの触れ合いが微笑ましいと思いながら、読んだ。 おまけ程度のページ数の「ヤギさんの忘れ物」が、個人的には一番好き。
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書店員さん達の苦労がよく分かる物語。 重くて利益単価が低く、オンライン販売と矛盾を起こしている取次という制度の限界、主客転倒している上に面倒な大型付録、モンスター化している客の対応など、本当に大変な仕事ですね。 大型書店以外がどんどん減っているのも仕方がないことかもしれません。 ...
書店員さん達の苦労がよく分かる物語。 重くて利益単価が低く、オンライン販売と矛盾を起こしている取次という制度の限界、主客転倒している上に面倒な大型付録、モンスター化している客の対応など、本当に大変な仕事ですね。 大型書店以外がどんどん減っているのも仕方がないことかもしれません。 そんな中で個性を出している中規模書店の雰囲気が好きなので、何とか頑張って欲しいです。 肝心の内容ですが、軽快な会話のテンポと素直な謎解きで、とても楽しく読める作品でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
目次 ・取り寄せトラップ ・君と語る永遠 ・バイト金森くんの告白 ・サイン会はいかが? ・ヤギさんの忘れもの 5編の短編が収録されているが、表題作が一番長い。 人気ミステリ作家が、熱烈なファンを装った何者かに嫌がらせを受けている。 犯人の書いた暗号は解読できても、犯人を特定することができない作家に代わり、成風堂で行われるサイン会の会場で、犯人を特定することになる。 なぜ犯人はそのような行為をしたのか、というところでの多絵の推理は、犯人の気持ちを存分に汲んだ洞察力から来るもの。 なのになぜ、バイト仲間の金森くんの気持を汲めない? そこ、鈍すぎるやろ。 好きなのは「君と語る永遠」。 息子との約束を果たすことなく病気で命を喪った父。 かすかに残る父の記憶を何とか手繰ろうとする少年に、杏子が言った一言。 ”「約束は、いつか広希くんがかなえればいい」 (中略) 君だけが、お父さんの永遠を引き継げるのだから。” 最近、めっぽう子ども物に弱い。 泣きたいわけじゃないのにぃ!
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成風堂書店シリーズの3作目。 大崎梢さんの作品は、随分と前にこのシリーズの一作目『配達あかずきん』と『平台がおまちかね』を読んでいたけど、久しぶり。 書店を舞台にした日常の謎を扱うミステリー。語り手であり、名探偵の相棒役である、杏子さんの勘の鈍さにちょっとイラっとしつつも、心...
成風堂書店シリーズの3作目。 大崎梢さんの作品は、随分と前にこのシリーズの一作目『配達あかずきん』と『平台がおまちかね』を読んでいたけど、久しぶり。 書店を舞台にした日常の謎を扱うミステリー。語り手であり、名探偵の相棒役である、杏子さんの勘の鈍さにちょっとイラっとしつつも、心がキュンとしたり、ほわっとしたり、気をはらず楽しく読める。 今回は、表題作の『サイン会はいかが?』の手の込んだストーリーと、最後の『ヤギさんの忘れもの』のハートウォーミングなお話しが良かった。 『晩夏に捧ぐ』も同時に手に入れたのに、こちらを先に読んでしまった、ということに今気づいた。 今でも本屋さんは好きで、でかけた時に本屋があれば何時間でも過ごせる。しかし、最近は購入するのはネットがほとんど。このシリーズを読むとちょっと申し訳なくなる。
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