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日本語は亡びない の商品レビュー

3.8

10件のお客様レビュー

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2013/03/17

面白かった。「日本語が亡びる時」という本に対する反論。日本語が上手に外国語を取り入れていること、英語の「主語」がないと成立できない、というところが、実は世界平和にとっては大きなマイナスであり、日本語のように、そこをあいまいにしたままで話がすすめられる言語こそ、これからの世界平和に...

面白かった。「日本語が亡びる時」という本に対する反論。日本語が上手に外国語を取り入れていること、英語の「主語」がないと成立できない、というところが、実は世界平和にとっては大きなマイナスであり、日本語のように、そこをあいまいにしたままで話がすすめられる言語こそ、これからの世界平和に貢献できるのではないか、という話、面白かった。英語こそ、亡びそこなったクレオール語なのだ、ということは、なんとなく実感するものがある。「雪国」の冒頭を英訳したものを外国人に聞かせ、その情景を絵に描かせると、上空から山とトンネル、汽車そ描く絵ばかりだった、というのも面白かった。

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2012/03/02

新書としてはバツグンにおもしろい。日本語という言語の深さに目覚めた。二人のみゆきの分析も見ごと。 ・品詞上の免疫、基礎語彙の免疫、表記上の免疫、発音上の免疫 ・2モーラの不思議 ・歴史的に死にかけたのは英語の方 ・主語が必須の言語(=人間中心)の方が少ない。ほとんどは主語は必須...

新書としてはバツグンにおもしろい。日本語という言語の深さに目覚めた。二人のみゆきの分析も見ごと。 ・品詞上の免疫、基礎語彙の免疫、表記上の免疫、発音上の免疫 ・2モーラの不思議 ・歴史的に死にかけたのは英語の方 ・主語が必須の言語(=人間中心)の方が少ない。ほとんどは主語は必須でない言語(自然中心)。 ・英語文法を日本語文法の下敷きにした学校文法はダメ。 ・「ただいま」と「おかえりなさい」の美しさ。 ・広島と沖縄 ・善と悪との二元論は子どもっぽい(英語の世界)。 ・SVO構文はSのOに対する支配となって現れる。「力」と「正義」が。 ・西田幾多郎:述語とは主語も客体も含まれている「場」

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2010/09/18

実家に帰ったらころがっていたので読了。 日本語の構造について、知識不足だっため、新鮮な記述が多い。 明晰で読みやすい文章。主語がなくとも成立する日本語。雪国の文章を英訳すると視点が変わること。 外来語の取り込み方を免疫に例えるのは納得。 現代日本文学は豊穣だと感じているので...

実家に帰ったらころがっていたので読了。 日本語の構造について、知識不足だっため、新鮮な記述が多い。 明晰で読みやすい文章。主語がなくとも成立する日本語。雪国の文章を英訳すると視点が変わること。 外来語の取り込み方を免疫に例えるのは納得。 現代日本文学は豊穣だと感じているので、著者に共感。

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2014/10/30

[ 内容 ] 昨今、日本語の存亡を憂う言説で溢れている。 しかし、本当に日本語は亡びるのか? 外国語としての日本語は活気に溢れ、学習者は約三〇〇万人に及ぶほど、未曾有の日本語人気に沸いている。 インターネット時代の英語の圧倒的優位が叫ばれているが、庶民の間では現在も将来も、日本人...

[ 内容 ] 昨今、日本語の存亡を憂う言説で溢れている。 しかし、本当に日本語は亡びるのか? 外国語としての日本語は活気に溢れ、学習者は約三〇〇万人に及ぶほど、未曾有の日本語人気に沸いている。 インターネット時代の英語の圧倒的優位が叫ばれているが、庶民の間では現在も将来も、日本人の生活語は日本語だけに留まるであろう。 庶民に支えられている日本語を見つめることから、大胆かつ繊細に、日本語の底力を徹底的に解明する。 [ 目次 ] 第1部 日本語は亡びない(水村美苗『日本語が亡びるとき』を読む;日本語は乱れているか;日本語を守る「堀川」―五つの免疫効果とは;「死にかけた」のは英語の方―歴史的検証) 第2部 日本語を発信する(偽装する日本語;日本語文法と世界平和―日本語の世界観) 第3部 二人のみゆき―日本的視点の表現者(宮部みゆきの下町;中島みゆきの地上;ハーンの憂い、クローデルの祈り) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2010/07/04

貧弱な日本語は英語に負ける運命にある。 特に蒸気機関と電気の力が生き渡ったら日本語では西洋の科学など学べない。 人間中心に変わったのは英語やフランス語など西洋語の方であり、日本語を含む世界中の大半の言葉は今だに自然中心の構造をしている。 人間を人間たらしめるのは国家でもなく、血で...

貧弱な日本語は英語に負ける運命にある。 特に蒸気機関と電気の力が生き渡ったら日本語では西洋の科学など学べない。 人間中心に変わったのは英語やフランス語など西洋語の方であり、日本語を含む世界中の大半の言葉は今だに自然中心の構造をしている。 人間を人間たらしめるのは国家でもなく、血でもなく、その人間の使う言葉である。

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2010/06/06

『日本語が亡びるとき』の、著者の体験や主張の方法・方向性に同意できなかったので勢いで手にとった本。 冒頭部分はちょっと不必要に『日本語が亡びるとき』への意識が見られるけれど、中盤以降は自身の研究の成果などをうまく伝えられていたと思う。

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2010/05/01

日本語は亡びない。日本語が亡びない理由。日本語が英語やフランス語と違うところなどをわかりやすく説明してくれています。 詳細はこちら。 http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/2630941.html

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2010/04/20

金谷武洋著。日本語を、英語をモデルとした文法で理解しようとする愚かさを鋭く指摘する。英語文法は、主語-述語を基本とした人間中心の構造をもつ。英語の話者は、他との関係で自分を捉えるのではなく、状況から独立した絶対的な私(主語)を中心に考える傾向が強くなる。それに対して、日本語文法は...

金谷武洋著。日本語を、英語をモデルとした文法で理解しようとする愚かさを鋭く指摘する。英語文法は、主語-述語を基本とした人間中心の構造をもつ。英語の話者は、他との関係で自分を捉えるのではなく、状況から独立した絶対的な私(主語)を中心に考える傾向が強くなる。それに対して、日本語文法は、自然や状況中心の文法であり、英文法モデルで分析するには無理がある。むしろ、混迷する世界の救える思想が日本語には含まれており、だからこそ日本語の脱英文法化が急がれなければならないという。日本語だけでなむ、日本文化全般への著者の愛情を感じさせる本だ。

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2010/04/05

2010/04/03 器用な日本人は、彼らが作り出す製品は、近い将来欧米をはるかにしのぐ製品を生み出すようになるだろう。 だが、そうなった時にはもう日本人は日本人でなく、日本人によく似た西洋人になってしまっていることだろう。 そして、そうなった時に日本人は初めてかつて自分の...

2010/04/03 器用な日本人は、彼らが作り出す製品は、近い将来欧米をはるかにしのぐ製品を生み出すようになるだろう。 だが、そうなった時にはもう日本人は日本人でなく、日本人によく似た西洋人になってしまっていることだろう。 そして、そうなった時に日本人は初めてかつて自分の町内の角に必ず立っていた石仏の何とも言えないかすかなほほえみに気づくだろう。実はそのほほえみは、かつての彼らの、彼ら自身のほほえみなのだ。 (1894年 ラフカディオ・ハーン「日本人の微笑」)

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2010/03/25

 本書は水村美苗『日本語が亡びるとき』筑摩書房に触発されて書かれたものだ。水村氏の著作を読む限り、僕は彼女の中の言語コンプレックスを感じていた。それは彼女のやや風変わりな体験に基づくものであろう。本書ではそれをトラウマと見ているが、僕は劣等感だろうと思った。ま、いずれにせよ僕が水...

 本書は水村美苗『日本語が亡びるとき』筑摩書房に触発されて書かれたものだ。水村氏の著作を読む限り、僕は彼女の中の言語コンプレックスを感じていた。それは彼女のやや風変わりな体験に基づくものであろう。本書ではそれをトラウマと見ているが、僕は劣等感だろうと思った。ま、いずれにせよ僕が水村氏の著作を読んだときに感じた違和感はまさに日本語教師金谷武洋の問題意識と同じところにあったと思う。  単純な日本語愛好家の自分としては水村氏の心性を揶揄する程度の批判しかできないが、本書は日本語教師として外国に於ける日本語学習の動向とその底流にある日本語の力と魅力に言及し、言語学者としての知見から日本語そのものの不倒の構造に論を深めている。その説得力には圧倒される。  しかも、二人のみゆき(たまたま宮部みゆきと中島みゆき)という日本語の使い手を具体的に検証して水村氏に対する批判を磐石のものとした。この技には脱帽した。しかも仄聞するに金谷氏は外国生活が長かったためについ最近まで中島みゆきを知らなかったらしい。その程度の知識であるにもかかわらず、宮部みゆきと抱き合わせにして論じてしまう強引さは呆れるというより敬服してしまう。脱帽。

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