わかりやすいはわかりにくい? の商品レビュー
生きてゆくうえで本当に大事なことにはたいてい答えがない。答えではなくて問うこと、それ自体のうちに問いの意味のほとんどがある。 大事なことは困難な問題に直面したときに、すぐに結論を出さないで、問題が自分のなかで立体的に見えてくるまでいわば潜水しつづけるということなのだ。 「...
生きてゆくうえで本当に大事なことにはたいてい答えがない。答えではなくて問うこと、それ自体のうちに問いの意味のほとんどがある。 大事なことは困難な問題に直面したときに、すぐに結論を出さないで、問題が自分のなかで立体的に見えてくるまでいわば潜水しつづけるということなのだ。 「受験勉強でついた頭の癖というのは存外しつこかった。」との鷲田さんの言葉に、自分自身の頭の使い方もそういうことかなと思った。短い時間で要領よく点数を稼ぐ方法を考える。わからなければ答えを見て、そこから解法を考える。常に答えをはやく探そうとしてしまう。 意味、人格、責任、自由など13章に、身近な例を挙げながら優しい語り口で考えが述べられている。答えとして書かれているのではなくても、考えるヒントになることがたくさん書かれていた。特に、身近な人間関係について大きなヒントをもらった。 少しずつまた読み返していきたいと思った。
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わかりにくい問いをわかりやすい形にパッケージングし答えを出すことが知的な営みと思われる節があるが、わかりやすくする中で削ぎ落とされてしまうものの中に本質が宿っているかもしれない。 本質を失った問いは解いても解いても解決には向かわない。 まずはそのまま受け入れる、向かい合う事が良く...
わかりにくい問いをわかりやすい形にパッケージングし答えを出すことが知的な営みと思われる節があるが、わかりやすくする中で削ぎ落とされてしまうものの中に本質が宿っているかもしれない。 本質を失った問いは解いても解いても解決には向かわない。 まずはそのまま受け入れる、向かい合う事が良く生きる為の第一歩かもしれない。
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タイトルに惹かれて読みました。先に読んだ同著者の「〈ひと〉の現象学」とほぼ内容が被っていましたが、解りやさすさ(ライトな切り口)はこちらの方。「生きてゆくうえでほんとうに大事なことには、たいてい答えがない」として、それを問うこと自体に意味があると言う。解らないことに出会った時、そ...
タイトルに惹かれて読みました。先に読んだ同著者の「〈ひと〉の現象学」とほぼ内容が被っていましたが、解りやさすさ(ライトな切り口)はこちらの方。「生きてゆくうえでほんとうに大事なことには、たいてい答えがない」として、それを問うこと自体に意味があると言う。解らないことに出会った時、それを安易な、解りやすい論理に当て嵌めて解ろうとしないこと、解らないまま、正解がないまま、いかに正確にそれについて対処するのが大事だとも。物質的に豊かになった現代社会は「速い」ことが「善」とされるだけに、何でも「早く」(速く)どうにかしなければという思いに駆られがちだ。確かにスピードを要される物事もあるけれど、何かをじっくり「思考する」「待つ」という姿勢も忘れてはいけないように思う。
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所有できないものしか所有できない?―自由について が一番印象的で発見があった。ただし、臨床哲学というコンセプトには疑問がある。哲学はカウンセリングではない。そこを勘違いしている人は結果的に不幸になるケースが多いように思うが。
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問いについて問う―意味について こころは見える?―ふるまいについて 顔は見えない?―人格について ひとは観念を食べる?―生理について 時は流れない?―時間について 待つことなく待つ?―ホスピタリティについて しなければならないことがしたいこと?―責任について 所有できないも...
問いについて問う―意味について こころは見える?―ふるまいについて 顔は見えない?―人格について ひとは観念を食べる?―生理について 時は流れない?―時間について 待つことなく待つ?―ホスピタリティについて しなければならないことがしたいこと?―責任について 所有できないものしか所有できない?―自由について 同じになるよりすれ違いが大事?―コミュニケーションについて できなくなってはじめてできること?―弱さについて 憧れつつ憎む?―家族について 未熟であるための成熟?―市民性について わかりやすいはわかりにくい?―知性について 著者:鷲田清一(1949-、京都市、哲学者)
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旅のお供の一冊。 さくさく読める本でした。 「ネガティブ・ケイパビリティ」につながる内容だったので、今の私にぴったりでした。
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NHKラジオ『こころをよむ』の講義テキストを加筆訂正した本です。「意味について」「ふるまいについて」「人格について」など、13のテーマをめぐって議論がなされています。 「臨床哲学講座」というサブタイトルが示すように、われわれの生活に密着したところから著者らしいしなやかな知性が静...
NHKラジオ『こころをよむ』の講義テキストを加筆訂正した本です。「意味について」「ふるまいについて」「人格について」など、13のテーマをめぐって議論がなされています。 「臨床哲学講座」というサブタイトルが示すように、われわれの生活に密着したところから著者らしいしなやかな知性が静かに歩みを進めていきます。哲学的エッセイですが、池田晶子のような力みは感じられません。そこに、少しもの足りなさを覚えてしまうこともあります。
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苦手な鷲田さんに少しでも慣れるため、 意識して彼の著書を読むことにする。 でも、わかったような、わからないような。 まったくわからないのなら、 こんなに苦しまなくてすむのに・・・ 自分の読解力不足に打ちのめされるわ。
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大学受験を控えた者が必ず通る道にいる鷲田さん。 現代文の問題で苦労した記憶があります。 心に余裕をもって読んでみると感じられるところが多くあります。 高校時代の自信のなさからくる焦り。言いようのない不安。自分の存在意義のゆらぎなど…。 私は落ち着かないまま高校時代を過ごしました...
大学受験を控えた者が必ず通る道にいる鷲田さん。 現代文の問題で苦労した記憶があります。 心に余裕をもって読んでみると感じられるところが多くあります。 高校時代の自信のなさからくる焦り。言いようのない不安。自分の存在意義のゆらぎなど…。 私は落ち着かないまま高校時代を過ごしました。どうすれば、焦りから解放されるのか、何をすれば自信がつくのか…。 こんなことを感じる人がいたら読んでみてほしいと思います。 考え方の根本から見直すことができます。 きっと心の処方箋になります。
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※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] ひとはなぜ、自由が拡大したのに不自由を感じ、豊かな社会になってかえって貧しさを感じるのか―現代人は、このようなパラドックスに気づき、向き合い、引き受けねば幸福にはなれない。 「自由」「責任」の本質は何か。 「弱さの力」とは何なのか。 哲学の発想から、常識とは違う角度からものを見る方法を、読者とともに考える。 人々と対話し思索を深める“臨床哲学”を実践してきた著者が、複雑化した社会のなかで、自らの言葉で考え、生き抜いていく力をサポートする。 [ 目次 ] 問いについて問う―意味について こころは見える?―ふるまいについて 顔は見えない?―人格について ひとは観念を食べる?―生理について 時は流れない?―時間について 待つことなく待つ?―ホスピタリティについて しなければならないことがしたいこと?―責任について 所有できないものしか所有できない?―自由について 同じになるよりすれ違いが大事?―コミュニケーションについて できなくなってはじめてできること?―弱さについて 憧れつつ憎む?―家族について 未熟であるための成熟?―市民性について わかりやすいはわかりにくい?―知性について [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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