闇の中に光を見いだす の商品レビュー
湯浅さんと清水さんの対談。本筋とは関係ないけど、割れ窓理論の例で暴走族になる前に服装が乱れているはずだという例がしっくり来た。社会福祉士関係で単語だけ覚えていたので、例で理解できて嬉しい。
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岩波ブックレットで短時間でさくっと読める。東日本大震災発生前、民主党政権交代で俄に社会が変化を求めて湧いていたであろう2010年の対談を収録したもの。 この頃から政治と社会は停滞し続けているというか、彼らが当時政治の中に入って直面していたあらゆる問題点が、結局民主党政権の終焉と共...
岩波ブックレットで短時間でさくっと読める。東日本大震災発生前、民主党政権交代で俄に社会が変化を求めて湧いていたであろう2010年の対談を収録したもの。 この頃から政治と社会は停滞し続けているというか、彼らが当時政治の中に入って直面していたあらゆる問題点が、結局民主党政権の終焉と共に固着化してしまった印象。 官僚主導の行政を政府が弱者のために動かすことの難しさ、貧困対策事業において当事者の側に立たずに表面的に叩く世論の的外れ感、市民団体を行政がサポートしていく構図をどう作っていくか、カネの話にしてしまっても、貧困対策や自殺対策をすることが結局経済的損失を無くすことにも繋がるということ、空中ブランコに例えた自己責任主義の社会観など、読みやすい短編本にも関わらずエッセンスが凝縮していて、さすがは貧困対策と自殺対策の第一人者のおふたり。答えはこの段階では見出されていないが、この本から10年、今の問題認識を別の本から学ばなければと思わされた。
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『We』173号でインタビューを掲載した藤藪さんは、和歌山県の白浜で自殺志願者の救助と保護、自立に向けた支援の活動を続けている。この本の清水康之さんは、ライフリンクというNPOで自殺対策支援の活動をしている。"自殺"という事象をこの人はどんな風に語るんやろうと...
『We』173号でインタビューを掲載した藤藪さんは、和歌山県の白浜で自殺志願者の救助と保護、自立に向けた支援の活動を続けている。この本の清水康之さんは、ライフリンクというNPOで自殺対策支援の活動をしている。"自殺"という事象をこの人はどんな風に語るんやろうと借りてきて読んでみた。 清水さん、湯浅さんは、ちょうど同じころに「内閣府参与」として政権に入った、という経験をもっている人だった。清水さんは自殺問題で、湯浅さんは貧困問題で、それぞれワンストップサービス実施などに動き、そのなかで「当事者視点の欠如」を感じたというところ、どこがどう足りないかのたとえ話が、わかりやすかった。 ▼清水 …当事者の立場に立ってかかわる人が必要です。自殺対策のことで言えば、自殺に追い込まれようとしている人たち、あるいは困窮状態に陥っている人たちは、闇夜の海で溺れているような人です。何とか岸にたどり着きたいと思って泳ぐけれども、暗いので岸がどこにあるのかわからない。泳いでも泳いでも岸にたどりつかないので、ものすごく疲れてしまっている。そこへ支援しましょうと浮き輪を浮かべたり、ボートを漕いで救出に行ったりしても、暗い夜なのですから、浮き輪がどこにあるかを照らさないと、溺れている人は浮き輪の存在もわからない。ボートを漕いでせっかく行っても、ボートの上でじっと黙ったままで、「いや、ボートを出しているけど、人が来ないんです」と言ったところで、来るわけがない。(p.44) 「死にたいやつは放っておけばいい」のか? 貧困問題は「本人の努力が足りないから」なのか? 清水さんが、「いい高校に行って、いい大学に入って、いい会社に入って、いいお嫁さんをもらって幸せな家庭を、と、男の子であればコンコンと諭されてきたけれど」(p.20)と語っているところが、そんなに男の子たちはコンコンと諭されてるんかな?と私にはわからないのだった。"いいお嫁さん"て、どんな人なんやろ。 (9/1了)
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日本の自殺者が急増したのは98年3月から。97年の決算期の直後。自殺の原因は、生活苦、多重債務、心の健康に集約される。 自殺はきわめて個人的な問題であるとともに、社会的構造の問題でもある。 12年連続で3万人が自殺する日本は異常である。
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