博士号のとり方 の商品レビュー
博士課程に進み、博士号を取得するということの 解像度がぐっと高まった。 指導教員との距離感、研究活動の負担、コミュニティの重要性など今後もお世話になる予感。
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( 1)学生は「その分野のプロの研究者になる」というはっきりとした目標を持つことが大切である。 ( 2)学生は,博士課程に入学する前から大学院等に関する情報を収集しなければならない。 ( 3)博士課程の本質は,その分野のプロの研究者を育てることにある。 ( 4)学生は,プロの研究者としての水準を知り,それを超える努力をする決心をしないと,途中で挫折する危険性が高い。 ( 5)研究の型には,1.探究型研究,2.検証型研究,3.問題解決的研究という3つの型があるが,博士課程として最適なのは,2.検証型研究である。 *仮説検証型の研究は、提示した仮説が正しいかどうかを検証することを主たる目的としている(Saunders et al, 2000)。一般的には、今までの理論研究から演繹的に仮説を導き、測定可能な操作仮説を構築して検証を行う。 ( 6)研究の成果として提出する博士論文には型があり,1.序,2.先行研究,3.研究方法,4.成果,5.議論,結論と貢献という共通の型を踏襲すべきである。 ( 7)博士課程のプロセスでは,3年間の研究段階ごとに,何をすべきかの研究計画が出発点となり,計画表に基づいて進捗状況を常にチェックし,小論文を公表しながら,完成を目指すべきである。 ( 8)学生は,指導教官に対して,初めは「理想的なロール・モデル」として,次には,情報を与え合う「研究仲間」として,最終的には,研究と指導方法を分かち合う「同僚」として接することができるように,段階を踏んでうまく付き合わなければならない。 ( 9)セクハラ,嫌がらせ等,研究に対する障害がある場合には,それを取り除く必要がある。 (10)審査制度を理解して,特に口頭試験の準備を怠らないようにしなければならない。 (11)指導教員は,学生の望んでいることをよく理解し,学生の人格を尊重しながら,定期的に学生に会い,効果的なフィードバックを行ないつつ,学生の研究の進捗状況を常に把握しなければならない。 (12)研究機関は,研究設備を整え,学生に財政的な支援をするだけでなく,学生と指導教員のコミュニケーションがうまくいくように,指導形態のガイドラインを作成するなど,制度自体の改善に努めつつ,学生の論文作成の進捗状況をモニターしなければならない。
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英国での博士課程における学生と指導教員の関係など。メンターは必ず二人以上、など実践的なヒントも多数。オススメ!
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博士課程に行ったことがないのでよくわかならいが、院生の孤独感や教授とのやりとりはなんとなくわかった。 いずれにせよ、苦しい道のりだ。
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英国の研究事情なので日本とかなり異なりますが、「博士号をとらない」のチャプターなど面白かったです。研究者という救いのない死屍累々の道を行かれる方は参考にして下さい。
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取りたいのは研究学位(PhD)か、専門学位か。 博士課程では自己管理が求められr、何を必要とし、何をするのかを決めるのは自己の責任である。 私はどんな困難に出くわしても博士を取得する決意だ。 自分の博士論文が求められている水準についてはっきりと理解している。
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2021/2/28 再読 博士課程に対する関心は、修士課程修了後から漠然と持っていた。本書を読んだのは2014年だった。博士号の取得については、前の職場ではほとんどの人から反対されるし、自分には関係無い・不要と自分自身に言い聞かせていた数年だった。しかし機が熟して近々博士課程に進...
2021/2/28 再読 博士課程に対する関心は、修士課程修了後から漠然と持っていた。本書を読んだのは2014年だった。博士号の取得については、前の職場ではほとんどの人から反対されるし、自分には関係無い・不要と自分自身に言い聞かせていた数年だった。しかし機が熟して近々博士課程に進学できる見通しとなった。フックに引っかかるところは前回読んだときとは異なる箇所が多く、印象に残ったフレーズも少なくない。このような点は、よりプラクティカルの内容にシフトしているのが自分の中の変化として表れており、おもしろい。またp.204の「口頭試験のための準備」と題されたノウハウは秀逸である。いずれ活用する。 論文執筆の最初の一歩は以下のようなものだ(p.107)。 □メインポイントを作り出そう(もし定期的な締め切りがある場合)、思い浮かぶことはすべて書き出し、遵守すべき大まかな計画をたてよう □これらを大まかに構成しよう □ポイントから文章量のバランスが取れた段落を作ろう □1週間に2時間から5時間を執筆に費やす計画を立てよう □執筆のための静かな落ち着ける場所を探し、できれば執筆には同じ場所を使おう □自分自身の目標を定めよう □初期のドラフトは同僚や友達にコメントしてもらおう 2014/03/17 学生と教員、研究する側と指導する側の両方に書かれた本。対象とする読者の設定がおもしろい。一読すれば修士と博士の違いが明らかになる。イギリスの事例だが、非伝統的学生に類型化されるパートタイマー学生、熟年学生にも触れられており、日本における社会人学生の状況を考える上で参考となる。学位取得をめざすか、めざさないか、めざせないのか、論文を書くか、書かないか、かけないのか、研究計画を立てるか、立てないか、立てれないのか、これらは当然のことながら、自立した自分自身次第としかいえない、ということがわかる。 以下に論文の独自性に関する見解を引用した。論文指導ではオリジナリティについて指導を受けることが多いが、これらの視点の何れかにあてはまることを目指すと理解しやすい。
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基本的に英国を舞台にしているが、日本の大学においても指導教官と博士課程学生がやるべきこと、コミュニケーションのとり方、研究方法など、箇条書きでわかりやすく示される。
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博士課程を目指す学生のみならず、修士課程に進学する学生にも参考になる内容を含む。研究室の選び方から研究の取り組み方など、数々の事例を通じて論じている。英国を舞台にしているため、日本と多少異なる点はあるが、研究の種類から計画の立て方、指導教員との付き合い方まで、大学院生活の参考にな...
博士課程を目指す学生のみならず、修士課程に進学する学生にも参考になる内容を含む。研究室の選び方から研究の取り組み方など、数々の事例を通じて論じている。英国を舞台にしているため、日本と多少異なる点はあるが、研究の種類から計画の立て方、指導教員との付き合い方まで、大学院生活の参考になる。(航空宇宙工学専攻) 配架場所:工2、工7号館図書室 請求記号:377.5:P55(工2)、99:P:1(工7) ◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2002854571&opkey=B147995718818270&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0
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「 学部では課題を『指摘』するだけでよかったが、博士課程はそうではない」 このことは大学院に入ってからまず痛烈に感じたことであり、そのせいで色々と恥をかくことも多かった。昔からひねくれ者であったために、そこにある課題を「指摘」することだけに心血を注いできたわけであるが、そこから...
「 学部では課題を『指摘』するだけでよかったが、博士課程はそうではない」 このことは大学院に入ってからまず痛烈に感じたことであり、そのせいで色々と恥をかくことも多かった。昔からひねくれ者であったために、そこにある課題を「指摘」することだけに心血を注いできたわけであるが、そこから先の発展的・生産的なところにまで議論を運ぶということは、必ずしもできていなかったということを思い知らされたのである。 単に批判するだけという手段を封じられたため、常に自分の意見を求められるようになった。ということはすなわち、常に自分が反論される可能性を持ち続けるという状態になった。言うなれば、ヒット・アンド・アウェイみたいな戦略はもう取ることはできず、リングの上でガチンコの戦いをしなくてはいけなくなったのである。大学院に進学してこのへんは変わったなーと思う。というか変わらないといけないなーというか。 ということで、大学院生のほうが大学生よりも研究に対して謙虚になるのは、多分このへんの違いなのではないかなと思いました。
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