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叫びと祈り の商品レビュー

3.5

208件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

    70

  3. 3つ

    66

  4. 2つ

    23

  5. 1つ

    5

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2024/01/13

まるで旅をするような異国情緒溢れるミステリー 一面砂漠の海という広大なクローズドサークルで引き起こされた連続殺人 逸話が残るスペインの風車で消えた女性の行方 ロシアの聖堂で眠る不朽躰 熱帯雨林の奥地で発生した熱病と殺人 分類するならば叙述ミステリーだが、風景の描き方や言葉選びが繊...

まるで旅をするような異国情緒溢れるミステリー 一面砂漠の海という広大なクローズドサークルで引き起こされた連続殺人 逸話が残るスペインの風車で消えた女性の行方 ロシアの聖堂で眠る不朽躰 熱帯雨林の奥地で発生した熱病と殺人 分類するならば叙述ミステリーだが、風景の描き方や言葉選びが繊細でミステリーというよりファンタジーを読んでいる印象です。 私達は自分たちの常識で世界を見ている。物事の因果関係を自分の物差しで測るから、理解できないことはまるで世の理から外れた出来事のように思える。 ミステリーとしては派手さもなくトリックも見栄えがしないという意見もありそうですが、自分の常識とは違う世界にいる人たちもいるということを優しく教えてくれているような一冊に思います。

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2023/12/11

砂漠で起こる殺人事件など、今までにない切り口の作品で楽しく読めました。 他の作品も読んでみようと思います。

Posted byブクログ

2024/02/04

雑誌発行会社に勤める斉木は、語学に堪能なことから取材のため世界各地を飛び回る。サハラ砂漠、南ロシア、アマゾン奥地等、訪れた先で不可解な事件に巻き込まれる… 全5話からなる連作短編集。著者デビュー作にして「ミステリーズ!新人賞」を受賞した巻頭の「砂漠を走る船の道」が出色の出来。砂...

雑誌発行会社に勤める斉木は、語学に堪能なことから取材のため世界各地を飛び回る。サハラ砂漠、南ロシア、アマゾン奥地等、訪れた先で不可解な事件に巻き込まれる… 全5話からなる連作短編集。著者デビュー作にして「ミステリーズ!新人賞」を受賞した巻頭の「砂漠を走る船の道」が出色の出来。砂漠のど真ん中で起こる殺人事件という、クローズドサークルの造形が異色。異文化ならではの倫理観に基づくホワイダニットは深みがあり、ミスリードを誘う仕掛けも上手い。「凍えるルーシー」の“凍える”ラストの切れ味も鋭い。 一方で、全般的に誰視点なのかわかりにくい場面が多々あり、また異文化特有のワードも出てくるので、読みにくさは感じる。連作短編集では、一見独立した各話が最終話で全て繋がって絡まった紐が解けるのがセオリーだが、本書はそれを狙ったけどジャストミートしなかった印象。本書がデビュー作とのことで今後に期待だが、寡作家なのかな?「リバーサイド・チルドレン」も読んでみたい。 週刊文春ミステリーベスト10 2位 このミステリーがすごい! 3位 本格ミステリ・ベスト10 2位 本屋大賞 6位 ミステリが読みたい! 5位 ミステリーズ!新人賞受賞(2008年)(※) (※)受賞作「砂漠を走る船の道」

Posted byブクログ

2023/08/27

不足している情報を勝手な想像で読み進めると、え!?と意外な事実に驚かされる話。 粗削りでしっくりこないところもあるものの、盲点をついてくるので、情報を見落とさないように必死で読んだ。

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2023/08/26
  • ネタバレ

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2011年(第8回)。6位。 ミステリ短編集。作者はあーや、有栖川氏、真先氏から絶賛された過去があるらしい。主人公は世界を旅する職業の日本人男。行った先でいろいろ事件に会う。 「砂漠を走る船の道」砂漠で殺人事件。なぜ殺したに、なるほどーーと思う。 「白い巨人」スペインで、風車に入った人が消える不思議。 「凍れるルーシー」ソ連崩壊後のロシア正教教会。しかしムリがあるような('_') 「叫び」南米でのエボラ。エボラ怖いわw スティングというかポリスのEveryBreathYouTakeは名曲だと思う。キライと言った同級生もいるがw 「祈り」ラスト。ここはどこ。 今読んでも斬新なミステリー感はあるけど、タイトルがよくわからなかったのであった('_')

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2022/11/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アフリカ、スペイン、ロシア、ブラジル、世界の色んな地をその場で一緒に見ているような感覚になる本だった。砂漠の話では砂の手触りがするし、風車の話では風を感じ、アマゾンの話では雨の脅威が伝わってくる。どれも違和感がなくてすんなり溶け込めた。これがデビュー作だなんてびっくり。丁寧な描写を味わううちに、ミステリーだということを忘れそうだった。 この中では異色かなと思える「凍れるルーシー」の幻想的な雰囲気が印象に残っている。

Posted byブクログ

2022/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

正直、ミステリーとしての評価ではなくて、文章というか表現の良さに対して☆4。 なんていうか…美しい詩的な文章で好きなんだけど、ミステリーとの相性は悪いんじゃないかと。いや、何様なんだよって感じですけど。 幻想小説とか恋愛小説とかが良さそうだなー。そういうの書いてくれないかな。読んでみたい。 この本はミステリーなんだけど、"犯人探し"を楽しむ本ではありません。そもそも、犯人候補たる登場人物が少なすぎるし。 「どうして殺人が起きたのか。」 その謎を解き明かして、文化や宗教、それまでの人生、生きた環境、その他諸々から成る価値観の違いを感じる作品。価値観に優劣はない。 怨みでも憎しみでも復讐でもない殺人の動機。 その理由は予想の範囲を超えてきます。 殺人が起きない話(「白い巨人」「祈り」)が連作といっても異質でこの2つは根っこが繋がっているように感じたんだけど、この並びといい、『叫びと祈り』というタイトルといい、作者の意図は違うんだろうか…?

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2021/02/20

世界各所で遭遇するミステリ デビュー作 砂漠を走る船の道は、所謂「クローズド・サークル」ものなのだが、密室形成が砂漠 おもろいやんけ 個人的好みでは「祈り」が好き

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2019/06/14

冒頭の一編目で、独特の世界観にぐっとつかまれてしまいました。デビュー作とは驚きます。その後さらにルポライター斉木が絡むことで世界各地での連作短編となりぐいぐいと世界に引きずり込まれ、「叫び」と「祈り」で読後深々とため息をつきました。日本人でいることを考えさせられもしました。ホワイ...

冒頭の一編目で、独特の世界観にぐっとつかまれてしまいました。デビュー作とは驚きます。その後さらにルポライター斉木が絡むことで世界各地での連作短編となりぐいぐいと世界に引きずり込まれ、「叫び」と「祈り」で読後深々とため息をつきました。日本人でいることを考えさせられもしました。ホワイダニットの秀逸な作品と聞いていましたが期待に違わなかったです。とにかく色のついた絵として浮かぶ情景が素晴らしいと思います。この日本にはない独特の情景ゆえに読者は選びそうですが私はとても好きでこの先も追いかけてみたいと思いました。

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2019/06/11

砂漠を横断し塩を運ぶ誇り高き砂漠の民。砂嵐で長を失うという悲劇を皮切りに、一人、また一人と殺されていく-第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、各国を旅する青年の目に写る世界を描くシリーズ短編ミステリー。 じっとりと体に纏わりつくような熱気、白い牢獄に...

砂漠を横断し塩を運ぶ誇り高き砂漠の民。砂嵐で長を失うという悲劇を皮切りに、一人、また一人と殺されていく-第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、各国を旅する青年の目に写る世界を描くシリーズ短編ミステリー。 じっとりと体に纏わりつくような熱気、白い牢獄に閉じ込められるような閉塞感、読んでいてそんな空気感まで感じ取れる。 ほぼほぼ殺人事件が起こるが、犯人は勿論なぜ?の部分が重要かと。その動機は、あまりにも身勝手と言うべきものだが、でもそれは私が日本に住みその価値観でのみ測っているだけなのかとも思ったりした。分かり合えない届かないという失望や虚無感というものが、作品全体に漂っているのを感じる。それだけにラストに光が差す兆しは救いになる。 祈りが届くことを切に願う。

Posted byブクログ