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ナニカアル の商品レビュー

3.4

72件のお客様レビュー

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2024/10/18

夫緑敏の絵の裏から、芙美子の戦時中の日記とも小説ともつかないものが出てきた、という設定。残された姪との手紙と、作品とからなる。戦時中の芙美子の行動を描き心の中をのぞく、といった趣。ある重大な事実が述べられているのだが、う~ん、読み終わってここまでで芙美子熱は一旦終止した。これは桐...

夫緑敏の絵の裏から、芙美子の戦時中の日記とも小説ともつかないものが出てきた、という設定。残された姪との手紙と、作品とからなる。戦時中の芙美子の行動を描き心の中をのぞく、といった趣。ある重大な事実が述べられているのだが、う~ん、読み終わってここまでで芙美子熱は一旦終止した。これは桐野氏の架空の物語。芙美子は思いのままに行動してるからいいが、夫は、子供は、どうなのだ。 桐野氏は実在の人物や事件を題材にした作品をけっこう描いているが「グロテスク」「オパールの炎」は小説の力を感じたが、「残虐記」は不快だった。そしてこの「ナニカアル」の芙美子は醜く映る。あの初期の詩のはちきれる奔放さは無くなり、時の汚れがついてしまったようだ。芙美子を美化していたい気持ちが自分にあるからか。 芙美子と母キクとの会話で、子供ができることに関しキクは父親のことはヒミツにして墓場まで持ってゆけ、と言う。子供が可哀そうじゃない? と芙美子がいうと、「それは子供の考えじゃろ」キクは「うちが決めるこつじゃないけん、どうというこつもないな」と言わせている。ある意味芙美子より自然体の男性遍歴の母キクの言葉に、そうか、となんだか納得してしまう。しかし降ってきた子供の身になれば、やはり許しがたい。 平成2年、芙美子が亡くなって、さらに夫であった緑敏も亡くなって、姪房江からの黒川という知人当ての手紙で始まる。少し読むと、芙美子の異父姉の子の姪房江と緑敏はのち夫婦になっており、のところで、むくむくと興味が湧き、・・緑敏さんは姪御さんに丁寧に面倒をみてもらって亡くなったと何かに書いてあったような? さらに祖母のキクには、すべて父親の違う子供が四人いて、シズ、芙美子、次に男子二人、とある。あれ?芙美子が末子ではなかったか? とここでいろいろ文献を読みだしてしまった。 で、さらに次の手紙で、自分の絵は全て燃やしてくれとの遺言に絵を燃やしていると、ある絵の裏から芙美子の小説とも日記ともつかないものが出てきたのだ。そして次からはその手紙の内容。昭和18年6月15日、芙美子は再度の南方派遣でジャワから帰還したところ。そのジャワでの出来事。 「週刊朝日」2008.12.11号~2009.11.12号に連載 2010.2.25発行 図書館

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2024/08/17

戦火の中で揺れる一輪 の花─ それが読後、林芙美子 に抱いた印象です。 表現の自由が制限され、 国家のプロパガンダの 道具として作家が利用 された時代。 作家の矜持を泣く泣く 捨てて、 国民の戦意高揚のため 偽りの文を綴りながら、 報われない不義の愛を 抱きしめていた...

戦火の中で揺れる一輪 の花─ それが読後、林芙美子 に抱いた印象です。 表現の自由が制限され、 国家のプロパガンダの 道具として作家が利用 された時代。 作家の矜持を泣く泣く 捨てて、 国民の戦意高揚のため 偽りの文を綴りながら、 報われない不義の愛を 抱きしめていた彼女。 先生、先生と煽てられ ても、 心の風景はただ寂しく 根無し草のように漂う 感じだったんだろうな ・・・ どこまでフィクション かまるでわからない。 すべて真実かのような 迫真の筆力。 さすが桐野さんでした。

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2023/02/09

戦争にも触れた作品なので読もうと思いましたが、面白くなさすぎてギブアップ。桐野夏生先生の他の作品は好きなもの多いです。

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2019/02/15

うーん。 戦争本なのか、恋愛なのか、はたまたミステリ?なのか。わからん。なんだかどれもこれもな感じでどれにも当てはまらず、なんとなくどれもこれもな本。 戦争は悲惨な感じかと思いきや、マレーシアなどに行って悠々と過ごしていたようだし。お金持ちはこんな感じだったのか。と思わないで...

うーん。 戦争本なのか、恋愛なのか、はたまたミステリ?なのか。わからん。なんだかどれもこれもな感じでどれにも当てはまらず、なんとなくどれもこれもな本。 戦争は悲惨な感じかと思いきや、マレーシアなどに行って悠々と過ごしていたようだし。お金持ちはこんな感じだったのか。と思わないでもないけど、移動や好きなこと出来なかったっていう点ではやっぱ大変だったんだろうなぁ。 恋愛の点でも、なんか汚い感じの恋愛。笑笑 綺麗でも素敵でも、ふわふわしてもいなけりゃ、なんかようわからんけど主人公の年齢が近いせいなのかわからないし、喋り方や語り方がちょっと崩れてるからそうなのかもしれないけど、なんかもういいですその下り。って言いたくなるような汚い恋愛。汚いっていうか、なんつーか。臭うようなそんな恋愛話でした。 そういう意味ではよりリアルなのかな。冷静と情熱の間のような、素敵でキランキランした大人の恋愛なんかフィクションもフィクションか。と、この本によりより現実を見せられたようなそんな一冊です。

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2018/11/23

資料から、これだけ書いたということで★をプラス。 タイトルだけでホラーだと思い借りましたが、全く予想外の内容でした。 タイトルをなぜこのフォントにしたのかが、最大の違和感。

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2019/06/04

戦争に翻弄されながらも 必死に作家として執筆し女性として愛に生きた作家・林芙美子を描いた作品。 戦時中の自らについて独白した文章を姪が発見するというという設定で話が進みます。 実在した林芙美子さんの事については良く知らないので、どこまでが事実で、どこまでがフィクションなのか...

戦争に翻弄されながらも 必死に作家として執筆し女性として愛に生きた作家・林芙美子を描いた作品。 戦時中の自らについて独白した文章を姪が発見するというという設定で話が進みます。 実在した林芙美子さんの事については良く知らないので、どこまでが事実で、どこまでがフィクションなのかはわからないけど、 あたかも林芙美子さんが残したかのような回想録のように感じられた。 それも桐野さんの描写、筆力によるものだと思う。

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2018/05/11

文章は確かにうまいなと感じるが、 話の内容がつまらない。 全く盛り上がらないので、読んでいて苦痛。

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2019/10/17

読了日2011/05 「放浪記」で有名な林芙美子さんの半生を描いた小説。 林芙美子の幻の作品という設定に、ふと、実話かと思ってしまう。 戦時中にペン部隊として南方占領地に行き、現地の様子や交流が描かれています。 そして、当時の女性としてはかなり奔放な恋愛も。 所々、林さんの現実の...

読了日2011/05 「放浪記」で有名な林芙美子さんの半生を描いた小説。 林芙美子の幻の作品という設定に、ふと、実話かと思ってしまう。 戦時中にペン部隊として南方占領地に行き、現地の様子や交流が描かれています。 そして、当時の女性としてはかなり奔放な恋愛も。 所々、林さんの現実の運命を織り交ぜながら書かれているので、一層ドキュメンタリーっぽい。 この機会に、林芙美子さんの代表作「浮雲」も読んでみたい。

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2017/06/14

林芙美子のことも、放浪記もほとんど全く知らずに読んだけれど、とても面白かった。 放浪記、読んでみたくなる。 芙美子は実際は、面倒な嫌な女性なのかもしれないと思うけれど、それでもとてもエネルギーのある、魅力を感じた。 重苦しい戦争の時代の雰囲気も、とても伝わってきた。 桐野夏生は、...

林芙美子のことも、放浪記もほとんど全く知らずに読んだけれど、とても面白かった。 放浪記、読んでみたくなる。 芙美子は実際は、面倒な嫌な女性なのかもしれないと思うけれど、それでもとてもエネルギーのある、魅力を感じた。 重苦しい戦争の時代の雰囲気も、とても伝わってきた。 桐野夏生は、欠点を包み込んで女性を描くのがほんとにうまいと思う。

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2015/07/25

読み物としては面白いのだけど、どこまでが史実に基づく林芙美子の描写なのか、どこまでが創作なのか、ちょっと混乱。若干エロ要素もあることだし、よく遺族からクレームこないなぁと心配になる作品でした。

Posted byブクログ