虐殺器官 の商品レビュー
血みどろのなかの繊細さ
戦争とか、殺戮とか、死体とか血みどろな描写がけっこう鮮明に描かれている。 それでもこれは完璧なフィクションじゃなくて、今もどこかで行われている現実なんだろうなと思い知らされる。 その中で生きる主人公の繊細さも読みどころ。
れい
自国のために他国の命は犠牲にして良いのか。今の貴方の平和は誰かの不幸の上に成り立っている。 恵まれない途上国が先進国に対して起こすテロを防ぐために途上国は内戦状態にさせておく。そうすれば意識が先進国に向くことはない。 恐ろしいがリアリティのある論理。テロに対する最も恐ろしいSF...
自国のために他国の命は犠牲にして良いのか。今の貴方の平和は誰かの不幸の上に成り立っている。 恵まれない途上国が先進国に対して起こすテロを防ぐために途上国は内戦状態にさせておく。そうすれば意識が先進国に向くことはない。 恐ろしいがリアリティのある論理。テロに対する最も恐ろしいSF的答えだと思う。 現代的価値観と1984年の融合。
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伊藤計劃の文、たまに、あまりの繊細さに身体が震えるものがある。虐殺の文法、に何らかの法則が織り交ぜられるように、伊藤計劃の文法には独自の音楽や匂いが宿っている。重くて、今の世界情勢と近すぎるテーマ設定なのに、妙に爽快感と達成感が読了後湧いてきたのは、その文法のせいなんだろうな。
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無料体験中のAudibleにて。 本を聴く、という体験が初めてだったこともあり評価は難しいものの、結論微妙だった、、、 これ誰だっけ、このシーンどういう意味だ、となった時に読み返せないのは痛いし、特に本作のような入り組んだ設定が組まれているまのだと余計に。 本作はロケーションごと...
無料体験中のAudibleにて。 本を聴く、という体験が初めてだったこともあり評価は難しいものの、結論微妙だった、、、 これ誰だっけ、このシーンどういう意味だ、となった時に読み返せないのは痛いし、特に本作のような入り組んだ設定が組まれているまのだと余計に。 本作はロケーションごとにシーンが分かれていたものの、それを想像したくてもどんどん読み上げられて自分のペースで楽しめなかったのもあった。 上記を差し引いても、特定のキャラへの思い入れも個人的にはあまり共感できず、、終わり方もああそうかと冷めてしまっていた(⌒-⌒; )
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内戦や虐殺の場に必ず現れる男を追う近未来SF かなりハードな軍事ものだけど、主人公の一人称が「ぼく」だったりしてやっていることと内面のアンバランスさの描写が良かった
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表現力が逸脱である。伊藤計劃はすごい。何がすごいかって、こうして小説に、文章として言語に落とし込めていることがすごい。すごいから理解できない。しかし、とても惹かれる文章である。彼の言葉を理解するには時間がかかる。難しい。私の知能の未熟さを実感せずにはいられなかった。 読む時にものすごい想像力が必要だし、面白いと同時に大変に疲れた。本書はテロが背景となっているが、根幹は言語学である。「言語は思考より先行しない。」これがまさに虐殺器官の定義であり、言語学無くして本書は語れない。読了後は疲労と共に達成感を感じられるだろう。私は読了後、何か腹の底から湧き出るような、それこそ言語化できないような思考(感情)が私の中に存在していた。
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SFの皮をかぶった哲学小説。 自由とは、選択とは。テロ対策のため情報統制された世界で、ひたすら人間としてどうあるべきかを突き詰めていく作品だった。 虐殺を促す文法や、器官としての言語など、興味深い考察も多く、なるほどなと思わせる説得力もあった。終始難しい内容だったが、読む価値はあったと思う。
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戦争を引き起こすことができる構文。 9.11のテロは様々な作品で俎上にあがる問題である。その後の問題としてある種の風刺的な作品かと感じた。 戦争を引き起こすのは決まって人ではないか。その国の人間が望んで起こす場合にも他国との関係は切っても切り離せない。 そんな世界の情勢を考え...
戦争を引き起こすことができる構文。 9.11のテロは様々な作品で俎上にあがる問題である。その後の問題としてある種の風刺的な作品かと感じた。 戦争を引き起こすのは決まって人ではないか。その国の人間が望んで起こす場合にも他国との関係は切っても切り離せない。 そんな世界の情勢を考えさせられる作品だった。
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タイトルや表紙に何か特別なものを感じていたわけではなく、知人に教えてもらわなければおそらく手にとることすらなかったと思う。 ところどころでグロテスクな表現や受け入れ難い出来事が起こるがそれはこの作品において必要な残虐さではないかと感じられた。 良心とはなにか、残虐とはなにかといっ...
タイトルや表紙に何か特別なものを感じていたわけではなく、知人に教えてもらわなければおそらく手にとることすらなかったと思う。 ところどころでグロテスクな表現や受け入れ難い出来事が起こるがそれはこの作品において必要な残虐さではないかと感じられた。 良心とはなにか、残虐とはなにかといった価値観についてSFという思考実験を通して考えさせてくれるため、自分たちが当たり前だと思うものは結局周りの環境や見てきたものに左右される上で本当の正義とは何かわからなくなるのもこの作品の魅力だと思う。
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夭逝した伊藤計劃の本、ハーモニーのほうがビビットに残ってる そうそう、戦争の最新化だ。心理技官。 虐殺の正当化、正義の暴走、、かな
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