歴史を紀行する 新装版 の商品レビュー
その風土性に一様性が濃く、傾斜がつよく、その傾斜が日本歴史につきささり、なんらかの影響を歴史の背骨にあたえたところの土地を選んで訪ねた紀行エッセイ。 主として、近代に直接つながる江戸時代、特に幕末に個性を発揮したところが選ばれている。 具体的には、高知、会津若松、滋賀(近江...
その風土性に一様性が濃く、傾斜がつよく、その傾斜が日本歴史につきささり、なんらかの影響を歴史の背骨にあたえたところの土地を選んで訪ねた紀行エッセイ。 主として、近代に直接つながる江戸時代、特に幕末に個性を発揮したところが選ばれている。 具体的には、高知、会津若松、滋賀(近江商人)、佐賀、金沢(加賀100万石)、京都、鹿児島、岡山、盛岡(南部気質)、三河、萩、大阪の12箇所。 実際の旅は昭和43年とのことだから、当時は各県=各藩の風土、気質というものがいまだ色濃く残っていた頃かと思われる。維新以降の時代の変化を体験した祖父母の世代から直接話を聞いた世代が多かっただろうし、県人会や上京した学生用の寮など、同郷の繋がりが強かった時代だったから。 司馬さんらしく興味深いエピソードも多く、ほとんど行ったことのない土地でも何となくイメージが湧いてくる。
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自分の出身地が取り上げられていたので手に取ってみた。風土はあてにならないと思っていたが、なるほど…となる記載が多々。
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大作家・司馬遼太郎氏が日本史上に名を留める各地を歴訪し、司馬史観を駆使して語る歴史紀行。風土と人物を考えることなしに日本歴史を理解することはできない!
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その土地が持つ歴史的背景と、その人の性格や思考を結びつけて考えるのがこんなにも面白いとは。 歴史への興味が一層湧いたとともに、日本各地に足を運びたくなった。
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大御所【司馬遼太郎】が、歴史の舞台を訪ね歩いた12編の紀行集です。風土と人物の歴史との関わりあいをテ-マに、旅先で見聞きした情報を活かしながら、それぞれの土地に秘められた歴史の断片を、生き生きとした描写で綴られています。訪れた先の現地の人が、彼の地を表現する言葉のなかには、過去と...
大御所【司馬遼太郎】が、歴史の舞台を訪ね歩いた12編の紀行集です。風土と人物の歴史との関わりあいをテ-マに、旅先で見聞きした情報を活かしながら、それぞれの土地に秘められた歴史の断片を、生き生きとした描写で綴られています。訪れた先の現地の人が、彼の地を表現する言葉のなかには、過去と現在を紡ぐ味わい深さを感じます。〝佐賀にはなんにもなか 腐ってもチャア(鯛)、ふうけても(馬鹿でも)佐賀ンもん『体制の中の反骨精神』〟。〝長州藩の藩士は、代々足を江戸に向けて寝る『維新の起爆力・長州の遺恨』〟・・・。
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この本が書かれた(連載された)のが昭和43年なので「街道をゆく」が始まる3年前にあたるようです。「私自身は小説さえ書いていればいいという簡単明瞭な暮らしを愛する者」だと司馬さんは後書きに記しているように、この頃はこうした紀行文は滅多に書かなかったようです。これがきっかけとなって「...
この本が書かれた(連載された)のが昭和43年なので「街道をゆく」が始まる3年前にあたるようです。「私自身は小説さえ書いていればいいという簡単明瞭な暮らしを愛する者」だと司馬さんは後書きに記しているように、この頃はこうした紀行文は滅多に書かなかったようです。これがきっかけとなって「街道をゆく」シリーズに繋がったのかな…と感じました。いわば「街道をゆく」の第0巻の趣がありました。
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絶妙なバランスのうえに書かれた本。 あとがきにもあるが、風土をステレオタイプ化することはナンセンスだが、人が集団になった時に現れてくる特性は、風土なしでは語れない部分がある。 こうした風土に本人は無自覚で、他の集団と出会ってこそ比較が出来る。 司馬さん自身も執筆の際に、自身の育っ...
絶妙なバランスのうえに書かれた本。 あとがきにもあるが、風土をステレオタイプ化することはナンセンスだが、人が集団になった時に現れてくる特性は、風土なしでは語れない部分がある。 こうした風土に本人は無自覚で、他の集団と出会ってこそ比較が出来る。 司馬さん自身も執筆の際に、自身の育った地の風土から完全に解放されていないとも思っている。 司馬さんが現代のグローバリゼーションによる均一化をどう見るのか、聞いてみたかった。
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再読。歴史作家的紀行というべきか。内容については留保。ただ風土性が均一化しつつある現在ではこれだけの体感的なものは書けないかもしれないな。
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柔らかく言うと、司馬遼太郎流の「ご当地あるある」「秘密のケンミンSHOW」。 もちろん、ステレオタイプな見方にならず、歴史的連鎖等に基づく風土的特質から歴史も現在も理解しようとする司馬さん独特の切り口が楽しめます。 高知、会津若松、滋賀、佐賀、金沢、京都、鹿児島、岡山、盛岡、...
柔らかく言うと、司馬遼太郎流の「ご当地あるある」「秘密のケンミンSHOW」。 もちろん、ステレオタイプな見方にならず、歴史的連鎖等に基づく風土的特質から歴史も現在も理解しようとする司馬さん独特の切り口が楽しめます。 高知、会津若松、滋賀、佐賀、金沢、京都、鹿児島、岡山、盛岡、三河、萩、大阪にゆかりのある方は特に面白く読めますし、司馬ファン、歴史好きにもおススメです。
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歴史にゆかりのある地方を著者がめぐって、その地の歴史に想う。土佐人の論議好きで大酒のみ。会津人の足のひっぱりあい。近江商人は帰化人。腐っても佐賀人。眠れる加賀。京おんなは好いても惚れぬ。薩摩人の外交上手。岡山の桃太郎伝説。南部のなさけぶかさ。三河侍の律儀さ。逆さひょうたんの長州。...
歴史にゆかりのある地方を著者がめぐって、その地の歴史に想う。土佐人の論議好きで大酒のみ。会津人の足のひっぱりあい。近江商人は帰化人。腐っても佐賀人。眠れる加賀。京おんなは好いても惚れぬ。薩摩人の外交上手。岡山の桃太郎伝説。南部のなさけぶかさ。三河侍の律儀さ。逆さひょうたんの長州。大坂は薄命な権力の土地。
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