15歳の日本語上達法 の商品レビュー
『15歳の日本語上達法』 著者 金田一秀穂 講談社 2010年 この本は日本語学者である金田一秀穂さんが15歳の少年少女に向けて日本語に関するあれこれを語ったものである。 本書は日本語というのはどういうものか、そもそもの言語の成り立ちそして日本語をうまく扱うためにはどうすれば...
『15歳の日本語上達法』 著者 金田一秀穂 講談社 2010年 この本は日本語学者である金田一秀穂さんが15歳の少年少女に向けて日本語に関するあれこれを語ったものである。 本書は日本語というのはどういうものか、そもそもの言語の成り立ちそして日本語をうまく扱うためにはどうすればいいのかなどが書かれている。 この本では国語力と日本語力を分けているところがポイントである。著者にとって国語力とは言葉を覚えるものであり、いわゆるお受験的なものを想像されている。それに対して日本語力というのは言葉で考えるということに重きを置いており、ある知識とある知識を言語として整理し、別の考え方を作り上げていくという過程が日本語力の真髄であると書いてある。 そしてそのような日本語力を培っていく方法を3つ紹介している。 1つ目が外国語を身につけようということ。なぜなら外国語を身につけることで、その国の言語を通した見方が身につけられるということできるからだ 2つ目が古典と言われる名作に挑戦することである。そうすることでどの時代でも通用する「ホンモノ」を獲得できるからである。 3つ目が目にしたものをなるべく正確な言葉で表現するよう努めることである。そもそも言葉には情報を正確に伝える機能と自分の気持ちを表現する機能がある。著者曰く国語では得てして後者が重視されがちであるが、前者も鍛えておかないとそれが必要な場面で苦労してしまう。なので、目にしたものをなるべく正確な言葉で表現する必要性があるということである。鍛え方は簡単で、目にしたものをたとえ、たとえば照明のリモコンだったらボタンが10個ある、ボタンの大きさはそれぞれ違う、よく使うボタンは大きくしている…など観察記録のように個人的な感想は一切抜きにして書いていくことである。 最後に個人的に面白いと思った箇所を引用する 彼らが最も大切にしていたのは「お互いに一緒に生きていこう」という認識だったというんですね。 これは、とても魅力的な仮説です。この説が正しければ、言葉は本来、人と人とが仲良くするための「平和の道具」として生まれたことになります ぼくたち人間は、言葉を通じて世界とつながっています。 それはまた、僕たちが常に世界とワンクッション置いてしかつながれないということでもあります。僕たちは「刺身」とつながることはできても、そのもの自体と直接つながること、直接、向き合うことは永久に不可能です
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言葉とどう向き合って生きて行くか?ということは、人が生きて行く上でどれほど重要なことであるのかがよくわかる。たしかにそうだよなと感じる良書です。
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言葉について、国語力とは違って「言葉で考える」ということについて、たっぷりと書かれた本。とても読みやすくて、1時間あれば読み切れる。 言葉は日常では会話など伝え合うことに使うことが多く感じるが、実は自分の中で考えるために必要で、言葉が無ければ思うことや感じることも出来ないこと。...
言葉について、国語力とは違って「言葉で考える」ということについて、たっぷりと書かれた本。とても読みやすくて、1時間あれば読み切れる。 言葉は日常では会話など伝え合うことに使うことが多く感じるが、実は自分の中で考えるために必要で、言葉が無ければ思うことや感じることも出来ないこと。例で挙げた、アメリカ人は肩がこらないというのも面白いなと思った。言葉はその文化や時代が背景にあるのだと気付かされる。 でも、言葉では足らないもの、言葉以上に表現できるものもあるということも納得。方言の手紙や外国の音楽、意味は全て分からないのに心を打つものがあり、そんな「心のこもった言葉こそが、本当に美しく、正しい日本語なのではないか。」というまとめは、とても共感できた。 俵万智さんのサラダ記念日の例も、たった1行の短い文で読者の想像力を掻き立てる力があることを、説明を聞いて初めて感じた。そう見ると、短歌ってすごい!文章ってすごい! 最後に、「日本語が上達するための三つの方法」が書かれていて覚えておきたいのでメモ。 ①外国語を身につけよう、外国で過ごしてみよう ②古典にアタックしてみよう ③目にしたものを言葉にしてみよう 個人的には②が1番興味があった。「ホンモノ」が分かる感受性を養うためにも…本当にそう思う!文学も音楽も芸能も、何百年も前に作られたものが今でも人を感動させられるって、本当にすごいと思う。阿波踊りもそうなるのかなー。
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学校で勉強することじゃなくて、言葉を得ることの大切さ。 文字が書けるということではなく、言葉を、語彙をどれだけ持っているか、の話と捉えた。自分が思考するのに、世界を捉えるのに、言葉を使う。だから、言葉をたくさん持っていて、たくさん使えた方が、より世界をくっきりと捉えられるし、自分をしっかり伝えられる。言葉にならないこともあるし、言語が異なると捉え方は重ならない。だから伝わらないこともある。でも、自分が使っている言葉に目を向け、外国で異なる言語を使う文化を知り、古典から過去の人の言葉に触れれば、世界はもっと広くなるし、自分はもっと深くなる。
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言葉に関するあれやこれやのお話はぜひ15歳で知っておいてほしいものだけど、著者の生き方までマネされたら困るよなあという印象。著者が自称不遇な少年時代を過ごしながらも今ここまでの大家になれたのは、著者の生まれが良かったからってのが最も大きい要素だと思うので。
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学者の家に生まれ当然のごとく学者になったと、思っていたが、実は全く違っていた。こんなところが興味深い。
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なんというか、こういう中途半端な本を書いてはいけないな、と思った。ただでさえ祖父と父の威光で高名ではないのかと思われてるんだから、子ども向けの本でも、もう少しちゃんと書くべきでは。 エピソードは面白いけど突っ込みが足りなすぎ。 この程度の日本語研究者なら山ほどいる。 有名なだけあ...
なんというか、こういう中途半端な本を書いてはいけないな、と思った。ただでさえ祖父と父の威光で高名ではないのかと思われてるんだから、子ども向けの本でも、もう少しちゃんと書くべきでは。 エピソードは面白いけど突っ込みが足りなすぎ。 この程度の日本語研究者なら山ほどいる。 有名なだけあるね、と思わせないと。
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言葉(文法事項など)について書かれた本かと思いきや、自己の生き方について考えるための本だった。 読んでいるとなんとなく、古今和歌集の仮名序を彷彿させる。言葉というものは、自分の思いを表現するための重要な道具なのだと、改めて認識させられる本。
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日本語力を上げるには。 ①外国語を学ぶ ②古典に親しむ ③正確に伝える訓練をする 外国語を学ぶ意義について考えさせられた。つい最近「仕事で使わないから、英語を学ぶ必要性がないです。」って英会話教室の勧誘をしてきたお姉さんに答えたばかりだ(汗) 分かりやすくて面白かった。これは授業で使える。
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お父さんの金田一春彦先生がとっても好きだった。 この先生は若者の言葉の乱れを追及する番組で 「言葉は変わるものですからね。 長く使われれば、それが当たり前の表現になる。」 と、サラッと言った人。なんて、おおらかなんでしょう、なんて柔軟なんでしょう。 その先生を父として、さらにはおじいちゃんが金田一京助。 すごい家系だ。 15歳でこの本に出会っても、正直あんまり感銘はうけなかったかも。それくらい15歳は、いろんなことに大忙しだ。 だけれど、こんなことを言った人がいる、 ということを知っていること、それで、いいのかもしれない。 人を傷つける言葉も、人を救う言葉も、 どちらも使えるけれど、使うのは自分だ。 言葉に傷つけられるのも、救われるのも自分。伝えたいことを、伝えたい人に、伝えられる言葉を選ぶ。 そんな風になれたらすごく素敵。すごく豊か。
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