きりひと讃歌(文庫版)(1) の商品レビュー
医学部の閉鎖性を暴き、偏見と差別が大きなテーマとなる。さすが、手塚治虫は医師だけある。 大阪のM大学医学部で66号室のモンモウ病患者は、原因不明で骨軟化症と末端肥大症の併発らしい。その患者を担当していた青年医師小山内桐人は、この病気が退化性内分泌失調であり、気質性疾患とし、川の...
医学部の閉鎖性を暴き、偏見と差別が大きなテーマとなる。さすが、手塚治虫は医師だけある。 大阪のM大学医学部で66号室のモンモウ病患者は、原因不明で骨軟化症と末端肥大症の併発らしい。その患者を担当していた青年医師小山内桐人は、この病気が退化性内分泌失調であり、気質性疾患とし、川の水や土質に由来する風土病だとする仮説を立て、学生時代からの友人占部とともに研究を進めていた。一方、大名行列を率いる医学部第一内科医長の竜ヶ浦教授はウイルスによる伝染性病原体説をとなえていた。 学会に提出する論文を書き終えた小山内は竜ヶ浦教授の指示により、担当患者の出身地、徳島県犬神沢村へ赴くことになる。犬神沢村では、記録に残されたもので、223人も同じ病気で死んでいた。身体のあちこちが麻痺して、骨の形が変わり、顔は尖り、背骨は曲がり、手足の骨は萎縮し、立って歩けなくなる。人間というより、犬かタヌキのような姿になる。最後には呼吸麻痺を起こして死ぬ。 婚約者のいずみを残し、小山内は犬神沢へ赴任する。阿波、剣山地、犬神岳の山深いところに犬神沢村はあった。その村はしきたりのうるさいところだった。1軒家に案内され、ご馳走と言われたのがたづという女子だった。まるで、『砂の女』のシチュエーションである。婚約者のいずみがいながら、寒さで、抱いてしまう。それが翌日には、村の噂になり、村人として認められる。 たづの父親は、モンモウ病だった。そして、村人たちはそれを隠そうとする。結局、小山内はたづと結婚する。それで、村人は手出しをしなくなる。さらに、小山内はモンモウ病の前期症状が出る。たづや村人は、モンモウ様がのりうつったという。村長は、見舞いに牛の生肉をおいて行くのだった。 友人占部は、小山内を探しに徳島に行こうとするが、竜ヶ浦教授は、南アフリカ連邦のヨハネスバーグの国際伝染病学会に出席せよという。そこで、南ローデシアでも不可解な奇病があるとローデシア国立大学の教授から言われる。黒人のブッシュメンだけに、この奇病にかかる。 小山内は、モンモウ病にかかりながら、原因を探し、谷の上流に二畳紀の地層があり、その地層から特別な物質が谷川に混ざり、その他に川の水を飲むことで起こると推定する。また、その谷川の水で作った酒が、モンモウ病になると推定する。その谷川の水を飲まなければ、モンモウ病の進行は止まる。 小山内は、村長に谷川の水を飲まないように注意して、たづと一緒に保健所に行く最中に、たづは襲われ、死んでしまう。そして、たづを弔い、村から出て、温泉宿に泊まる。大阪の病院に電話するが、小山内は除籍されていた。そして、旅館を出た小山内は何者かに襲われ、船に乗せられ、台湾の万大人の余興の見せ物にされるのだった。お金持ちたちは、お金で買えるような見せ物は見たくない、お金で買えないような余興を要求する。人間天ぷらの芸をする麗花と一緒になって、日本に戻る企みを構想する。 占部は、ローデシア国立大学の先生に、モンモウ病の隔離されている牢屋みたいなところに案内される。ローデシア国立大学の先生は、白人主義者であった。また占部は修道院院長に連れて行かれ、修道尼が、モンモウ病にかかっていることを診断し、白人も罹病することを知る。占部と修道尼は院長に銃で撃たれるが急所は、外れていて、奇跡的に黒人の医師によって助けられる。占部は医師として、モンモウ病にかかった修道尼に、キリストの苦難に耐える道を説く。 このモンモウ病は、ハンセン氏病に対する社会的な風潮とよく似る。また、南アフリカの白人主義もシンボル的な表現だ。差別社会のなかで、モンモウ病がどうさらに差別されるのか?手塚治虫の医療に関する深い怒りが内在している。このマンガ、すごいなぁ。これだけたくさんのテーマを盛り込んでいる。
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医学に精通してる方じゃないと絶対描けない漫画。きっとこんな病気はないんだろうけど、ありそうな気がするくらいリアルで不安になる。 主人公の精神力が本当に凄い
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もっと早く読めばよかった。傑作。 謎の奇病モンモウ病の原因と治療の研究にあたる若き医師:小山内桐人。彼は、医師会会長当選を目論む上司:竜ヶ浦教授の手により、モンモウ病に罹患させられ、存在を医局から抹消される。 1巻は、桐人が犬人間として見世物にされ、台湾に売り飛ばされ、一方同...
もっと早く読めばよかった。傑作。 謎の奇病モンモウ病の原因と治療の研究にあたる若き医師:小山内桐人。彼は、医師会会長当選を目論む上司:竜ヶ浦教授の手により、モンモウ病に罹患させられ、存在を医局から抹消される。 1巻は、桐人が犬人間として見世物にされ、台湾に売り飛ばされ、一方同僚だった占部が、奇病の原因を探り小山内を救出しようとする過程で精神を破壊されるあたりまでが描かれている。 医学界の権力主義と、その犠牲になった桐人や周りの人々を通して人間の尊厳とはなんぞや?という課題を浮き彫りにしている。 救いようのないラストで後味が悪いという意見もあるようだが、読む人や時代によって感じ方は変わるだろう。 私の場合、今の時代にこれを読めてよかったと思う。
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外見が犬でありながら人として生き続ける小山内。 女たちは必ず彼を愛した。 人でありながらゆがんだ願望を押し通す竜ヶ崎。 すべての権力と権威も地に落ちて孤独に死んでいく。 歪んでいない欲望はあるのか。 人たるものはみな己の欲のために生きる。 それは清廉潔白でありたいでも 権力をほ...
外見が犬でありながら人として生き続ける小山内。 女たちは必ず彼を愛した。 人でありながらゆがんだ願望を押し通す竜ヶ崎。 すべての権力と権威も地に落ちて孤独に死んでいく。 歪んでいない欲望はあるのか。 人たるものはみな己の欲のために生きる。 それは清廉潔白でありたいでも 権力をほしいままにしたいでも すべてては「ただ愛されたかった」のではないか。 愛されたい 愛されたい と言って生き 死んでいくのだ。 ほしいものをまっすぐにほしいと言えない男の哀しさ そんなものにもう同情はしない 21世紀も16年目 ほしいものは自分で自分に与える時代なのだ
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原因不明の病気と、それを取り巻く人間たちのドラマ。 かなりシリアスな作品。手塚治虫の、医学に関する深い知識と高いプライドが感じられる。
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あれ、これ以前読んだ時は、それほど魅力を感じなかったのですが、今回読み返して、けっこうおもしろいです。 主人公の桐人は、いつもの手塚主人公で、熱血漢で、なぜかもてて、それほど魅力的ではないのですが、占部が、良い感じです。 実は、「三つ目がとおる」よりも早く読めました。 うーむ...
あれ、これ以前読んだ時は、それほど魅力を感じなかったのですが、今回読み返して、けっこうおもしろいです。 主人公の桐人は、いつもの手塚主人公で、熱血漢で、なぜかもてて、それほど魅力的ではないのですが、占部が、良い感じです。 実は、「三つ目がとおる」よりも早く読めました。 うーむ、手塚 治虫、子ども向けのマンガより、大人向けのマンガの方が、おもしろい気が。 これは、わたしの変化か? 昔は、あんまり手塚の大人向けには、食指が動かなかったのだが。
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手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせら...
手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせられる仕掛けが満載されています。
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謎の病気・モウモン病の秘密を研究する医師・桐人。しかし山奥でのけ研究中自らも・・。桐人の運命。たずとの出会い。卜部といずみ、ヘレンとの関係。
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