歴史の使い方 の商品レビュー
歴史の中にどういう学びがあるかを教えてくれる本。総論賛成で各論で反対というのはよくあるが、それは結局総論でも賛成していないのと同じである。人を動かすときには大義を掲げる必要がある。ただし、人が動くのは大義があるからではない。人は利害と恐怖でしか動かないが、大義のために動いていると...
歴史の中にどういう学びがあるかを教えてくれる本。総論賛成で各論で反対というのはよくあるが、それは結局総論でも賛成していないのと同じである。人を動かすときには大義を掲げる必要がある。ただし、人が動くのは大義があるからではない。人は利害と恐怖でしか動かないが、大義のために動いていると人は信じたがるロマンがあるため、これを前面に掲げる。話を通すときは、下にまず通したほうがよい。尊王攘夷については、当時の客観的な状況からも日本は外国から学ぶ必要はあると感じていたが、それを外国から言われたくないという感情が強く、尊王攘夷が強まっていった。世論は実現可能性を考えない。その後の生麦事件、薩英戦争での大敗を経て、イデオロギーではなく、産業として強化しなければならないことを理解した。
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まさに官僚の王道をいく人物。知力、企画力、構想力、そして実行力を有する官僚が大量生産できる国になれば良いのに。戦国、江戸の歴史に主に触れているが、やはりモンゴル、チンギスハーン、ペーパーマネーのくだりをもっと突っ込んで勉強したい。13世紀のモンゴルと21世紀のアメリカの類似性を指...
まさに官僚の王道をいく人物。知力、企画力、構想力、そして実行力を有する官僚が大量生産できる国になれば良いのに。戦国、江戸の歴史に主に触れているが、やはりモンゴル、チンギスハーン、ペーパーマネーのくだりをもっと突っ込んで勉強したい。13世紀のモンゴルと21世紀のアメリカの類似性を指摘するのは著者のオリジナルなのだろうか。ペーパーマネーの限界は80年で1971ニクソンショックから80年の2051あたりか。
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以前の仕事で著者の堺屋太一さんが話に出てきて、興味を持って読んでみた一冊。歴史に学べることは多くあると思うけど、他の人たちがどう活かしているのか興味深く読むことができました。日本はまだまだ国家レベルでも地域のレベルでも問題は山積みだけれど、どっちに向かうべきだという方向性は少しず...
以前の仕事で著者の堺屋太一さんが話に出てきて、興味を持って読んでみた一冊。歴史に学べることは多くあると思うけど、他の人たちがどう活かしているのか興味深く読むことができました。日本はまだまだ国家レベルでも地域のレベルでも問題は山積みだけれど、どっちに向かうべきだという方向性は少しずつ見えてきている気もする。目の前にあることを俯瞰して、完全な正解でなくとも「こっちかな」という方向に進んで適宜軌道修正していけば、今いるところよりは近づける。そんな気はした一冊でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この本から感銘を受けたことは以下の4点です。 1.時代小説と歴史小説は別物 2.国家が崩壊するケースは2つしかない 3.人類と他の動物にある3つの絶対的違い 4.歴史は繰り返す 中でも印象的だった3と4について少し本文引用します。 3.人類と他の生物にある3つの絶対的違い ・「歴史」すること 言葉を語り、主張を確かめ、記録に残して後世に伝えることができる ・「設計」すること 方向を定め、境界を設け、土地を測り、ものをつくるまえの想像することができる ・「未来を予測」すること 将来を考え、未来を想い、物財を貯え、計画的に行動することができる 人類はこの三つの能力を相互に活用しています。 「過去の記録と記憶を今の設計に生かして、 今の設計を未来の予測に使っている。」 4.歴史は繰り返す 堺屋さんは、さまざまな史実を基にまさに「歴史は繰り返されて」きたことを証明してくれています。 その上で、堺屋さんはおもしろい設計をしました。 「歴史上、周囲に外国の軍事力を意識しなくてもよいほどの世界統一国家は世界で二国家しか存在しない。 13~4世紀のモンゴル国(ウルス) と 現在のアメリカ合衆国 である。」 なるほど確かに、と思える説明も添えられておりなかなか痛快でした。 だからこそ、なんですが、堺屋さんにはその設計から大胆な未来予測をしてほしかった! でも歴史に興味がある人が歴史学を学ぶにはうってつけ。 また「「歴史は繰り返される」っていうけどほんとのとこどうなの?」って人にはぜひ読んでもらいたい! 日本史世界史を勉強しなおしてからもう一度この本に向き合いたいと思います。
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途中から俄然面白くなりました。 3章の歴史を練る、本能寺の変についての記述のあたりから。。 初めて堺屋さんの本を読みましたが、ご本人の歴史の見方、語りにぐいぐい引きつけられました。 これからの社会がどうなっていくかは、多くの人が気になるテーマ。 自分自身の予測を磨くために、...
途中から俄然面白くなりました。 3章の歴史を練る、本能寺の変についての記述のあたりから。。 初めて堺屋さんの本を読みましたが、ご本人の歴史の見方、語りにぐいぐい引きつけられました。 これからの社会がどうなっていくかは、多くの人が気になるテーマ。 自分自身の予測を磨くために、知識を持ち、そして自分の感性を磨かなくては。
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本当に目的を実現するためには、入りにくくとも「出口のある入口」に入らないとならない。 石田光成が徳川家康に対抗できたのは、大いなる企てによる。ここに人の力を集めるプロジェクトマネジメントのヒントがある
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橋下さんの登場でいま盛り上がっている維新の会のブレインといわれている堺屋さんが説く歴史の使い方。 歴史は人間が作り、その人間の本質が変わらない以上、形は変われど、本質的には同じようなことを繰り返す。ゆえ、先人の成功例・失敗例が実は今を生きる我々にも十分通じるノウハウとなる。 具体...
橋下さんの登場でいま盛り上がっている維新の会のブレインといわれている堺屋さんが説く歴史の使い方。 歴史は人間が作り、その人間の本質が変わらない以上、形は変われど、本質的には同じようなことを繰り返す。ゆえ、先人の成功例・失敗例が実は今を生きる我々にも十分通じるノウハウとなる。 具体例として、豊臣政権下で事務次官的な位置にいた石田三成が大臣に相当する徳川家康に対抗する手法を堺屋さん自ら、経産省時代に行い、万博開催にこぎつけている。 この本は知識としての歴史を実用化する手法が説明されており、非常に参考になった。ただ、それぞれの歴史の本質をどのように引き出すのかという視点の記述が少なく感じた。自分なりに考えとしては、歴史の主人公になり切って考えることだと思う。つまり、石田三成なら三成をとりまく当時の状況を踏まえ、何をしたいのか、その為にどうするのか?と考えているはずなので、それを歴史とセットで推理する。すると問題の本質が見出せる。いわば歴史の境遇マーケティングであり、インサイト発掘である。 これらの視点を持ち、今後ともさまざまな歴史に接してみたい。
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堺屋先生の本は,全部面白いです.この本は,大変勉強になりました.歴史を知り,設計し,未来を予測することの重要性がよく分かります. これも,主に地下鉄往復の時間で読めました.やればできるもんだ.
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歴史小説や歴史上の人物の思考方法が現在の社会人にどのように活かせるかという視点で何冊もの本を書いてきた堺屋氏が、歴史の使い方というコンセプトで、歴史を「知る」「楽しむ」「練る」「企てる」「穿つ(うがつ)」「合わせる」「活かす」の観点から書かれた本です。 歴史を学ぶことは、未来...
歴史小説や歴史上の人物の思考方法が現在の社会人にどのように活かせるかという視点で何冊もの本を書いてきた堺屋氏が、歴史の使い方というコンセプトで、歴史を「知る」「楽しむ」「練る」「企てる」「穿つ(うがつ)」「合わせる」「活かす」の観点から書かれた本です。 歴史を学ぶことは、未来において決断をすることが迫られることが多い社会人にとっても参考になると思いました。 以下は気になったポイントです。 ・ 13世紀のモンゴル帝国が発明した「ペーパーマネーを国際基軸通貨とする体制」は、通貨を物財との交換手段ではなく、利潤を生む資本(有利子で借りるものがある限り価値を保つ)と考えられることから出発した(p4) ・日本の歴史で、没年を覚えていたほうがよい人物は、織田信長と聖徳太子くらい、あとは活躍した時代を確認しておく(p21) ・日本史を知るための三大要素は、歴史の継続性・単一性・純粋性の3つに要約される(p24) ・近代化以前に、日本の政府が海外に軍事的侵攻を企てたのは、663年の白村江の戦い、1592~98年の朝鮮出兵であり、いずれも短期間で失敗に終わった(p34) ・組織的に日本が攻撃されたことは、元寇(1274,1281)と、欧米艦隊の来航(19世紀中頃)であるが、二回とも短期間で終わった(p34) ・日本は他の陸地とは「狭くない海」で隔てられていて、時間と費用を無視できる使節、留学生は往来可能であるが、人や物を計画的に大量輸送することは、高級品以外は無理(p36) ・日本の科学技術が西洋に比べて遅れるのは、享保年代(1716-35)以降の統制と弾圧によって、不況と停滞が続いたため(p48) ・歴史を知り、楽しむ場合には、昔の人が、その人にとっての昔をどう感じていたかを冷静かつ正確に推測するのが望ましい(p68) ・巨大な石造物を造ったのは、余剰な生産物と労働力を、再生産力を産まない事業に投入することで、余剰生産物の蓄積をなくし、社会の階級化を防止するというのが最近の通説(p70) ・千年の間、1つの国の首都であったと思われる都市は、世界で、ローマ・パリ・イスタンブール・京都の4つ、北京はあと200年(p71) ・崇仏派の豪族たちを納得させながら、天皇家の地位を守るには、神と仏の両方を同時に信じることを許容する、習合思想を開発する必要(聖徳太子)があった(p99) ・東洋伝統の太陰太陽暦はややこしい、1年の周期と月の満ち欠けによる1ヶ月を調整するために、11年に4回か、19年に7回の閏月を入れる必要がある(p110) ・プロジェクトメークの手順は、1)コンセプト(概念)の決定、2)大義名分を掲げる、3)プロジェクトスポンサーを決定、4)格式ある人物を総大将に担ぐ、である(p141) ・大きな川の下流の沖積平野に多くの人が住むようになったのは16世紀の戦国時代から、居住条件は悪く交通も難儀、下克上の基には、地位的的な生産力の向上があった(p169) ・朝鮮出兵は、その内実は成長社会から安定社会への転換時点で生じた一種のバブル弾けに対する対応(経済・軍事面から)であった(p171) ・江戸時代には、農産は健全だが、都市は不健康なブラックホール、つまり人口を呼び集めては死に絶える町であった(p177) ・好景気の明るい文化の時代の為政者が酷評され、不況と文化弾圧で暗い時代をつくったものが歴史に名を残すのは、記述者が下級武士階級であった(p188) ・1863年に徳川慶喜が京都に移住すると、首都機能が完全に京都に移った、老中も半数は京都、有力な諸藩の殿様も京都に集まった(p198) ・体制が崩壊するのは、1)その体制では治安が維持できなくなった場合、2)文化の破綻、でそれ以外(経済は関係ない)で体制が崩壊することはない(p208) ・西側諸国が苦々しい思いで官僚主導の日本を見ていたのは、中南米の軍事政権や中東の絶対王政を支持していたものと似ている(p232) ・浜口総理の生命を奪ったのは、不況ではなく軍縮、ワシントン条約での主力艦の削減、陸軍の4個師団削減(p251) ・人口が世界的に減少したのは、1)2~5世紀、2)13~15世紀、1)はエネルギー資源である森林の激減から物財生産の拡大不能、2)は寒冷化による疫病蔓延である(p285) ・周囲の外国の軍事力を意識しなくても良いほどの世界統一国家は、モンゴル国(13,14世紀)と現在のアメリカのみ(p299) ・モンゴルとアメリカの類似点は、1)多文化の許容、2)軍事戦略思想(大量報復)、3)経済である(p306) 2011/1/1作成
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歴史は繰り返す。 しかし、全く同じように繰り返す訳ではないので、 過去として理解し、今に活かしていく必要がある。 読んでいてい参考になった点は以下。 第4章 歴史を「企てる」 石田三成が関ヶ原の戦いを計画するまではうまく進んでいたが、 結局敗戦に終わってしまった理由は、以下の...
歴史は繰り返す。 しかし、全く同じように繰り返す訳ではないので、 過去として理解し、今に活かしていく必要がある。 読んでいてい参考になった点は以下。 第4章 歴史を「企てる」 石田三成が関ヶ原の戦いを計画するまではうまく進んでいたが、 結局敗戦に終わってしまった理由は、以下の3つの誤りがあったためだ。 ・招集した大臣のニーズをはき違えた。 ・相手(徳川家康)の動向をつかめていなかった。 ・味方首脳陣に危機感が伝わっていなかった。 上記は現在のプロジェクトにも当てはまる。 ”目的の明確化”、”競合の情報収集”、”チームマネジメント”この3点がどの時代も組織には求められるのだろう。
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