殺す者と殺される者 の商品レビュー
69点:夫婦のあいだで何が起きているかは、傍目にはわからんものでしょう?あなたにもわたしにも、あのふたりがお互いをどう思っていたか、本当のところは知りようがないわけです。 この警部は警部の立場として当たり前のことをちゃんと言ってました。 小説としては模範的な作りにみえ、基本がし...
69点:夫婦のあいだで何が起きているかは、傍目にはわからんものでしょう?あなたにもわたしにも、あのふたりがお互いをどう思っていたか、本当のところは知りようがないわけです。 この警部は警部の立場として当たり前のことをちゃんと言ってました。 小説としては模範的な作りにみえ、基本がしっかりできているという感触はある。 ただ今読んで面白いかというとなんだか微妙に感じる。なぜか。それは主人公とヒロインがあまり魅力的にみえないから。
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最後まで読んでようやくタイトルに納得。気持ちいい!謎解きとかトリックの面白みはなかったけどハッとさせられました。多重人格が判明してからの話が少し長かったです。
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小谷野敦氏推薦のミステリーですが、以下はネタバレアリです。 まず、多重人格者ものを本格推理小説に分類するのは異議ありです。 別人格の行動が主人公の知らないところで行われている前提では、小説をいくら読みこんでもわかりようがありません。 もちろん、主人公自身にも違和感や記憶のずれを感じてはいるという描写はあるのですが、それは頭を打った際の記憶障害であるかのようなミスリードもしています。 まあ、それでも楽しめる人向けのものですが・・ また翻訳にも数か所読みづらいところがありました。
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貧困とねじれた精神は、危険な組み合わせだ。そこにバーボンの水割りでもちょっと加えてみるがいい、恐ろしいものができあがるから。(抜粋)
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序盤から行き着く先に不安を覚えさせる「わたし」視点の回想録。 早い段階で「その」可能性には思い至るのだが、「それ」を結果として用いるのではなく通過点として描ききった作者の技量は見事。「その」手の話で主人公のポジションはあまり読んだことがなく、また「時間」においては気がついていなか...
序盤から行き着く先に不安を覚えさせる「わたし」視点の回想録。 早い段階で「その」可能性には思い至るのだが、「それ」を結果として用いるのではなく通過点として描ききった作者の技量は見事。「その」手の話で主人公のポジションはあまり読んだことがなく、また「時間」においては気がついていなかっただけに素直に驚いた。伏線はいくつも散りばめられていたのに…。 客観的事実を都合の良いように解釈する主人公や本心が分からないシーリアにもどかしさを感じつつも、一気読みできたのはマクロイの上手さだろう。もどかしさも含めて心情の描写が秀逸だった。
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ラストで「殺す者」と「殺される者」の存在が判明。誰でも内なる別の自分、を持っていると思うが、記憶が抜け落ちるというのは大いなる不安なはず。そこをミステリィにからめて一気に読ませた感じ。
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序盤の方で、会話の違和感などからあるネタが思い浮かんでしまい、読み進めるごとに確信に変わっていきました。今となっては珍しくない仕掛けですが、フェアに徹しようとするその姿勢には、好感が持てます。 しかし、もう1つのネタ(これも現在では使い降るされた仕掛け)には素直に驚きました。確か...
序盤の方で、会話の違和感などからあるネタが思い浮かんでしまい、読み進めるごとに確信に変わっていきました。今となっては珍しくない仕掛けですが、フェアに徹しようとするその姿勢には、好感が持てます。 しかし、もう1つのネタ(これも現在では使い降るされた仕掛け)には素直に驚きました。確かにアレ1つでは説明のつかない事象がすっきりと解消されます。なぜ気付けなかったのでしょうか… 若干ネタバレ気味になってしまいましたが、これほど昔にアレ系のネタのハイブリッドを高い次元で成し遂げた佳作だと思います。
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伏線もあるし、「犯人」の正体は半ばでわかるのだけれども、で、いろいろ似たような話はあってしかも結末も想定範囲だが、今から60年近く前にこういうのが書かれた、という部分は敬意を表したい。
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ミステリーとしてはとても雰囲気のある作品で、あいまいな記憶というテーマが読者に先を読ませるための味わいになっていると思う。 だが、1957年の作品という意味では、非常に斬新なアイディアだったのだろうと思うのだが、今ではこの手の内容はかなり書きつくされた感もあり、途中でオチが見えてしまった。雰囲気がよいだけにとても残念だと思う。
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ある人物の回想録という形式を採った本作の冒頭で作者は「信頼できない語り手」である可能性を示唆してくれている。それは全ての真相が明らかになった瞬間でさえも変わらない。
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