大作曲家たちの履歴書(下) の商品レビュー
1997年刊。 西洋近代音楽の様々な「大」作曲家たちの伝記的事実を知りたくて買ってみたのだが、当てが外れた。伝記的な部分はほんの少し記載されているだけだし、話が前後していたりする。むしろ「大」作曲家たちについての雑学集のようなもので、情報は断片的、知っていれば話の種にはなると...
1997年刊。 西洋近代音楽の様々な「大」作曲家たちの伝記的事実を知りたくて買ってみたのだが、当てが外れた。伝記的な部分はほんの少し記載されているだけだし、話が前後していたりする。むしろ「大」作曲家たちについての雑学集のようなもので、情報は断片的、知っていれば話の種にはなるという程度の書物だった。羅列された情報を読んでいくだけで、文章としてつながりがないので、通読する気になれず、時間をおいてときどき拾い読みするくらいにしてしまった。 それでも、ヴェルディやプッチーニなど、これまでさして関心がなくよく知らなかった作曲家については多少の知識を得ることができた。 しかし、本書に記載されたことがどこまで事実なのかは留保したい。というのは、明らかにミスリードではないかという部分もあったし、憶測による「ほんの一つの仮説」程度にしか言えないだろうことを断定的な調子で書いていたりもして、「おやおや」という感じがした。 シェーンベルクとストラヴィンスキーの項目については、偏見が多くよく理解できていないなあと思ったし、その辺りでしきりに「20世紀の無調系音楽は過ちだった」といった著者の思惑がくどいほど繰り返されているが、私には同意しがたく、読んでいてじれったくなった。 作曲家の家系図とか女性遍歴とかについてはよく調べたなあとは思うけれども。
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取り上げられている作曲家はヴェルディ、ブラームス、チャイコフスキー、フォーレ、プッチーニ、マーラー、ドビュッシー、リヒャルト・シュトラウス、シェーンベルク、ストラヴィンスキー。 本書で特に興味深かったのはヴェルディとストラヴィンスキー。ヴェルディは音楽的な才能ではワーグナーやプ...
取り上げられている作曲家はヴェルディ、ブラームス、チャイコフスキー、フォーレ、プッチーニ、マーラー、ドビュッシー、リヒャルト・シュトラウス、シェーンベルク、ストラヴィンスキー。 本書で特に興味深かったのはヴェルディとストラヴィンスキー。ヴェルディは音楽的な才能ではワーグナーやプッチーニよりも劣り、外国語のみならず母国語の文法でさえも間違うような、無教養な人物だったという。そういう人物が「アイーダ」や「椿姫」のような傑作オペラ、さらには名曲「レクイエム」を残しているのだから面白い。 ストラヴィンスキーはココ・シャネルやピカソなど、交友関係が興味深かった。 上巻も通じて、ラヴェル、ドヴォルザーク、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチなど、取り上げてもいい作曲家はまだ多い。続編が待たれる。
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下巻では、ヴェルディ、ブラームス、チャイコフスキー、フォーレ、プッチーニ、マーラー、ドビュッシー、R.シュトラウス、シェーンベルク、ストラヴィンスキーが取り上げられる。 「人種」とセクシュアリティに関する、筆者の意識の古さについてはもう言わないこととする。 (チャイコフスキーにつ...
下巻では、ヴェルディ、ブラームス、チャイコフスキー、フォーレ、プッチーニ、マーラー、ドビュッシー、R.シュトラウス、シェーンベルク、ストラヴィンスキーが取り上げられる。 「人種」とセクシュアリティに関する、筆者の意識の古さについてはもう言わないこととする。 (チャイコフスキーについての記述など、率直に言うとかなり不快。) でも、上巻よりはるかに読みやすかったのは、なぜだろう? ここまで現代に近づいてくると、三枝さん自身の立ち位置も照射される。 なぜ日本人が、西洋近代の音楽の影響下に作曲するのかという捉え返しの中で叙述されているからかもしれない。 ヴェルディなど、名前や作品の一部は知っていても、その生涯については全く知らなかった作曲家については、興味深く読んだ。 貧しい家庭に生まれ、名誉に一切関心を持たず、頑ななまでに土地を所有することに執着し、農作業を好んだヴェルディ。 作品とその人とは別とはいうものの、やはり聞き方が変わってしまうかも。 万事控えめなフォーレ、伊達男プッチーニ、シュトラウスとシェーンベルクが二人とも「守銭奴」だったとは。 殊にシュトラウスの息子が、「サロメ」のリハーサルから帰った父に、「今回はいくら儲かりましたか?」と尋ねたら、シュトラウスは息子を抱きしめ「お前も私の本当の息子になった」と喜んだというエピソード。 本当かなあ、とも思うけれど、思わず笑ってしまう。 そう言えば、子どもの頃、ジュニア向けの作曲家の伝記を読んだ。 音楽之友社からでたもの。 その時、ドビュッシーも確かに読んだはずなんだけれど、なんの記憶も残っていない。 本書では、作品は別として、その人柄を自分のことしか考えることのない悪人、と完膚なきまでの評価。 なるほど、それでは子ども向きの伝記にするにも、かなり苦労するはず。 もう一度その伝記を読んでみたくなった。
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上巻と比べると、著者の意見が前面に出過ぎた感があったので、星はマイナス一つ。 ヴェルディからストラヴィンスキーまでの作曲家にスポットライトが当たっています。上巻でもなぜハイドンにはスポットライトが当たっていないのかなと疑問に思ったのですが、下巻でも同じことを思いました。ショスタコ...
上巻と比べると、著者の意見が前面に出過ぎた感があったので、星はマイナス一つ。 ヴェルディからストラヴィンスキーまでの作曲家にスポットライトが当たっています。上巻でもなぜハイドンにはスポットライトが当たっていないのかなと疑問に思ったのですが、下巻でも同じことを思いました。ショスタコーヴィチとか。それこそ、ジョン・ケージとか。 決して上巻の作曲家たちが順風満帆な人生を送っていたわけでも、全員が全員、生きている間に正当な評価を受けていたわけでもないのですが、下巻は不遇の人生を送ったひとが多かったように思います。マーラー、シェーンベルグの二人は特に、読んでいて苦しくなりました。 それは、彼らの経験したものが私の生きている時代に近いからこそ、感情移入できるだけなのかもしれません。それでも、ふたつの世界大戦が払った代償は、戦死者の数だけではなく、生き延びたとしても精神的に払わなければならなかった犠牲を考えると、やはり相当に重いと考えるべきなのでしょう。 少し軽いレベルでは、あれだけ美しい音楽をつくったドビュッシーが「稀代の悪人」と呼ばれることに衝撃を受けました。 この本だけで完結するような情報量ではありませんが、巻末に著者が読んだ参考文献も載っているので、これを足がかりに様々な道に進めるのではと思います。
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偉大なクラシックの作曲家たちの経歴を紹介。 クラシックの作曲家ときくと崇高なイメージがある。しかし、この本を読むと、そんなことはなく普通の人間だったということがわかり、作曲家に対する親密感を感じることができる。 クラシックの入門として読むことをオススメする。
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大作曲家の生涯を、多角的にでもさっくりと描いたエッセイ集というより学術書。 取り上げている作曲家は、 バッハ モーツァルト ベートーヴェン シューベルト ベルリーオーズ メンデルスゾーン ショパン リスト ワーグナー(以上、上巻) ヴェルディ ブラー...
大作曲家の生涯を、多角的にでもさっくりと描いたエッセイ集というより学術書。 取り上げている作曲家は、 バッハ モーツァルト ベートーヴェン シューベルト ベルリーオーズ メンデルスゾーン ショパン リスト ワーグナー(以上、上巻) ヴェルディ ブラームス チャイコフスキー フォーレ プッチーニ マーラー ドビュッシー R・シュトラウス シェーンベルグ ストラヴィンスキー(以上、下巻) 雑誌掲載をまとめたということだが、バッハとモーツァルトは書き下ろしで、その二つが圧巻。 この密度、クオリティーでいくのかと、覚悟して読んだら…。 こういう並びにすると、やっぱり年代順、つか、音楽史的にならべざる得ないんだろうけど、それゆえにだいぶ損してるよね。 にしても、まず、その作曲家の人生の概要があり、生きた時代のざっくりとした説明があり、ルーツがあり、そして人生にそったエピソードをならべていくという構成が、むしろ斬新で面白かった。 ま、いちいち女性関係を問題視するのはどーかと思いましたけどねww と、結局のところ音楽家って、変人だよねってところに落ち着くところもどうかと。 いや、確かに変人ばっかりだったんだろうけど、むしろ三枝氏自身が作曲家ってこういうものだから、どうか勘弁してくだいよ、って本の向こうで頭下げてる感じがしてしようがないんですけどね。 と、「あとがき」がよい。 西洋音楽がなにゆえにここまで世界的に広がったかというところを、とても的確に語っている。 うん、フォーマット化っていうのは偉大なんですね。 ともあれ、音楽に対して新しい視点を与えてくれる良書だと思います。はい。
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概ね上巻で書いたとおり。ただ、下巻では、多少時間が進んで、「20世紀の音楽」のことが語られる。ところがこの「20世紀の音楽」というのは、いわゆるクラシックの文脈の中に位置づけられる現代音楽のことであって、ロックやジャズ等の大衆音楽に関する視座がすっぽり抜け落ちている。その辺に、ク...
概ね上巻で書いたとおり。ただ、下巻では、多少時間が進んで、「20世紀の音楽」のことが語られる。ところがこの「20世紀の音楽」というのは、いわゆるクラシックの文脈の中に位置づけられる現代音楽のことであって、ロックやジャズ等の大衆音楽に関する視座がすっぽり抜け落ちている。その辺に、クラシック畑特有の傲慢さみたいなものを感じてしまった。
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