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ヴァインランド の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2025/10/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦後のアメリカ全体を包んだパラノイアを、とんでもない熱量で描く怪作。全マシの二郎系ラーメンみたいな作品。 60年代から80年代にかけての激動の時代に、国家に振り回された人々の生涯を、大量のポップカルチャーを引用しながらとてつもない情報量で描写する。 「デジタル以前の、TVによってさえ切り刻まれていなかった時のなかを、ゆったりと流れるように生きていただけ」(p.53)の、メローなるシックスティーズの住人たちの描き方が最高。彼らの人生に、ロックンロールの黄金時代が、LSDの冒険が、革命が、どんな意味を持っていたのか。60年代のヒッピー・ムーブメントに代表されるカウンターカルチャーを肯定しつつ、その虚しさを哀愁たっぷりに描いている。 登場人物たちも全員最高。ダメ親父のゾイド、時代に翻弄されるフレネシとプレーリィ、忍者のDL、カルマ師のタケシ、TV中毒のヘクタ、権力の犬であるヴォンド、数学教授から精神的指導者になるウィード…書き出したらキリがない。 ギャグたっぷりの下品な物語の中に、政治的な重いテーマを落とし込んでいる点にこの作品の真価がある。忍者・幽霊・怪獣・下ネタ等、下品なギャグ満載でゲラゲラ笑いながら読み進めていると、急に硬派な文体で我に返ることとなる。国家権力の暴走が、個人のアイデンティティを徹底的に叩き潰す恐怖。パラノイアの連続で、ひたすらに大衆的なものを押し付けられ、個人の価値観が無視されるアメリカ。 レーガン政権を対象に書かれている物語であるものの、それを現在のトランプ政権と読み替えても何の違和感もない。アメリカのパラノイアは終わらない。まさしく時代を超越して読み継がれていくべき作品。 ただふざけているだけでなく、随所に信じられないくらいクールで美しい文章が挿入され、しっかりと文学的な価値を高めている。特にラスト、親戚一同と離れて森の中で眠るプレーリィを愛犬のデズモンドが起こしに来る朝の描写の美しさたるや。 激動の60年代を生き抜き、膨大な知識を有するピンチョンにしか書けない、唯一無二の傑作。天才としか形容できない。 大学時代に60年代アメリカのカウンターカルチャーを研究した自分には特別すぎる作品。当時の若者の思想や、その後大衆文化に迎合したヒッピーたちの様子を、ここまで率直に描いた作品を初めて読んだ。 以下、もっとも本作のメッセージが込められていると感じたセンテンス。 (p.392) 「オレは忘れんぞ」ゾイドは誓う。「国家権力がどうだろうと、知ったことか。オレたちが輝いてたころのさ、あのグッド・タイムズは永遠に不滅だ」 「輝いたことが罪なのさ。彼らはそれを許さなかった」

Posted byブクログ

2023/01/20

230120*読了 はい、こちらも読み応えたっぷりの二段組! 注釈が多いと中断されて世界にどっぷり入りづらいところがあるなぁ…。親切心だとは思うのですが。 1960年から80年代のアメリカの音楽もミュージシャンも俳優も知らないが、それでも話自体がおもしろいので問題なし! 「19...

230120*読了 はい、こちらも読み応えたっぷりの二段組! 注釈が多いと中断されて世界にどっぷり入りづらいところがあるなぁ…。親切心だとは思うのですが。 1960年から80年代のアメリカの音楽もミュージシャンも俳優も知らないが、それでも話自体がおもしろいので問題なし! 「1984」のピンチョン版だと言われていますが、ジョージ・オーウェルの「1984」は読んだことがなく、村上春樹の「1Q84」は全巻しっかり読んだという…。順番よ。 勝手に「1Q84」と比較すると、躍動感が似ている気がする。 場面がテンポ良く変わって、疾走感がある。 麻薬、麻薬、共闘、麻薬、ミュージック、TV…。 当時のアメリカの側面を覗き見れた、のかしら? 「オンザロード」もそうだけど、当時のアメリカっていろんなものが混ざっていて、アメリカのイメージそのものなんだよなぁ。 今の方が各国の区別がなくなってきているというか。 これでいいの?と思う展開は盛りだくさんだけど(笑)おもしろいかどうかと聞かれたら、おもしろい!と答えたくなる小説です。

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2021/08/09

これはめちゃくちゃ楽しかった。 ピンチョン版「1984年」。サブカル的視点からアメリカ60年代から80年代を縦横無尽に描いていく。 やっぱりピンチョンって、ポストジョイスだと思うんだよな。

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2012/11/13

回収されない伏線、行ったり来たりを繰り返す膨大な人物(ピンチョンにしては少ない方だろうが)に関する溢れかれる記述、リズミカルな言葉が遊びとめまいしそうなスピード感も一度乗ってしまえば、あとはオートマチックにもってかれる。あらすじでは決しておさまらないこの小説には、読むものに言語過...

回収されない伏線、行ったり来たりを繰り返す膨大な人物(ピンチョンにしては少ない方だろうが)に関する溢れかれる記述、リズミカルな言葉が遊びとめまいしそうなスピード感も一度乗ってしまえば、あとはオートマチックにもってかれる。あらすじでは決しておさまらないこの小説には、読むものに言語過剰なレビューを要求するだろう。

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2012/07/26

2ページ(地図)   ◆バロアルト→パロアルト、ベンドルトン基地→ペンドルトン基地、エスコンディート→エスコンディード 19ページ  悪漢(ルビ:デスペラート)   ◆デスペラート→デスペラード 354ページ  大盆地(ルビ:グレードベースン)   ◆グレード→グレート 4...

2ページ(地図)   ◆バロアルト→パロアルト、ベンドルトン基地→ペンドルトン基地、エスコンディート→エスコンディード 19ページ  悪漢(ルビ:デスペラート)   ◆デスペラート→デスペラード 354ページ  大盆地(ルビ:グレードベースン)   ◆グレード→グレート 445ページ  レーガンの批准を待つだけという包括的財産没収法   ◆批准→署名 466ページ  保安官代理(ルビ:デビュティ)   ◆デビュティ→デピュティ

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2011/09/24

 この作品の中では理想のアメリカは、テレビとか映画とかのヴィジョンの中にしか現れてきません。  理想の国家、理想の革命、理想の家族像、そういった諸々の理想のウンチャラはヴィジョンによってしか得られない世界。それって要するに今まさに僕らが生きている現実世界のことじゃないかっ!という...

 この作品の中では理想のアメリカは、テレビとか映画とかのヴィジョンの中にしか現れてきません。  理想の国家、理想の革命、理想の家族像、そういった諸々の理想のウンチャラはヴィジョンによってしか得られない世界。それって要するに今まさに僕らが生きている現実世界のことじゃないかっ!という感じです。  ストーリー的にいいと思ったのは、一番最初に出てくるゾイドが主人公なのかと思いきや、実はその娘のプレーリーやその母親フレネシが物語の主軸であって、ゾイドは学生運動時代にフレネシが負った業のはけ口でしかないというところです。  メインの歴史の裏側にある陰の歴史。教科書に載る歴史と載らない歴史ともいえるんでしょうか?  僕たちが、というか第二次大戦後の世界中が憧れた夢のアメリカと、現実にアメリカが辿ってきた60〜70年代のアメリカ、そういったものがものすごく細かい具体的なテレビ番組などのポップカルチュアーの羅列で語られて、もう頭クラクラ!えっ今何の話してたんですっけ?

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2011/07/29

なんか、本を閉じてる間もグツグツぐちゃぐちゃ混ざり合って形変わって別物に成長しちゃってるんじゃないか。。と心配になって、思わずそっとページ開いて、また没頭してしまう。そんな数日間でした。

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2011/01/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった! とてもパワフルで、なんというか、スポーツカーというよりはデコトラって感じの小説だった。 1980年代カリフォルニアが舞台で、ストーリーは…うまく説明できない。たぶん、登場人物がすごく多くて、しかもそれぞれの話が絡み合ってるからだと思う。 ピッピー崩れの中年ゾイドと元妻のフレネシと娘のプレーリィ。フレネシの母、左翼まっしぐら一家、フレネシの再婚相手にその息子。スーパー検察官に亜流忍術を操るくのいちと彼女のパートナーのカルマ調整師、大金持ちとその馬鹿息子、その馬鹿息子に気に入られたヘビメタバンド… などなどの絡み合いが、60年代アメリカ文化の内輪ネタみたいなのをばんばんおり混ぜながらユーモアたっぷりにばりばりと描かれていた。 時間が行きつ戻りつすること、語り手とかもぽろぽろ変わること、それらがはっきり明示されずに流れのまま文章が進むことから、なかなか読むのが疲れる感じがあった。あと、内輪ネタは判らないのが多いからいちいち注釈を読まないといけないし。 うーん。 と悩むトマス・ピンチョン初心者に、訳者の佐藤良明さんが解説でためになることを書いてくれていた。 個々のストーリーを詳細に追うより、それぞれの人物がどのような縁を生み出していくか、それらがどのように関係し合っていくかに注目するのもひとつの読み方だよ、みたいなこと。 なるほど!と思った。 たとえば、何か悪いことがあったとして、原因を具体的に一つ上げることは難しいと思う。単独では悪くない様々なことが重なって一つの悪いこととして起こってくる。 そういうのをひとつの前提にしてピンチョンさんは書いてると思うと、ずいぶん読みやすくなった気がする。 そういえばそういう考えをほのめかすような記述もちょこちょこ出てきてた。(p.456「以前は私も、階段のモデルというので考えていた。一段一段登っていけば不正の正体に行き当たるのだと」とか) カルマっていうことばがよく使われているのも、そういう考え方を取り入れるためなのかもしれない。カルマの意味、なんとなくのイメージでしかわからないけど。 そういうふうに見ると、とりあえず注意を払うべきポイントがしぼられて、読み進めるのがとても楽になった。 あと、社会問題をばしっと捉えたみたいな描写も多かったと思う。テレビや官僚機構(?)権力(?)に対する問題提起というか反論みたいなの。その辺はなんとなくヴォネガットさんを思い出した。ユーモアたっぷりなところも似てる。 もしかするとそれが中心的なテーマだったのかもしれないけど、そうだったとしたらばっちり見落としたと思う。話を追うことで手一杯みたいなところがあったから、暗喩とか交えてこういうことを言われるとちょっとお手上げかもしれないと思った。慣れたら違ってくるのかな。 ピンチョンさん自体も面白かった。メディア嫌いで、なんかの賞を貰ったときはインタビューを回避するために山に上ったらしい。すごい!半分遊びでやってるのかな。 インタビューとかも受けてなくて、顔とか素性もほぼ不明らしい。 でもシンプソンズの声優はやったらしい。いかす。 それくらい謎の人だから「告白するけど、実は僕がピンチョンなんだ」ていうジョークをどっかの批評家がやったらしい。ごちゃごちゃと告白した後に、「この際だから言うけど、サリンジャーも僕なんだ」で結び。やるなあ。 印象に残ったシーン •フミモタの名刺の旅のくだり •シンデルロたちの雰囲気 •オクラホマでのヴォンドとフレネシの密会。 •ヴォンドがシンデルロになるシーン。 •チェとプレーリィのグレイト・サウスコート・プラザ・アイシャドー強奪事件

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2010/05/07

アメリカにおける60〜80年代が、彼国の若者にとってどういう時代であったか。これからどういう時代が待っているのか?一年や五年どころではなく、十年や二十年という時代を考える時、どんな変化があるのだろうか? 日本に生きる自分にとって、自由だとか愛だとか、どんな意味があるのだろうか。 ...

アメリカにおける60〜80年代が、彼国の若者にとってどういう時代であったか。これからどういう時代が待っているのか?一年や五年どころではなく、十年や二十年という時代を考える時、どんな変化があるのだろうか? 日本に生きる自分にとって、自由だとか愛だとか、どんな意味があるのだろうか。 物語を生きるのはもうやめたほうがいい。物語を語るのだ。

Posted byブクログ

2010/03/02

ベトナム戦争も終わったしビートルズも解散してしまった。 でも、ヒッピーはいまだに生き続けているし、アメリカも存在している。 60年代もアメリカもずっと遠い所にあるのに、なぜかノスタルジーを感じる作品。 登場人物たちのハチャメチャぶりが不思議と泣ける。

Posted byブクログ