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「学び」の構造 の商品レビュー

3.8

18件のお客様レビュー

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2024/04/29

示唆に富み、思想もあり、読む価値がある。 昭和50年(1975年)に書かれたとは思えない現代でも十分成り立つ内容になっていて、これは「学び」の時代背景に依らない構造をうまく記述しているからこそであると感じる。 本書は5章から構成されている。 第一章『学ぶ人、学ばぬ人』では、学...

示唆に富み、思想もあり、読む価値がある。 昭和50年(1975年)に書かれたとは思えない現代でも十分成り立つ内容になっていて、これは「学び」の時代背景に依らない構造をうまく記述しているからこそであると感じる。 本書は5章から構成されている。 第一章『学ぶ人、学ばぬ人』では、学べない人間の三つのタイプや学習観が紹介されるが、それらをわれわれ自身の中にある学習を妨げる絶望的に深い傾向であるとし、著者の主張の導入としている。 > 学べる人間をどうやって作り出すか、ーそれには、まずわれわれ自身が、ひとりでもふたりでも多くの人々が、まず自ら「学ぶ」ことである。(学べなくしているのは誰か) 第二章『「おぼえる」ことと「わかる」こと』では、記憶の四階層(感覚登録器、短期記憶、中期記憶、長期記憶)から記憶のメカニズムを説明し、「おぼえる」ことが「忘れる」ことによって可逆的であること、一方で「わかる」ことが非可逆的であることを解説する。 > したがって、「わかる」とは、「絶えざる問いかけを行う」ことでもある。...すなわち、「わかる」とは、死にいたるまでわかりつづけていくことなのであり、...このようにして「わかる」ことが非可逆的(もはやもとにもどらない)であることはきわめて明白であろう。(「わかる」とは) 第三章『道徳(よさ)はいかに学ばれるか』では、著者自身の子どもからの体験、チョムスキーやベイズ確率論のcoherenceなどから著者が確信している「一貫性への志向」をテーマにして、子どもが持つ一貫性が外の世界で破られることによって「閉じた世界」で説明づけられてしまわないように、一貫性を広げていくことが必要であると論じる。 > 重要なのはその人が「感動した」ことではなく、その感動から彼が全生涯を通じて自分の生活のすみずみまで一貫性をひろげ、また、彼の接するすべての人を愛のうずにまきこみ、高めたという、その強靭なロゴスのはたらきであろう。(道徳はやはり「わかる」べきもの) 第四章『「機械」で学ぶことはできるか』では、ティーチング・マシン、ワトソンやパブロフの行動主義、スキナーの逐次的接近法などを題材にして、ティーチング・マシンが学習の目標を学習者の行動で表現しなければならないことから、学習の目的が常に行動で表現できるか、という問いを展開する。 第五章『学びつづける存在としての人間』では、教育に対する著者の思想が一層濃く書かれている。 > 教育という営みは、「結局」と絶対に言わない人間の「決意」であり、その人についてたとえ何がわかっても、未知数xをxとしてのこし、決してそこに定数aを最後まで代入しない、いわば「可能性に賭ける」営みではないだろうか。(可能性としての人間) また、学びと科学の営みをそれぞれ6つの段階で表したものも、非常にうまくまとめられていておもしろい。本文の最後にある文章では、著者の「学び」に対する思想が最も鮮やかに表現されていてグッとくるものがあるが、そこだけ抜き出しても価値が下がるのでここには引用しない。

Posted byブクログ

2024/01/03

万人受けはしなさそうだが、私にとってはとても面白かった。文化の違いから学びの本質の違いを考察したら、教育の立ち位置を観察しているところとか。 特に、道徳というのはアジア圏ではどう行動するかの正誤を教わる。そこに自分の意思や考える余地はない。しかし西洋ではなぜそもそもそれが正しいの...

万人受けはしなさそうだが、私にとってはとても面白かった。文化の違いから学びの本質の違いを考察したら、教育の立ち位置を観察しているところとか。 特に、道徳というのはアジア圏ではどう行動するかの正誤を教わる。そこに自分の意思や考える余地はない。しかし西洋ではなぜそもそもそれが正しいのか、ないし正しいとはもういうことなのかなどを考える。両者に長所短所はあるが、文化とセットで考えるのが大事だと思った。 生活やモラルから教育は根付いているので、表面を変えようとしても奥の方が変わらなければダメなんろうな。というか、根本が違うので、日本が西洋の教育を目指すのは違うよなと思う。

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2023/11/30

学ぶ、とはどういう事か、を本質の部分から考えさせてくれた。特に学ぶ人、学ばない人やおぼえることと、わかること、についてはわかりやすい表現で書かれていて頭にすっと入り込めて、何となくの学びの理解にかかっていたもやが少し開けた感じがした。学ぶ事は問い続ける事、そのプロセスにおいても人...

学ぶ、とはどういう事か、を本質の部分から考えさせてくれた。特に学ぶ人、学ばない人やおぼえることと、わかること、についてはわかりやすい表現で書かれていて頭にすっと入り込めて、何となくの学びの理解にかかっていたもやが少し開けた感じがした。学ぶ事は問い続ける事、そのプロセスにおいても人間としての成長の可能性を感じた。

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2023/01/09

ただ知識を得る、やり方を知るだけでなく、本当の意味での学びを知りたくて ティーチングマシンの話は、聞いたことがなくて、ちょっとまどろっこしかった。 1940年に書かれたのに、勉強って何?っていう子供、親、社会人等の具体例などは今も完全に当てはまるもので、 進歩してないのか、あ...

ただ知識を得る、やり方を知るだけでなく、本当の意味での学びを知りたくて ティーチングマシンの話は、聞いたことがなくて、ちょっとまどろっこしかった。 1940年に書かれたのに、勉強って何?っていう子供、親、社会人等の具体例などは今も完全に当てはまるもので、 進歩してないのか、あるいはもうこれは普遍的なテーマなのか、、 事あるごとに部分的に読み返したい

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2022/05/07

学ぶ、と言う行為に対してアカデミックに解説した本。個人的にはもう少し実務的な内容を期待していたため少しがっかりした。 学べない人間には3種類が存在する。1無気力型、2ガリ勉型、にハウツー型、である。 ハウツー型人間と言うものは、なぜ?とか何?と言う心理への問いかけがない。世の中...

学ぶ、と言う行為に対してアカデミックに解説した本。個人的にはもう少し実務的な内容を期待していたため少しがっかりした。 学べない人間には3種類が存在する。1無気力型、2ガリ勉型、にハウツー型、である。 ハウツー型人間と言うものは、なぜ?とか何?と言う心理への問いかけがない。世の中の出来事がなぜ起こり、いったい世界は何であるかなど全く関心がなく、要はうまくやること、とりわけ自分だけがうまくいき成功することが大切だと考えている人間である。

Posted byブクログ

2021/05/12

初版は昭和50年!学び続ける存在として提案された5つの問い直し ①前提を問う②アタリマエを問う③意味を問う④関係を問う⑤役割を問う 今の時代に必要な問いについて書かれています。

Posted byブクログ

2021/03/01

2019年 14冊目 『学びの構造』 ただ覚える作業的な勉強、「他人がどう思う」から学ぶ勉強は真理じゃない。より人間的になるため/そういう社会に参加できるようになるために学ぶであって、それは苦労ではなく「問う」ことで得られる。

Posted byブクログ

2020/11/19

本学学生情報誌「拓海」vol.34 (2020.7) で川辺先生からのメッセージに登場していました。図書館でも所蔵しています。 所蔵情報: 品川図書館 371.4/Sa14

Posted byブクログ

2020/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

勉強ができる=テストでいい点を取るとどうしても見てしまう。学んでいるかどうか、これを問い続けることが大切。それは、学びを与える教師であればなおさらだ。 「人間、これこそ学びつづけていくことのできる唯一の存在であり、この存在を否定することだけは、断じて許してはならないからである。」

Posted byブクログ

2017/06/06

古い本ではありますが、学ぶということの姿勢、学ぶということの意味、そういった、普遍的なものについて語られた本。 濃厚な内容だったので、繰り返し読んで理解したいです。

Posted byブクログ