他人と暮らす若者たち の商品レビュー
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家族と暮らす生活やワンルームマンションでの暮らし方との違いが、結果的にシェアにおける公的な空間や公共性の意味を変容させ、私的な空間とプライバシーおん意味をも変容させているのではないだろうか。シェアという形態のもとでは、公的な空間としてきな空間とは相反する存在ではなく、相補的な関係にあるとさえいえるのである。(p.128) 科学者である村上陽一郎は、セットで用いられがちな安全と安心の対立関係を描くなかで、「安全は達成された瞬間から崩壊が始まる」と主張する。つまり、「これで安全」「ここは安全」と宣言された瞬間から、人は安心して警戒を解き、そのことがまさに危機を招くことになってしまうのである。(p.144) 他人と協力することは、それが何であれ、他人とコストを分け合うことである。何かを一人で独占すれば、たしかに便利でいつでも自分の好きに利用できる反面、すべてのコストを自分で担わなければならない。逆に、他人とうまく分け合えば、話し合ったりルールを守ったりする手間がかかる反面、コストを分担して安くあげることができる。(p.181) つい忘れがちなことだが、実は家族だって利害の異なる他人だという点だ。共働き夫婦の家事・育児の分担における対立をみるまでもなく、生活のあらゆる場面で、誰が何をどの程度負担し、誰がどの程度利益を得るのかは、よほど互いに余裕がない限り、常に争いの種となるはずである。これは、血がつながっていようが愛があろうが基本的には関係ない。
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[ 内容 ] 若年貧困層やプレカリアートに関する様々な議論が交わされる中、一人暮らしでもなく、恋人・家族との同居でもない、第三の居住のかたちが、若者たちの間で試され始めている。 本書は、ロストジェネレーション世代の社会学者である著者が、ルームシェア、またはシェアハウジングと呼ばれ...
[ 内容 ] 若年貧困層やプレカリアートに関する様々な議論が交わされる中、一人暮らしでもなく、恋人・家族との同居でもない、第三の居住のかたちが、若者たちの間で試され始めている。 本書は、ロストジェネレーション世代の社会学者である著者が、ルームシェア、またはシェアハウジングと呼ばれる「他人との同居」を数年間にわたり調査した記録であり、居住問題に焦点を当てたユニークな論考である。 安い家賃で快適な住まいを獲得できるシェアハウジングが、日本ではなぜ欧米ほど広まらないのか? 家族と他人との境界線とは。 [ 目次 ] 第1章 家族と暮らすか一人で暮らすか 第2章 シェアとは何か 準備編 第3章 シェアのきっかけと魅力 証言編1 第4章 シェアへの不満と困難 証言編2 第5章 共用スペースと個室の意味 証言3 第6章 シェアのことがわからない 疑問編 第7章 新しい住まい方の模索 展望編 終章 公共性と親密性の再編成 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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シェアハウス(及び単に「シェア」)というものに対する認知度は上がってきていると思いますし、それも現在(2014年)ではWebサービスやアプリの登場によって一部の人を中心に加速していると思います。 ただその上でも、(現在の日本だと比較的顕著なのでしょうが、)居住形態として「家族...
シェアハウス(及び単に「シェア」)というものに対する認知度は上がってきていると思いますし、それも現在(2014年)ではWebサービスやアプリの登場によって一部の人を中心に加速していると思います。 ただその上でも、(現在の日本だと比較的顕著なのでしょうが、)居住形態として「家族暮らし」または「一人暮らし」以外の、「他人との生活」というものの認識が人々にあまりない状況であるため、一般的になるのはまだ時間がかかりそうです。 「シェア」が一般的になるためには、人の意識が更新されていく必要があるので、世代が1つ進む程度という意味で数十年単位で時間がかかるでしょう。(本書は2009年発行ですが2014年現在でもあまり一般への浸透具合が変わっていない感覚があります。) 本書の内容について少し。 家族も共同生活をする相手であることを意識する次の一文は自分にとって新しい見方でした。 (※シェアと家族暮らしの面倒さを比較している項で)「もし、あなたが家族との共同生活に面倒を感じていないとすれば、家族の中の誰かに面倒を押し付けている可能性はないだろうか。」
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一人暮らしのシェアをテーマに、論文を新書向けにわかりやすくしたような本です。 筋の立て方や結論、濁し方まで、なんか学者っぽさが気になりました。 少し前の話をまとめてるので、ギークハウスや公団のシェアなどについてほぼ触れられてないのが残念。 とはいえ、手に入れやすさ、類題を扱った本...
一人暮らしのシェアをテーマに、論文を新書向けにわかりやすくしたような本です。 筋の立て方や結論、濁し方まで、なんか学者っぽさが気になりました。 少し前の話をまとめてるので、ギークハウスや公団のシェアなどについてほぼ触れられてないのが残念。 とはいえ、手に入れやすさ、類題を扱った本が少ないことから貴重な一冊。
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インタビューの結果はもうちょいわかりやすく書けたんじゃないかなと思ったけど、論文がベースなら仕方ない気もする。
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ゲストハウスやシェアハウスを経営している人と、そこに住んでいる人、業界全体のことなどをインタビューを基軸として構成された本。 主に、住んでいる人がなぜ不快になり、どこまでいくと出て行って、人気がなくなるのかという点に焦点があたっているので、これから経営したいという人の参考になるで...
ゲストハウスやシェアハウスを経営している人と、そこに住んでいる人、業界全体のことなどをインタビューを基軸として構成された本。 主に、住んでいる人がなぜ不快になり、どこまでいくと出て行って、人気がなくなるのかという点に焦点があたっているので、これから経営したいという人の参考になるであろう。
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単なるシェアハウスの紹介かと思ったら、そこはさすが社会学者の卵?、他人と暮らす、という家族社会学?のまじめな本でした。 家族、夫婦、友人、近隣関係などなど社会の基礎的構成単位を考えるきっかけとして、面白いよ。
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他人と暮らす若者たち。 内容は至極真面目で、 ・これまで日本ではあまり見られなかったシェアをする若者に対象に、インタビューを踏まえた実態を検証 ・日本社会でなぜこれまでシェアが広がらなかったかの理由を家庭事情や住宅事情、制度上の軋轢から考察 ・諸外国との事例と比較することによって、今後日本におけるシェアのあり方などの展望 などレポートされている。2009年に出版された本で、インタビューに至っては2005年頃行われていたものらしい。 今の日本から考えるとかなり早い段階でシェアに目を付けていたため、シェアの広まる段階としてもかなり初期のもののようだ。 その分事例も少なく、当時なので内容としては完結していないが、導入から最後まで、とてもうまくまとまっていて読みやすかった。 内容をかいつまんで ・なぜ彼らはシェアを選んだか 差し迫った理由は少なく、多くは外国での体験を元に、日本へ帰国してからも同様の生活体系を希望するようになった。 ・シェアをうまくこなすコツ 気配りや気遣い、生活レベルや気にする度合いなどが近しいほどうまくいく。その場合、ルールづくりは意外といらない。 ・シェアの関係 一人暮らしでも家族でもない、役割から離れた対等な関係と責任。第三の生活体系。 ・一人なら楽か?家族なら安心か?を問い直す 単純にコストで言えば分散したほうが安く無駄がない。家族関係から生じる役割や危険、わずらわしさ。必ずしも家族との生活が気楽とは言えない。 ・共同生活で得られるもの 一人暮らしで生活力がいるのとはまた違った方向で、他人と向き合った社会生活を営むに必要なスキルを養うことが出来る。それはもうひとつの自立と呼べる。
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ルームシェアの現状について知りたくて。 自分の想像していたルームシェアの形態は、フラットシェア、もしくはハウスシェアにあたるようだ。最低限度のプライバシーを個室という形で確保しつつ、単身者用の賃貸では得られない充実した共用設備を互いに享受する。一人で暮らすことは性に合っているけ...
ルームシェアの現状について知りたくて。 自分の想像していたルームシェアの形態は、フラットシェア、もしくはハウスシェアにあたるようだ。最低限度のプライバシーを個室という形で確保しつつ、単身者用の賃貸では得られない充実した共用設備を互いに享受する。一人で暮らすことは性に合っているけど、本書に出てくるシェアの実践者の話を聴いていると、他人との暮らしに物心両面において生活を豊かにしてくれる可能性を感じた。 ただし、自分の場合はある程度気心の知れた仲間とであれば、という前提がついてくる。インターネットで知り合った見ず知らずの他人と暮らすとなると、主にその人に信頼が置けるのかどうかで非常に心もとなく感じる。友人関係でもない他者と暮らしをシェアするケースは、全体においてどれぐらいを占めているのだろう。多くは友人つながりのように受け取れた。 また、暮らしをシェアするという生活が若者たちを中心に徐々に広がりをみせているのであれば、他人と生活をともにすることについての意識感にどういった特徴が見られるのだろう。そのあたりもう少し掘り下げて知りたかったと思う。 まだ途上ではあるけれど、単身者世帯が増加しているという昨今、家族でも恋人でもない他人とともに支え合いながら生活するという暮らしのシェアの発想には可能性を感じる。家族という既存の枠組みも、世代さえも超えた新しいコミュニティの形となれば面白いと思う。
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シェアっていろんな偏見があるし、現状ではなかなか難しい側面が分かったのは良かった。でも、それだけで筆者の主張が薄いのが残念。
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