ラウィーニア の商品レビュー
古代イタリアで、英雄の妻となったラウィーニアの話。 あどけない子供の頃から少女、女、そして死にいたるまで、 様々な出来事を通して成長していく一人の人間の話。 場所も時代もとても離れて、 それなのにとても共感できるのはなぜなのだろう。 なぜラウィーニアの時代にも、幸せな黄金時代は...
古代イタリアで、英雄の妻となったラウィーニアの話。 あどけない子供の頃から少女、女、そして死にいたるまで、 様々な出来事を通して成長していく一人の人間の話。 場所も時代もとても離れて、 それなのにとても共感できるのはなぜなのだろう。 なぜラウィーニアの時代にも、幸せな黄金時代は はるか昔のことになっているんだろう。 どうして、親から、友人から、隣人から、 人は傷つけられ生きていかねばならないんだろう。 幸せなこと、悲しいことを乗り越えて、一つの人生を終えたラウィーニア。 その後の、そしてこれからの一人ひとりの歴史に幸いがありますように。
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ローマ建国の祖先の物語。 有名な『アエネーイス』古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩後半を もとに、ラウィーニア側から描いている。 もともとの話を知らないけど、このアエネーイスもトロイにでてきたんだろうか?もう一回映画みて確認したい。 戦争がなぜおこるのか、男の性というもの...
ローマ建国の祖先の物語。 有名な『アエネーイス』古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩後半を もとに、ラウィーニア側から描いている。 もともとの話を知らないけど、このアエネーイスもトロイにでてきたんだろうか?もう一回映画みて確認したい。 戦争がなぜおこるのか、男の性というものなのだろうか、ということを考えさせられる。 初期のラテン人が女性の地位を尊ぶ、エトルニア人の影響をいかに受けていたかなど、最近までエトルニア人の存在を知らなかった私としては、すごく細やかに描写されていることにビックリ。さすが、ル=グィンさんだなぁと。
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主人公ラウィーニアが森で後世の詩人の生霊(?)に出会い、自分がその詩人の生み出したフィクションであることを知ります。自分や自分の未来の夫の運命を知りながらも本人にとっては真実でしかない世界を生きていきます。設定の奇抜さにびっくりします。ローマ帝国以前のイタリア、ウェルギリウスの叙...
主人公ラウィーニアが森で後世の詩人の生霊(?)に出会い、自分がその詩人の生み出したフィクションであることを知ります。自分や自分の未来の夫の運命を知りながらも本人にとっては真実でしかない世界を生きていきます。設定の奇抜さにびっくりします。ローマ帝国以前のイタリア、ウェルギリウスの叙事詩などの特に日本人には馴染みのない世界をラウィーニアという主人公とともになぞっていく形でとても読みやすかったです。また、母親との葛藤、夫婦の情愛、無益な戦争に苦しむ民衆の姿などもドラマティックに描かれており読み応え充分です。
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イタリアのラティウムの王女ラウィーニアは、礼拝のために訪れた一族の聖地アルブネアの森で、はるか後代の詩人ウェルギリウスの生き霊に出会う。そして、トロイア戦争の英雄アエネーアスの妻となる運命を告げられる―古代イタリアの王女がたどる数奇な運命―叙事詩『アエネーイス』に想を得た壮大な愛...
イタリアのラティウムの王女ラウィーニアは、礼拝のために訪れた一族の聖地アルブネアの森で、はるか後代の詩人ウェルギリウスの生き霊に出会う。そして、トロイア戦争の英雄アエネーアスの妻となる運命を告げられる―古代イタリアの王女がたどる数奇な運命―叙事詩『アエネーイス』に想を得た壮大な愛の物語。SF/ファンタジー界に君臨するル=グウィンの最高傑作、ついに登場!2009年度ローカス賞(ファンタジー長篇部門)受賞作。
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イタリアのラティウムの王女ラウィーニアは、礼拝のために訪れた一族の聖地アルブネアの森で、はるか後代の詩人ウェルギリウスの生き霊に出会う。そして、トロイア戦争の英雄アエネーアスの妻となる運命を告げられる―古代イタリアの王女がたどる数奇な運命―叙事詩『アエネーイス』に想を得た壮大な愛...
イタリアのラティウムの王女ラウィーニアは、礼拝のために訪れた一族の聖地アルブネアの森で、はるか後代の詩人ウェルギリウスの生き霊に出会う。そして、トロイア戦争の英雄アエネーアスの妻となる運命を告げられる―古代イタリアの王女がたどる数奇な運命―叙事詩『アエネーイス』に想を得た壮大な愛の物語。SF/ファンタジー界に君臨するル=グウィンの最高傑作、ついに登場!2009年度ローカス賞(ファンタジー長篇部門)受賞作(「BOOK」データベースより) ヒロイン・ラウィーニアが語る、ローマ前夜の物語。 「アエネーイス」は読んだことなかったのですが、これが未読でもトロイア戦争云々から続いている話なので、そっちの話がわかっていればなんとなくこの世界観は理解できるんじゃないでしょうか。 私も久々に、ル=グィンの良質なファンタジーを堪能いたしました。 特にラスト1ページは素晴らしい出来。 ぜひ多くの人に手にとってもらいたい一冊。
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トロイ陥落〜ローマ建国に至る、個人的にとても好きな時代を舞台にした物語。本の装丁も素敵で、わくわくしながら読み終えた。 日本人には特に違和感を感じない先祖神や自然神(+ギリシア起源の神々)を奉じて生きていた時代。この雰囲気が好きだし、現実世界を元にしているからとっつき易いと思っ...
トロイ陥落〜ローマ建国に至る、個人的にとても好きな時代を舞台にした物語。本の装丁も素敵で、わくわくしながら読み終えた。 日本人には特に違和感を感じない先祖神や自然神(+ギリシア起源の神々)を奉じて生きていた時代。この雰囲気が好きだし、現実世界を元にしているからとっつき易いと思ったのだが…。『ゲド戦記』ほどは物語にのめり込めないでいる。 いや、作品としては素晴らしい出来だと思うんです。でも頭では理解出来ても、傍観者として覚めた心で読んでしまう。登場人物たちは、とても人間臭くて魅力的なのに、その気持ちに寄り添って読めるキャラを見つけられなかったからなのかな? ともあれ「西のはての年代記」3部作に続き、またもや傑作を世に出して貰えて素直に嬉しい!もっともっと長生きして、また新たな世界を見せて欲しいと思っています。
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古代ローマで、英雄アエネーアスの妻となったラウィーニアを主人公にした物語。 様々な要素があり、とても面白かったです。 完成度が高く、最高傑作の声すらあるというのもうなずけます。 ラウィーニアは、イタリアのラティウムの王の一人娘。 従兄トゥルヌスに求婚されていたが… 幼い息子を失っ...
古代ローマで、英雄アエネーアスの妻となったラウィーニアを主人公にした物語。 様々な要素があり、とても面白かったです。 完成度が高く、最高傑作の声すらあるというのもうなずけます。 ラウィーニアは、イタリアのラティウムの王の一人娘。 従兄トゥルヌスに求婚されていたが… 幼い息子を失って以来様子のおかしい母アマータが甥のトゥルヌスを強力にバックアップしてきた。 一族の聖地アルブネアの森の中で祈っていたときに、ラウィーニアは時空を越えて詩人ウェルギリウスに出会うという構造。 詩人ウェルギリウスの書いた「アエネーイス」はいぜんは欧米人の共通して知っている物語だったのだとか。 トロイ戦争で炎上したトロイアから逃れた王の甥アエネーアスが生き延びて、流浪の果てにローマの地にたどり着いた… 古代ローマ帝国の由来に繋がるような物語で、アウグストゥスに捧げられた物。
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(2010.02.04読了) ル=グウィンの新作です。どのような話なのかの情報もなく読み始めました。 イタリアのローマがローマになる前の話です。 ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの時代に、ウェルギリウスによって書かれた叙事詩「アエネーイス」を下敷きに書かれている物語です。 ●ト...
(2010.02.04読了) ル=グウィンの新作です。どのような話なのかの情報もなく読み始めました。 イタリアのローマがローマになる前の話です。 ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの時代に、ウェルギリウスによって書かれた叙事詩「アエネーイス」を下敷きに書かれている物語です。 ●トロイ(366頁) 古代ギリシア伝説によれば、はるかな昔、小アジアの都市トロイアと、ギリシアの間で長期にわたる戦争が行われた。最後にギリシア側が策を用いて、大勢の勇士たちを内部に潜ませた巨大な木馬をトロイア市内に運び込ませ、トロイアを陥落させたという。 前8世紀頃のギリシアの詩人ホメロスが作ったとされる「イーリアス」「オデュッセイア」をはじめとして、トロイア戦争にまつわる叙事詩が数多く作られた。 さらに、トロイアの英雄のひとり、アエネーアスが一族郎党を率いて、焔に包まれたトロイアから逃れ、西方、特にイタリアに行って支配者となったという伝説も、徐々に形成されたらしい。紀元前一世紀のローマの詩人、ウェルギリウスが、この伝説に材をとって、ラテン語で書いた叙事詩が「アエネーイス」だ。アエネーアスはローマの繁栄の礎を築くことを、最高神によって運命づけられた人として描かれた。「アエネーイス」は12歌に分かれていて、前半の6歌では、トロイア戦争の回想を交えて、アエネーアス一行の放浪が描かれ、後半の6歌では、イタリアに上陸した彼らと、反発する土着の勢力との間の戦争が語られる。 ●ラウィーニア(367頁) イタリアのラティウムの王、ラティーヌスの娘、ラウィーニアが、礼拝のために訪れた一族の聖地、アルブネアの森で、はるか後代の詩人、ウェルギリウスの生き霊に会う。ウェルギリウスはラウィーニアが、自分が書いた叙事詩、「アエネーイス」に登場する人物であることに驚く。ラウィーニアは、自分が異邦人の妻となる運命を持っていることを、ウェルギリウスから告げられる。その異邦人とは、ギリシア人に滅ぼされたトロイアの英雄、アエネーアスであり、トロイア陥落後、一族を引き連れて放浪していたが、予言に従ってイタリアに向かっているところだという。 ウェルギリウスの「アエネーイス」では、ラウィーニアが語ることはないのだそうですが、この本では、ラウィーニアがすべてを語る。周りの人のいいなりにはならず、神の声(先祖の声)に従って、自分の意思で動く。戦いのない世界を目指す。 予言通りにアエネーアスがやってくるまでよりは、その後の物語がおもしろかった。 ●男と女の違い(162頁) 「女は、男よりも複雑な自己を持っているんじゃないかな?女は二つ以上のことを同時にする。男にそれができるようになるのは、年を取ってからだ。一生できない男もいる。」 (僕も30歳ぐらいまでは、二つの仕事を同時にすることができなかった。) ●生き残った(232頁) 私(ラウィーニア)の求婚者だった若者たちが一人残らず死んだ。母が死んだ。ラティウムのほとんどすべての世帯が、父や兄や息子が死んだことを、あるいは一生治らぬ不自由な体になったことを悲しんでいた。多くの死に囲まれると、だれしも自分が生きていることを申し訳なく思わずにはいられないものだと私は思う。戦士たちは戦争のために罪を犯しても、マルスによって免罪してもらえるそうだ。 ●男の存在価値(284頁) 「もしも男が、戦争においてしか、自分のウィルトゥースを証明できないと信じていたら」とアエネーアスはアスカニウスに言った。「その男はほかのことに費やす時間すべて、無駄だとみなすだろう。農夫ならば農作業を、統治者なら政治を、そして宗教的行為である礼拝も―すべてが戦争での武勇よりも価値の低いものだと考える」 「私なら、そんな男に農業や政治や礼拝を任せはしない」とアエネーアスは言った。「そんな男は何をしていても、戦争をする口実を探しているだろうから」 そろそろホメロスの叙事詩を読む時期かもしれない。 (2010年2月8日・記)
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ローマ建国当時くらいの話。詩から作者が物語を書き起こした。 なかなかアメリカの人にしてはローマに対する偏見が少なくて、一つの見方としていいんじゃないの、と思う。 が、アメリカの人のローマに対する見方というのをあまり読んだことがないので、上の意見は参考になるかどうか。推測でした。...
ローマ建国当時くらいの話。詩から作者が物語を書き起こした。 なかなかアメリカの人にしてはローマに対する偏見が少なくて、一つの見方としていいんじゃないの、と思う。 が、アメリカの人のローマに対する見方というのをあまり読んだことがないので、上の意見は参考になるかどうか。推測でした。 なんとなく、キリスト教圏(欧米)の人は、ローマに対する風当たりが強そうに思う。 そんな中で、多神の宗教について、なるべく偏見なく書こうとしているように思われ、好感を持つ。 もっとダイナミックに広がると(話が)、おもしろいかもと思ったが、昔欧米の知識人の間では常識のようになっていた古代詩をテーマにしているのだから、変わってはいけないのはしかたがない。 暇つぶしに、読んでみるといい。
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「アエーネーアス」がどういう叙事詩なのか、わかりました。トロイ戦争とどうつながるのかも。勉強になりました。本作もとても詩的で格調高いです。
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