ボーダー&レス の商品レビュー
ばんそうこう。 絆創膏貼って、見ないふりして、それでいいと思ってた。 そういうことってほんとにたくさんある。 悪気がないのが一番、たち悪いんだよね。 ソンウとりーりんが可愛くて等身大な感じが、好きでした。 結局なにも解決してない、浅くて軽くて生煮えな話なんだけど、でもそれ...
ばんそうこう。 絆創膏貼って、見ないふりして、それでいいと思ってた。 そういうことってほんとにたくさんある。 悪気がないのが一番、たち悪いんだよね。 ソンウとりーりんが可愛くて等身大な感じが、好きでした。 結局なにも解決してない、浅くて軽くて生煮えな話なんだけど、でもそれを承知でこのテーマを描いたんじゃないかなぁ。著者である同世代の彼女の気持ち、わかるような気がした。 悪気はなくて、軽薄で。きっと、誰しも。
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※このレビューにはネタバレを含みます
2009年の文藝賞受賞作。 在日の青年と日本人の青年の友情物語。 在日を扱った作品はたくさんあるけど、私にとってはこの小説が初めての在日を扱った作品。 正直、在日について、分からなさ過ぎて、なんとも言えないスッキリしない気持ちだけが残った。 自分のなかにボーダーすら、存在させていなかった。 まずは、ボーダーを設けること。 ボーダーが存在しないことには、ボーダーを越えるか、越えないかを考えることすらできないのだと思った。 「お前はなんなの?語れないの?語らないの?」 「向き合えないの?向き合わないの?どっちだよ」 リーリンはチャらくて最低なんだけど、愛すべき人なんだろうな。 近くにいたら、うっかり情をうつされちゃいそう。
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新入社員として出会った江口理倫(えぐちまさとも)と趙成祐(チョ ソンウ)の、青春小説。 江口目線で進む、友人と社会と女と…といった感じ。青春小説って大体そんなもん? けど、内容の中にはソンウの在日という問題が纏わりついている。 りーりんと呼ばれる江口はいつも「どうして」と思...
新入社員として出会った江口理倫(えぐちまさとも)と趙成祐(チョ ソンウ)の、青春小説。 江口目線で進む、友人と社会と女と…といった感じ。青春小説って大体そんなもん? けど、内容の中にはソンウの在日という問題が纏わりついている。 りーりんと呼ばれる江口はいつも「どうして」と思う。「どうして」が繰り返される。それに対してあらゆる答えを自分の中で意識してはいたけど、明確にするのはいつも他の誰かで、特にソンウは江口の答えを明確に言葉にしてくれた人。 でも江口はその「どうして」を自分で考えて明確にしなくちゃいけなくなります。それが、そのソンウに対する事。 その考えていく様子とか、ソンウに会って、最初はチャラい(笑)印象だったりーりんがだんだん変化していくなとかんじられました。 p95 「僕はさ、国とか民族とかそういうのはどうでもよくて、単純にソンウのことがとても好きなんだけど、そういうことを言われるのも複雑だったりする?」 「別に複雑とかじゃないよ。性愛的な意味じゃなければ」 さりげなく交わされるこの台詞が、後に関わってくるし、 この台詞が言われている状況もまた、彼らにとって重要なところ,だと思ってます。
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室蘭の図書館で読んだ お前は語らないの語れないの 向き合わないの向き合えないの どっちだよ?
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在日問題 というとなんとなくのイメージもつかめない人が増えているのではないだろうか「ヒトはみんな平等だし、不幸なことも幸せな事も血なんて関係ないよ」という御都合主義が社会的に浸透していることもあるだろう 本作はずばり在日問題だ ライト、ポップでさらさらとリズムよく頭に入ってくる文...
在日問題 というとなんとなくのイメージもつかめない人が増えているのではないだろうか「ヒトはみんな平等だし、不幸なことも幸せな事も血なんて関係ないよ」という御都合主義が社会的に浸透していることもあるだろう 本作はずばり在日問題だ ライト、ポップでさらさらとリズムよく頭に入ってくる文章とは裏腹に 登場人物たちは「絶望的」だ そんな彼らにも一筋の光を、と読者が願えば自然と展開は晴れていく しかしそこで残るのは爽快感だけだろうか
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在日韓国人のソンウ君と、同じ会社の新入社員まさとも君の友情物語といいましょうか。 会話がなんとも「イマドキの若い子」という感じでした。 主人公のまさとも君、なんともハッキリしないというかウジウジしてる感じなのだけど、よく考えてみると私も彼と同じ立場になってみたら、結構似たように...
在日韓国人のソンウ君と、同じ会社の新入社員まさとも君の友情物語といいましょうか。 会話がなんとも「イマドキの若い子」という感じでした。 主人公のまさとも君、なんともハッキリしないというかウジウジしてる感じなのだけど、よく考えてみると私も彼と同じ立場になってみたら、結構似たように立ち回るかもなぁ…と思いました。 まさとも君のソンウ君に対する感情とか、勤務態度について先輩に言われる場面とか、そういうのがすごくリアルで、「わかるわかる」と伝わってきました。 この表紙の色、こんな2色の魚いたなぁ。 よくペットショップで見かける。
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良く言えば拘泥しない、悪く言えばいい加減な僕=江口理倫(えぐちまさとも)と、会社で同期になった在日三世=趙成佑(チョソンウ)の話を軸にした物語。淡々とおもしろかった。 20代前半のこういう感じ、なんかわかるなーと思いながら読んだ。同じ行為がどうして場所が違えばNGになるのか。...
良く言えば拘泥しない、悪く言えばいい加減な僕=江口理倫(えぐちまさとも)と、会社で同期になった在日三世=趙成佑(チョソンウ)の話を軸にした物語。淡々とおもしろかった。 20代前半のこういう感じ、なんかわかるなーと思いながら読んだ。同じ行為がどうして場所が違えばNGになるのか。ある言動の「正しさ感」と、そのうっとうしさ。ある行為の「正しい感」のすごさ。確かで正しすぎてびっくりする。 チョ君が呼びづらいからか、会社の人が「チョウ君」と呼んでも「チョウセイユウ」と呼んでも、何と呼ばれても返事をしていたソンウを「なりすけ」と呼ぶようになった僕を、ソンウは理倫を音読みして「りーりん」と呼ぶようになった。 なりすけとりーりんは2人とも喫煙マンで、喫煙室でだらだらと過ごすうち、だんだん仲良くなる。社内メールを、五七五七七で交わしてみたり、登場人物どうしの会話とか、そこはかとないおかしみがある。 遊びにいったソンウのアパートの玄関ドアに「在日は北へ帰れ」のスプレー落書きがあった日、僕は滅入って気分が落ち込む。だが、僕が見る限り、ソンウは淡々としていて、「好き嫌いは誰にでもあるからね」とつぶやき、「気にしなくていいよ、玄関に鳥フンついたくらいにしか考えてないから」と僕を慰めるように平然と言う。そんなソンウが、僕にはわからない。 ソンウはこうも言ったのだ。 ▼「国ってまぁまぁ大事だし、エスニシティに愛着を持つのもまぁまぁ理解できるけどね。でも国境も民族も流動的でしょ。だからそんなもんは一時期のくくりに過ぎないんだから、俺はあんまりそこに固執したくないんだよね」(pp.94-95) 僕が、同じ部署の森口に頼まれて、その友人だという在日四世の新井美姫との飲み会をセッティングしたとき、ソンウはすげー疲れた様子で、帰りにうんざりしたように言った。 ▼「余計なこと考えなければああやって生きられるよ。今時、国やルーツがどうでも、そんなのは問題じゃないし。多少のいやがらせに目をつぶれば生活自体に支障はないし。今もう、若い世代の在日はほとんど、ああいう生き方してんじゃない」(p.129) 「でも俺はああいう生き方とか無理だ」と言うソンウは、珍しく怒りや憤懣を表情に出して、「好みで国やエスニシティを選択するような心の余裕なんて俺にはないんだよ。俺にとって民族文化は趣味で取り入れるようなカルチャーじゃないし、アクセサリーみたいに取り外しできるもんでもない」(p.129)と言った。 前に、ソンウが、国も民族もただのくくりなんだからと言ってたことを思いだして、考えた末に「もういいじゃんか」「そういうくくりに固執したくないって自分で言ってたじゃんか」と僕は声をかける。 「お前にはどうでもよくても俺にはどうでもよくないんだよ。国も民族も」(p.131) ソンウのこの言葉をどう考えたらいいのかと、僕はけっこう悩む。
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ゴッチが薦めていたので読んでみました。 在日の方の問題って難しい・・・。 私には到底答えは見つけられないよ。
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主人公が唯一面と向かって対峙した問題が在日に関することだったな、と。 それ以外、女性問題等は、考えはしてこそ向き合うのを避けてたのに。 主人公は悪い男だなァと思う。こわいこわい、かけひきこわい。 とりあえず溝はどんなものにもあるよね。 それを認めるのも成長だよねっていう感じでし...
主人公が唯一面と向かって対峙した問題が在日に関することだったな、と。 それ以外、女性問題等は、考えはしてこそ向き合うのを避けてたのに。 主人公は悪い男だなァと思う。こわいこわい、かけひきこわい。 とりあえず溝はどんなものにもあるよね。 それを認めるのも成長だよねっていう感じでしょうか。 読みやすかったし575調だったりするのは面白かったけど、何かが残る内容ではなかったかな。
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芥川賞候補作品。 候補になったとき、新聞の書評でBL風とか書かれてたのでちょっと気になって読んでみた。 国籍の違う青年同士の友情についての話…で、 …コレ、作者が男性だったらBL風なんて書かれないんだろうな…と思いました。 BLって嫌悪感を抱く人も少なくない嗜好だし、安易にそう...
芥川賞候補作品。 候補になったとき、新聞の書評でBL風とか書かれてたのでちょっと気になって読んでみた。 国籍の違う青年同士の友情についての話…で、 …コレ、作者が男性だったらBL風なんて書かれないんだろうな…と思いました。 BLって嫌悪感を抱く人も少なくない嗜好だし、安易にそういうラベル付けちゃうと手にとってもらえないだろうし。 (読者がどう捉えるかっていうのは自由だけど、新聞に書いちゃうのはどうかと。) BLは恋愛ジャンルのいち属性(いちシチュエーション)として紹介してほしいなあ…書き手の性別で振り分けられるものじゃなくて、とおもう。
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