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殺人者たちの午後 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2011/08/26

人を殺すというのは もしかしたら 全ての人達の日常生活に 取り込まれている 普通の事なのかも知れないと 感じずにはいられないぐらいに この本に登場してくる 殺人者達は一様に平凡な 人々ばかりです。 それが、尚更に恐い。 どこで、何が狂ったんだ!?

Posted byブクログ

2011/06/23

まったく私事ながら、私自身は、猫の尻尾を踏んでも心を痛め、待ち合わせに5分遅れても申し訳なさで身も細る思いをし、買い物でおつりを100円余計にもらったことにあとで気づくとあのレジの子は怒られなかったかしら、と胸を痛める善人であることを、まずは高らかに宣言しておきたい。 なのに。...

まったく私事ながら、私自身は、猫の尻尾を踏んでも心を痛め、待ち合わせに5分遅れても申し訳なさで身も細る思いをし、買い物でおつりを100円余計にもらったことにあとで気づくとあのレジの子は怒られなかったかしら、と胸を痛める善人であることを、まずは高らかに宣言しておきたい。 なのに。 なのに、何故かつい読んでしまう。犯罪のノンフィクション。 読めば気分がわるくなることはわかりきっているのに。 なんで?なんで?と善人界の私が考えても極悪非道の理由などわかるはずもなく、とにかくやたら腹がたち、出口のないやるせない重たい気持ちをしばらくひきずる。それがわかっているのに。 おそらくほとんどの人にとって、犯罪ノンフィクションとは、そのようなものなのではなかろうか。 犯罪を犯したこの人たちの言い分は、はっきり言ってとても自分勝手である。 いいわけや理由がものすごく自分本位で、とてもひとりよがりで、勝手。 あっち側とこっち側の分岐点はどこにあるのか。どこで何をどう間違えたのか。その人と自分はどう違うのか。本当に違うのか。 影があるから光の存在が意識されるように、悪の大きな振り幅で、善が試される、のかもしれない。

Posted byブクログ

2011/03/27

人に歴史あり、歴史とともに思いあり。しかし思いとはうらはらになることも多々あって、ほんの一瞬の間違いは誰にでもあることなのかも知れないと感じた一冊でした

Posted byブクログ

2010/12/27

『で、実際、わたしは問題を起こさなかった。つまり、わたしは自分の中に潜んでいる「何か」に打ち勝つことができたというわけ。ようやく、どうすれば分別のある人間のように振る舞えるかがわかってきた。さっきも言ったように、そんな気がしただけなのかもしれないんだけれどね』-『神様と一緒に』 ...

『で、実際、わたしは問題を起こさなかった。つまり、わたしは自分の中に潜んでいる「何か」に打ち勝つことができたというわけ。ようやく、どうすれば分別のある人間のように振る舞えるかがわかってきた。さっきも言ったように、そんな気がしただけなのかもしれないんだけれどね』-『神様と一緒に』 確かにその場所では時間はたっぷりあるのだろう。インタビューに応じた人々が口々にそう語るのを読んだからというだけでなく、尋ねられたことに対する答えが、どれも長いこと胸の内に留まり反芻されてきたもののように響くのだ。それはきっと熟成という表現が最も適した何かが言葉の中にある、ということでもある。 一つのことを考え続ける。そういうことができる状況にある現代人は、恐らくとても限られているだろうなと思う。本当は必要なことであっても、多くの人はそうしなくて済むようにどこかで無意識のうちに思考のスイッチを切ってしまう。あるいは、紋切り型の論理をなぞる、と言ってもよい。そんな風に拙速せずに思考を続けているのは、あるいは哲学者くらいかも知れない。そんな思いになぞらえる訳ではないけれど、このインタビューに答えている人々の言葉には、一般的な人のそれには無い、何かとても濃縮された思考の反射があちらこちらで光っていて、それが哲学的な響きにさえ聞こえてしまうような錯覚に陥る。 重大な罪を犯してしまったことに対して、法が下す罰よりも明らかに大きな苦悩を抱え、そして抱え続けていかねばならないという逃れられない事実が、一人一人の答えの中に滲んでいる。印象的なのは、誰もが刑務所中で与えられる苦痛というものが、一般的に想像するような酷く耐え難いものであるとは感じていない、ということ。そのことからも、法が裁く刑罰というものが直接的には受刑者に反省という心理を植え付けない様子が垣間見える。まして償いという心理などは。 しかし法は彼らを一つ所に閉じ込め無限とも思える時間を与える。それこそが真の罰であることがじわじわと了解される。時間がある、ということが、実は時間の多さではなく時間の無さを意味するのだと解ってくる。つまり時間はある一点から先へ進んでいかないのである。その無間地獄の中で受刑者たちは犯してしまった罪について否応もなく考え続けるしかない。その思考の繰り返しの中で、あたかも何かを悟ってゆくような過程が進行する。 自分は決して信仰心の篤い人間ではないけれど、ふと、ひょっとすると神と呼ばれる存在はそのことに向き合わせる為に敢えて罪を犯させたのだろうか、という思いがわいてくるほどである。しかし冷静な読者であるためには、もう一つの視点も常に持ち合わせていなければならない。それは被害者の側の視点である。 ともすると、インタビュアーであるトニー・パーカーの巧みな対話で引き出されたものによって読者は知らず知らずのうちに殺人を犯してしまった者たちへのシンパシーすら感じるようになってしまう。なおかつ、その言葉たちがあまりに深く響くものだから、そこに何か修行を収めたものに対するような感情を抱いてしまいそうになる。しかし、そこには命を奪われたものがあり、そのことに対する償いはあらゆる意味で不可能なのだという事実がある。苦悩を与えられたものにはそれなりの理由があり、それはどのインタビューの中にも滲んでいることだけれど、終わることは決してない苦悩なのだ。償うという言葉に裏腹に潜む「復讐」のような感情が、その終わりの無さ、をもしかすると支えてしまうのかもしれないと思う。 こんな風に急いで自分の気持ちを引き締めなければならないと感じるほどに、殺人者たちの言葉は魅力的に響く。それはインタビュアーであるトニー・パーカーの立ち位置がかなり中立であるからこそ引き出された言葉たちなのだろう、と想像する。そしてそこに吸い寄せられるものが、確かに自分の中にもあることを感じて恐ろしくなる。

Posted byブクログ

2010/09/15

イギリスで殺人により終身刑を宣告された12人へのインタビュー。イギリスには死刑制度はなく、殺人を犯した者はすべて終身刑になる。服役態度にもよるが10年前後で仮釈放されるようだが、その後も保護観察の対象となり、何か問題を起こすとまた刑務所に逆戻り、それがまさに命尽きるまで続く。 イ...

イギリスで殺人により終身刑を宣告された12人へのインタビュー。イギリスには死刑制度はなく、殺人を犯した者はすべて終身刑になる。服役態度にもよるが10年前後で仮釈放されるようだが、その後も保護観察の対象となり、何か問題を起こすとまた刑務所に逆戻り、それがまさに命尽きるまで続く。 インタビュー自体は何ということもなかったが(共通点は自分を抑えられないこと程度)日本の死刑制度について考えさせられた。

Posted byブクログ

2010/08/17

殺人を犯した人たちはその後の人生をどう過ごしているのか。興味はあってもなかなか知ることのなかった話である。日本とイギリスの刑法の違いもあるが、普通に市井に生きているのだなあと思った。

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2010/07/08

新聞で三行ですまされる殺人事件が、トニー・パーカーを経て「物語」となる。それはどういう作用かはよく分からないけど、僕を含む少ない人の心に突き刺さって、その衝撃が忘れられない思い出として心に残る。どれだけ事実に沿っているかはわからないし、犯罪心理学や社会学の研究者からは黙殺される類...

新聞で三行ですまされる殺人事件が、トニー・パーカーを経て「物語」となる。それはどういう作用かはよく分からないけど、僕を含む少ない人の心に突き刺さって、その衝撃が忘れられない思い出として心に残る。どれだけ事実に沿っているかはわからないし、犯罪心理学や社会学の研究者からは黙殺される類の本だと思うのだけれど、それでも何か重いものを心に残していったことは事実で、ああこんな本を作りたいなあ、と本作りを考えるようになった一冊。 *オーラルヒストリーの実践として読んでも面白いと思いますよ!!

Posted byブクログ

2010/05/25

インタビュー形式で語られるも、インタビューアの質問は文章中には一切挟まれない。ただ、祖父を殺した者、見知らぬ男を殺した者、子供を殺した者たちが、淡々と語る、まさしく「殺人者たちの午後」。 殺人を犯す地点で頭がおかしい、だとか、大衆ゴシップがよくいう「事件の真相」なんかではなく、彼...

インタビュー形式で語られるも、インタビューアの質問は文章中には一切挟まれない。ただ、祖父を殺した者、見知らぬ男を殺した者、子供を殺した者たちが、淡々と語る、まさしく「殺人者たちの午後」。 殺人を犯す地点で頭がおかしい、だとか、大衆ゴシップがよくいう「事件の真相」なんかではなく、彼らが語る彼ら自身の犯した罪と、彼らそのものがとてもリアルで、まるで自分の目の前でぼそぼそと話しているようだ。 殺人者たちは時に妙に前向きであったり卑屈であったり歪んでいたり、さまざまな表情を見せる。しかしインタビューアはそれを遮ったり問いただしたりするのではなく、ただただ彼らをそのままに写し取っている。まるで写真のようだ。 沢木耕太郎の長年の宿題として持ち続けていたのもなんだかうなづける。 この素晴らしきインタビューア、トニー・パーカーは亡くなってしまったということが非常に残念。

Posted byブクログ

2010/12/03

(2010/05/08購入&読了) 今日のBS週刊ブックレビューで紹介された。 死刑のない国、イギリス。 殺人を犯した人々は、自分の罪を抱えながら長い人生を歩んでいかなければならない。 この本は殺人者たちへのインタビューをまとめたもので、「殺したあと、人はどう生きるのか」と...

(2010/05/08購入&読了) 今日のBS週刊ブックレビューで紹介された。 死刑のない国、イギリス。 殺人を犯した人々は、自分の罪を抱えながら長い人生を歩んでいかなければならない。 この本は殺人者たちへのインタビューをまとめたもので、「殺したあと、人はどう生きるのか」という点に焦点をあてている。 殺人を犯した過程や犯罪者の異常性を書き立てるのではなく、彼らがどのような思いを抱き余生を送っているのかを丁寧に取材している。 いっそ死刑にしてくれれば楽になれるのにと嘆く者もいれば、殺人者だって希望を抱いて生きていくことができると言う者もいる。 インタビューから見えて来るのは、殺人者たちの個性と殺人を犯した後の濃密な人生である。 訳者があとがきで述べている通り、日本では裁判員制度が開始され、一般市民が犯罪者に対して死刑を求刑する立場になり得るようになった。 裁判員に選ばれた人々が無責任に死刑を求刑するようなことがあるとは思いたくはないが、死刑を求刑する際、たとえ相手が犯罪者だとしても一人の人間の未来を潰えさせるのだという覚悟と責任が必要となるだろう。 ●自分の息子を殺してしまった男性へのインタビュー ━━ 俺は許されるにはあまりにもひどいことをしてしまった。ひとりの無垢な子供が俺の手にかかって死んだ。それはどんなことがあっても消し去ることのできないものなんだ。 (「第3話 とんでもないことが起きてしまった」87頁) 何度も何度も考えた。もしまだ死刑制度があって、裁判官が死刑を宣告し、俺が絞首刑にいされていたら、それですべて終りになっていただろう。時には、そうなっていた方が、こうして良心の呵責に苛まれながら生きて行くよりずっといいと思ったりもする。 (同上 88頁) ●祖父を殺してしまった青年へのインタビュー ━━ じいちゃんが死んだのは残念に思っています、好きでしたからね。でも、重要なのはじいちゃんはもう死んじゃってるということで、前に言ったように、ぼくはそれは事故のようなものだったと思ってるんです。あれは誰にでも起こり得たことだったんですよ。 (「第2話 ノー・プロブレム!」49頁) いえ、将来については心配していません。心配しても意味がないですから。ぼくの人生はこれからだし、時間をかなり無駄にしているので、目の前に広がっている道をどんどん切り拓いて、未来を最上のものにしたいと思っているんです。 (同上 66頁)

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2010/05/08

殺人を犯して服役した人へのインタビュー。皆、罪の深さに後悔しているようだった。ただ、時折感じる感覚の「ズレ」が気になった。殺人者たちの言葉を文字通りに受け取っていいのか。

Posted byブクログ