自由だけではなぜいけないのか の商品レビュー
新古典派経済学の問題点を指摘し、現代日本に新自由主義が跋扈する前の日本の組織風土や文化資本を重視するべきだという著者の主張。 新古典派経済学への批判に多くの紙幅が割かれているが、かなり強めの批判指摘のため、フラットな批判なのかどうかが判別難しかった。 良質な社会資本を生み出すため...
新古典派経済学の問題点を指摘し、現代日本に新自由主義が跋扈する前の日本の組織風土や文化資本を重視するべきだという著者の主張。 新古典派経済学への批判に多くの紙幅が割かれているが、かなり強めの批判指摘のため、フラットな批判なのかどうかが判別難しかった。 良質な社会資本を生み出すために「他者の目」や「制裁」を利用するべきという主張など、受け入れられない主張も多くあった。
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新自由主義が日本を劣化させた。 個人が自己利益を追求しても、効率性は達成されない。 個人の独立性を重視するあまり、弊害が多くなってきている。 法化社会は、個人の高い倫理性を前提としているが、実際は違う。 法化社会は、実際には高い裁判費用のため、不正を生み出すばかりでなく、 訴えられなければ正しい、という規範をも生み出しかねない。 個人の経済合理性は疑わしい。情報の非対称性、選択の整合性と最適性がないことによって、経済的に合理的な行動を取るとは限らない。 情報の非対称性。食品偽装。アカレフの中古車市場の考察による市場の消滅。自由貿易と食糧問題。 取引費用が介在と契約の不完全性によって市場の効率性が達成されない。 業績評価の不備、成果主義賃金の弊害と年功序列賃金の利点。 社会ネットワークと社会関係資本、視野会関係資本と人間の行動。 良質な文化をどのように形成するか。 市場は単なる制度であり、法も単なる制度でしかない。どちらも万能ではなく、その限界を知ることが必要。
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新自由主義や新古典派経済学の真髄である「厚生経済学の第一命題」つまり、「個人が自己利益を追求して自由に行動すると、経済の資源配分が効率的(最適)になるといういう意味の命題が誤りであるとし、様々な角度から検証し証明しようとした書物である。 新古典派経済学のパラダイムの構造と主張を...
新自由主義や新古典派経済学の真髄である「厚生経済学の第一命題」つまり、「個人が自己利益を追求して自由に行動すると、経済の資源配分が効率的(最適)になるといういう意味の命題が誤りであるとし、様々な角度から検証し証明しようとした書物である。 新古典派経済学のパラダイムの構造と主張を分析したのち、個人の独立性という虚構、法化社会で自己利益を追求する個人という虚構、高能力を持つ合理的な個人という虚構を説明し、情報の非対称性、取引費用と契約の不完備性について論じた後、ネットワークと社会資本、社会関係資本と人間の行動などについて論じ、日本社会をいかに立て直すかの方向性を示し、終章している。 高等数学で捉えきれない人間の行動を基礎とした社会経済学の進展が待たれるところである。
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新古典派経済学に基礎を置く新自由主義に対する批判の書。 互いに何の関連性も持たない個人と、市場だけから構成された新古典派は、現実のモデルとはならないことをさまざまな例を挙げながら検証。 新自由主義が世界を覆い、日本はかえって生産性が落ち、社会も劣化したという。 個々人の規範意識の...
新古典派経済学に基礎を置く新自由主義に対する批判の書。 互いに何の関連性も持たない個人と、市場だけから構成された新古典派は、現実のモデルとはならないことをさまざまな例を挙げながら検証。 新自由主義が世界を覆い、日本はかえって生産性が落ち、社会も劣化したという。 個々人の規範意識の復興や、それを育む文化、教育の重要性を語る。
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