クオ・ワディス(下) の商品レビュー
恋愛あり、裏切りあり、政治の駆け引きありと、長編小説の楽しさが目いっぱい詰まった大作。 100年以上前に書かれた小説にもかかわらず、今もって輝きを失わない。 一気に読み切れる。 ローマの大火とネロの狂気が題材になっているが、本質はキリスト教の愛と赦しについての歴史小説。 淡々とし...
恋愛あり、裏切りあり、政治の駆け引きありと、長編小説の楽しさが目いっぱい詰まった大作。 100年以上前に書かれた小説にもかかわらず、今もって輝きを失わない。 一気に読み切れる。 ローマの大火とネロの狂気が題材になっているが、本質はキリスト教の愛と赦しについての歴史小説。 淡々とした描写ゆえに使徒ペテロ、パウロの篤い信仰が逆に印象付けられる。 ペテロニウスを通して、豊かなギリシア・ローマ文明が非常に魅力的に語られる。
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皇帝ネロ治世下の古代ローマにおけるキリスト教徒たちの迫害を描く。遠藤周作の『沈黙』のように心理を深く掘り下げていくのではなく、物語の展開で一気に読ませる。通俗小説といえば通俗小説だが、読み応えがある。 キリスト教徒の少女に恋し、この異端の教えにいら立ち混乱するローマ貴族の青年は、...
皇帝ネロ治世下の古代ローマにおけるキリスト教徒たちの迫害を描く。遠藤周作の『沈黙』のように心理を深く掘り下げていくのではなく、物語の展開で一気に読ませる。通俗小説といえば通俗小説だが、読み応えがある。 キリスト教徒の少女に恋し、この異端の教えにいら立ち混乱するローマ貴族の青年は、まったく異質な文化にはじめて触れたローマ人はまさにこんな思いをしたのだろうなあ、と思わせる。しかし主人公の恋人同士よりもずっと魅力的なのは脇役たちだ。狂言回しを演じるギリシア人哲学者のキロン、若い二人を援助しながらも自らの美意識に徹底して殉じる「趣味の審判者」ペトロニウス、狂信的なキリスト教司祭クリスプスといった一癖も二癖もある人物たちが、ともすれば「地上の腐敗した権力 VS 天上の真理を信じる人々」という平面的な図式におちいりがちな物語に、生き生きとした陰影とダイナミクスをあたえている。 それにしても、19世紀末にこの古代ローマの物語を書いたポーランド人作家の目には、何が映っていたのだろうか。火に焼かれる都市、犠牲の血を求める民衆の姿は、まるで来る20世紀に起こる悲劇を予見していたかのようにさえ思える。
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感動的すぎる。 上、中巻では泣きそうになるってことは無かったんだが、これはもう涙腺を刺激しまくります。 ペトロニウスの最後がかっこよすぎます。 ウルススもかっこよすぎます。 キロンの変化も救われた気がしました。 読んで良かった。そんな本です。
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よーやっと読み終えました。年またぎ。いやしかし!これは面白かった!少しずつだけどずっと読んでたもの。キリスト教にも古代ローマ?にも全く縁や知識がないのですが、あんまりそういうことを考えずにぐいぐい読めた。面白い小説ってそういうものなのかもしれない。結局そうなるのかよ!という部分も...
よーやっと読み終えました。年またぎ。いやしかし!これは面白かった!少しずつだけどずっと読んでたもの。キリスト教にも古代ローマ?にも全く縁や知識がないのですが、あんまりそういうことを考えずにぐいぐい読めた。面白い小説ってそういうものなのかもしれない。結局そうなるのかよ!という部分もあるけどまあ、そのおかげで話が面白くなってる気がするのでよし。できればもっと大きい字だと良かったな。あとは巻末の注釈をわかりやすくしてほしかった。文中にも注釈あるのに更に巻末にもあるのはどっちつかずな気がするんだけど。
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