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拳闘士の休息 の商品レビュー

4.4

15件のお客様レビュー

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2024/05/02

表題作含む11編を収録した短編集。 どの話も登場人物たちの「生」そのものが濃く描かれていた。それは戦場で敵と相対した時の行動として現れたり、はたまた好きな人や己の信念のための行動として現れたり。一言で言うなら、「ワイルド」!

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2020/10/04

短編集。ベトナム帰還兵が主人公の表題作を始めとして、全体的にマッチョかついかにもアメリカンな作風。雰囲気は暗い。トラウマや病気、貧困などで苦しい生活を強いられていても嘆くことなく、生にかじりつくように生きる人々の姿が描かれている。 表題作の他、ベトナム戦争を題材にした作品は物語と...

短編集。ベトナム帰還兵が主人公の表題作を始めとして、全体的にマッチョかついかにもアメリカンな作風。雰囲気は暗い。トラウマや病気、貧困などで苦しい生活を強いられていても嘆くことなく、生にかじりつくように生きる人々の姿が描かれている。 表題作の他、ベトナム戦争を題材にした作品は物語としてまとまっており、スリリングで面白かった。他の短編はとりとめもない話が多く、実験作品っぽいものも混じっていたように思う。また、著者自身の生い立ちや経験(頭に怪我をした元ボクサー、てんかん持ち、父親の自殺、など)が繰り返し使われていて、どれも似たり寄ったりの話のような印象を受けてしまった。

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2020/03/03

トム・ジョーンズというイギリスのポップシンガーと同名のアメリカの作家がこんなに面白い小説を書く人だとは知らなかった。きびきびした文体で退屈なところがない。ぐっと胸に迫る表現や描写が盛りだくさんで小説を読んで知らない世界に導かれる快感を味わった。訳者の岸本佐知子氏の腕前がいいという...

トム・ジョーンズというイギリスのポップシンガーと同名のアメリカの作家がこんなに面白い小説を書く人だとは知らなかった。きびきびした文体で退屈なところがない。ぐっと胸に迫る表現や描写が盛りだくさんで小説を読んで知らない世界に導かれる快感を味わった。訳者の岸本佐知子氏の腕前がいいということもあるだろう。

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2018/11/18

苦しかった。読んでいて苦しかった。 この短編集に登場する人たちは、肉体的に、あるいは 精神的に病んでいる人ばかり。 癲癇(てんかん)の発作に苛まれる元海兵隊員、ガンが 進行している老婦人、アル中の元ボクシング世界チャンプ、 自分の名前すら思い出せないコピーライター、など。 ...

苦しかった。読んでいて苦しかった。 この短編集に登場する人たちは、肉体的に、あるいは 精神的に病んでいる人ばかり。 癲癇(てんかん)の発作に苛まれる元海兵隊員、ガンが 進行している老婦人、アル中の元ボクシング世界チャンプ、 自分の名前すら思い出せないコピーライター、など。 なぜこれほど病んだ人たちが出てくるのか。そのヒントは 著者の経歴にある。 この本の著者紹介をそのまま抜粋。 “アマチュア・ボクサーとして活躍した後、海兵隊に入隊。 持病の癲癇のためベトナム戦争に行かずに除隊後、 ワシントン大学を経て、アイオワ大学創作科を卒業。 その後コピーライター、用務員の職を経て作家になる。” この短編集に収められた作品の大半は、著者自身の 体験や経験が色濃く反映されたものらしいということが 分かる。 中でも出色なのは、ベトナム戦争を舞台にした表題作と その他の二篇から成るPart 1。 実際には行っていないはずなのに、むせかえるような 狂気に満ちた戦場を、本当にリアルに描き切っている。 読んでいて本当に苦しかった。でも、読んでよかった一冊。

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2018/10/10

原書名:The Pugilist at Rest(Jones,Thom) 訳者:岸本佐知子(1960-、横浜市、翻訳家)

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2018/02/10

ベトナム戦争、末期癌、癇癪…。一癖も二癖もある主人公たちが、戦争・社会・病魔などに振り回されつつも、我を通して生きて行く。 友人に紹介されて読んだのだが、その友人に右ストレートをおみまいした後、ハグしたい。よくぞ紹介してくれた!と。 最初はアーウィン・ウェルシュっぽいかな?と読み...

ベトナム戦争、末期癌、癇癪…。一癖も二癖もある主人公たちが、戦争・社会・病魔などに振り回されつつも、我を通して生きて行く。 友人に紹介されて読んだのだが、その友人に右ストレートをおみまいした後、ハグしたい。よくぞ紹介してくれた!と。 最初はアーウィン・ウェルシュっぽいかな?と読み始めたが、圧倒的にタフな内容に翻弄。素晴らしい。

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2017/03/13

この短篇集に登場する主人公の一人ひとりが病んでいます――精神面あるいは肉体面、あるいは両面において。さまざまな病魔とたたかうかれらは、つねに戦闘状態です。その意味で、訳者が言うとおり、かれらにとっての人生の舞台は、拳闘士にとってのリングに譬えることができます(そして実際、作者自身...

この短篇集に登場する主人公の一人ひとりが病んでいます――精神面あるいは肉体面、あるいは両面において。さまざまな病魔とたたかうかれらは、つねに戦闘状態です。その意味で、訳者が言うとおり、かれらにとっての人生の舞台は、拳闘士にとってのリングに譬えることができます(そして実際、作者自身がそうであったように、かれらには元ボクサーという経歴を持っていることが少なくないです)。 では読後感は気が滅入るかというと、必ずしもそうではないのが不思議です。悲惨としかいいようのない人生を描きつつも、一筋の光を描くのがとてもうまく、読み終えると独特な爽快感のようなものも味わえました。 訳文もすばらしく、この意味でも快作です。

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2014/11/15

この本を舞城が訳したらどうなっていたのかな、と思う。この本のほうが『コールド・スナップ』よりも全体の出来が格段に違っていい。トム・ジョーンズの繊細さや、孤独と恐怖、諦念や小さい希望がよく伝わって来て切ない。

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2014/09/07

『蚊』がいちばん好きな短編だった。切れ味というか語り口調、物事の見方や世界をどうとらえているかカーヴァー好きな間違いなくオススメできるし、ブコウスキー好きにも。どこかこわれた登場人物たちは愛おしくはないが他人ではない、そんな感じ。

Posted byブクログ

2014/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

苦しくて病んでて壊れててどうしようもないのに生き続ける力。ブレーク・オン・スルーのバギットが印象に残りました。コールドスナップが楽しみです。

Posted byブクログ