犬と鴉 の商品レビュー
「共喰い」の人、という印象しかなかったのだけれども。 戦争と戦争と平和、そしてまた戦争。 なんという残虐、なんという狂気。
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著者・田中慎弥さんの名前は芥川賞をとり話題になったので知っていたが、それでかえって天邪鬼的に読んでいなかった。文章が、表現が、うまい。うますぎる。手の中でくるくると言葉を回転させるような言い回しを得意としているようで、共感するような暗いような面白いような、さまざまな言葉の組み合わ...
著者・田中慎弥さんの名前は芥川賞をとり話題になったので知っていたが、それでかえって天邪鬼的に読んでいなかった。文章が、表現が、うまい。うますぎる。手の中でくるくると言葉を回転させるような言い回しを得意としているようで、共感するような暗いような面白いような、さまざまな言葉の組み合わせに右往左往しているうち、作者の目指すテーマへと流されていく。表題作の雰囲気は、なんだか平山瑞穂さんを思い出した。こういう作風をなんというのか分からないけれど、僕が好きな作風だ。ほかの作品も読んでみよう。
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戦争、生と死、家族。「悲しみでお腹を満たす」しかない環境も、悲しみを糧に生きようとする方法も、辛すぎる。溢れるような表現で、心に突き刺さる表題作。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館の貸出期限の関係で慌てて読んでしまったもったいない! また文庫で買って読み直してもいいなあ。 ■犬と鴉 悲しみでお腹を満たすことは、なんだかとても後ろめたいなあと思う。人々が黒い犬に襲われる理由が、何か悪いことをしたからだと考えたとき、一番に思い当たる。 田中さんの書く、破裂しそうにパンパンになった風船みたいな小説を、ブブブスススっとガス抜きするようなラストが好きだ。鴉がオチをかっさらっていった。 アーティスティックなアニメ作品とかになってても面白そうな。 ■血脈 五右衛門になれない六男の話。これはこれで、青春というか、反抗期の話なのかと思った。六男の独り立ちというか。 勝手にオトナになっている背徳感。うふふ。 ■聖書の煙草 こういうニートのぐだぐだ話大好き。後半ヒヤっとするけど(ていうか、器物破損罪だと思うけど)思い切った悪事に走ることもなく、だらんと終わるのもいい。妙に長ったらしい一文がよくマッチしてる!! 漱石の『それから』を思い出したけど、親のすねかじって偉くなったつもりでいる長井代助とくらべればかわいいもんです。ほんのりお母さんへの感謝とか愛情を感じられる。 ニートは働かない言い訳をぐだぐだ言うものだよね。もっとも、働くのが当たり前とされている世の中では、たとえどんなに筋が通った事を言えたとしても、すべて言い訳として片付けられてしまうのだけど。
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「図書準備室」に続き本作を読みましたが、読んでいて作中の人物の顔が、著者本人の顔と重なってしまった… とにかく疲れたという感想しか持てませんでした。
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芥川賞を取ったのはもう1年も前だけど、とりあえず短編が面白かったから読む。 今回も不思議な話が多かった。でも、掌編じゃなくて短編だから話もそこまですんごい飛び方とかしてない。むしろ整然とまとまっているというか。不思議感を残して終わっていく刹那の後味の悪さは健在。お薦めは「聖書の...
芥川賞を取ったのはもう1年も前だけど、とりあえず短編が面白かったから読む。 今回も不思議な話が多かった。でも、掌編じゃなくて短編だから話もそこまですんごい飛び方とかしてない。むしろ整然とまとまっているというか。不思議感を残して終わっていく刹那の後味の悪さは健在。お薦めは「聖書の煙草」
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短編三つが収められています。 田中氏は,高校卒業後,一度も定職に就いたことはなく,小説は二十歳ぐらいから少しずつ書いていたとのことですが,芥川賞を受賞するまで,母親がずっと生活を支えたという話を聞いたことがあります。その情景が「聖書の煙草」から少し読み取れます。 田中氏は,自分を...
短編三つが収められています。 田中氏は,高校卒業後,一度も定職に就いたことはなく,小説は二十歳ぐらいから少しずつ書いていたとのことですが,芥川賞を受賞するまで,母親がずっと生活を支えたという話を聞いたことがあります。その情景が「聖書の煙草」から少し読み取れます。 田中氏は,自分をさらけ出すことができないから自分の作品はあくまで小説といいますが,詳しい本人の生い立ちはわからなくても,父親,祖父,戦争,母親というキーワードからにじみ出て来るものは既に私小説と感じます。また,彼は戦争について特に絡めています。祖父から聞いた戦争の話が彼の血や肉となって小説として出て来ているのでしょうか。
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人は悲しみで腹を満たす。 自分の不幸ネタで、よく、自分の虚栄心?エゴ?を満たしている人を見るなぁと思う。 表題作以外の2作が、あまり好きではなかったので★3つで。
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個人的に、田中慎弥さんの作品のイチオシ。表題作『犬と鴉』は、戦争を暗示した小説なのだけど、SFかファンタジーと想像して読んだ。イメージ中心の物語感が、さまざまに想像の翼を広げさせてくれるので良かった。 同時収録の『血脈』『聖書と煙草』もなかなか。後者は今回の芥川賞受賞作的なのりが...
個人的に、田中慎弥さんの作品のイチオシ。表題作『犬と鴉』は、戦争を暗示した小説なのだけど、SFかファンタジーと想像して読んだ。イメージ中心の物語感が、さまざまに想像の翼を広げさせてくれるので良かった。 同時収録の『血脈』『聖書と煙草』もなかなか。後者は今回の芥川賞受賞作的なのりがあるけれど、どこまで作者本人を反映させているかわからないが、主人公のだめっぷりがよい。やっぱり田中慎弥はこうでなくては、と思う。
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『切れた鎖』よりは成熟しているように感じた。 戦争についてのアレコレ。 それにしても、文学ってなんだろうと思わせる。 ( ・_ゝ・)<悲しみの効用。
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