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分類思考の世界 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2023/01/24
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※このレビューにはネタバレを含みます

分類学の理論的系譜。生物分類についてだが、無機物である自然物の分類にも悩ましいものがいろいろとある。分類の基本は他と目立って区別がつく集団(まとまり)があるかどうかであろう。

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2019/04/02

「生物分類学」の本かと思ったら、「哲学」「心理学」「形而上学」の本だった、と言う感じの内容。”ホモ・サピエンス”に限らず、動物やら植物には「種」があって、リンネに始まる近代分類学によって、階層的に・・目・・科・・属・・種というような学術名で科学的に当然分類されている、ものだと思っ...

「生物分類学」の本かと思ったら、「哲学」「心理学」「形而上学」の本だった、と言う感じの内容。”ホモ・サピエンス”に限らず、動物やら植物には「種」があって、リンネに始まる近代分類学によって、階層的に・・目・・科・・属・・種というような学術名で科学的に当然分類されている、ものだと思っていた。それで、今まで見たことない昆虫だとかがたまに見つかって、それが学術的に「新種」だと分かったりするのだと思っていた。本書を読んでみると、そもそも「種」とは何なのか、そんなものが”実在”するのか、という議論自体が分類学の学術界でしばしば起きているらしい。驚きだ。そして実在とか存在という問題に入り込むと、そこは哲学、形而上学、そして分類をする主体たる人間の本質が問題となっていく。物を”分類(カテゴライズ)”するということ自体、何か物に共通して存在する”本質”があると感じたい人間の本性を反映しているわけだし、この多様な無数の物であふれる世界を人間が認識するためには分類が必要であるという事情もあるようだ。 本書は先にエピローグを読んでから本文に移った方がよさそうです。エピローグの一文を引用しておきます。 「切り分けられた「種」が自然の中に実在するのか、それとも単にわれわれヒトが心理的にカテゴライズしているだけなのか、本書で一貫して論じてきたこのテーマは、結局のところヒトが外界(自然)の事物をどのように理解してきたのかといいうもっと大きな疑問をふたたび浮かび上がらせることになる。 ー 288ページ」

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2018/09/18

生物分類学者である筆者が、分類するという行為がいかなるものかについて説明しています。分類学は生物を分類するに留まっていましたが、実はそこに根深い形而上学的な問題が潜んでおり中世から続く普遍戦争の代理戦争のような様相を呈しているとしています。確かにモノを分けるというのは連続的な有り...

生物分類学者である筆者が、分類するという行為がいかなるものかについて説明しています。分類学は生物を分類するに留まっていましたが、実はそこに根深い形而上学的な問題が潜んでおり中世から続く普遍戦争の代理戦争のような様相を呈しているとしています。確かにモノを分けるというのは連続的な有り様を離散的な群に分けるという行為なので難しそうです。知的好奇心をくすぐる本でした。

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2018/05/27

ある意味、大半の学問がしていることは分類作業なわけで。そういう人間(特に研究者)の本性を痛快に暴いた書物だと思います。

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2017/06/18

 分類学あるいは系統学という分野は一種のメタ学問であり、絶えず自らの存在意義を示し続けないとすぐに存亡の危機に至る。筆者はそんな立場から一般向けの啓蒙書を書いたものの、かなり自由奔放な筆になってしまったようだ。  本書で考察されるテーマの一番の中心は「種」の定義だろう。種は生物...

 分類学あるいは系統学という分野は一種のメタ学問であり、絶えず自らの存在意義を示し続けないとすぐに存亡の危機に至る。筆者はそんな立場から一般向けの啓蒙書を書いたものの、かなり自由奔放な筆になってしまったようだ。  本書で考察されるテーマの一番の中心は「種」の定義だろう。種は生物分類の一番細かい単位であるが、果たしてその実体は何か? 普段漠然と捉えている概念に疑問を突き付けられると少なからずとまどうが、本書は疑問の意味と回答の困難さを丁寧に語っている。  と同時にまた、学者としての経験から来る様々なエピソードが面白い。そういう部分がなかったら退屈になってしまうであろう、小難しい話をうまくこなしている。それでも、テーマに興味が持てなかったら体躯なのだが。

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2015/07/24

池田清彦『分類という思想』に続いて読んだのが,講談社現代新書のこの一冊。池田氏の本のなかで,この著者である三中氏は,学術雑誌に掲載された論文が批判されていました。生物分類学としても池田氏が批判していた「分岐分類学」の立場にある三中氏が,この一般向けの本でどんな議論を展開してくれる...

池田清彦『分類という思想』に続いて読んだのが,講談社現代新書のこの一冊。池田氏の本のなかで,この著者である三中氏は,学術雑誌に掲載された論文が批判されていました。生物分類学としても池田氏が批判していた「分岐分類学」の立場にある三中氏が,この一般向けの本でどんな議論を展開してくれるのか,楽しみです。なお,著者は同じ講談社現代新書で『系統樹思考の世界』という本を既に出していて,前著が縦糸,本書が横糸ということで,姉妹編になっているとのこと。まずは目次ですが,300ページの新書判で12章は多い気もします。 プロローグ 生まれしものは滅びゆく 第1章 「種」に交わればキリがない 第2章 「種」よ,人の望みの喜びよ 第3章 老狐幽霊非怪物,清風明月是真怪 第4章 真なるものは常に秘匿されている 第5章 いたるところにリヴァイアサンあり 第6章 プリンキピア・タクソノミカ インテルメッツォ 実在是表象,表象是実在 第7章 一度目は喜劇,二度目は茶番 第8章 つながるつながるつながるなかで 第9章 ナボコフの”ブルース” 第10章 目覚めよ,すべての花よ 第11章 時空ワームの断片として 第12章 「種」よ,安らかに眠りたまえ エピローグ 滅ぼしものはよみがえる また,目次のタイトルも凝っていて,わかりにくいですね。本書でも分類というものが生物学に限らず,また学術研究に限らず人間の基本的な思考だと位置づけ,さまざまな例を持ち出して議論を進めます。特に著者はクラシック音楽にはかなり詳しいようで,なにやら音楽関係の共訳本もあるようです。その他にも,本文で言及されない図版が多く掲載されているのですが,アルチンボルドの絵画や石川雅之氏の漫画作品などにも言及が及びます。非常に博学であることがわかります。 生物学に関しても,日本ではあまり知られていない歴史上の人物や,日本のなかでも顧みられない学説などにも言及する辺りは読み物としては面白いです。しかし,章が次々と分割されて展開し,その都度,著者自身が学術会議の出席で訪れた国々の話など,全く余計な話も多い。 さて,そんな展開でありながらも,池田氏の本にはなかった重要な議論があります。それが「種問題」というもので,分類学のそれぞれの立場において「種」というものをどう捉えているのか,あるいはそれに関する形而上学な議論をせずに済ませてきたのかということについて随分ページを割いて論じています。しかし,明確な立場を持つ池田氏に対して,本書ではその辺もあいまいに終わってしまいます。まあ,分類同様,分類の前提となる種を決定することすら難しいことはわかりました。しかし一方では分類に関してはあまりまとまった議論がなく物足りない印象です。

Posted byブクログ

2015/05/05

「種とは何か」という問題にはいまだ決着がついていない。分類という行為を巡って重層的に織りなされる筆者の文章。いったい分類という行為はそもそもなんなのか。 文章がわかりにくい。筆者の主張もわかりにくい。 が、本質主義、レトリック、廃墟、妖怪、正名思想、集合論、歴史哲学、認知科学と...

「種とは何か」という問題にはいまだ決着がついていない。分類という行為を巡って重層的に織りなされる筆者の文章。いったい分類という行為はそもそもなんなのか。 文章がわかりにくい。筆者の主張もわかりにくい。 が、本質主義、レトリック、廃墟、妖怪、正名思想、集合論、歴史哲学、認知科学といった興味が出てきそうなトピックがあちこちにちりばめられており、有益だった。 参考文献リストがありがたい。

Posted byブクログ

2015/04/22

なぜ人は分類したがるのか?それはもちろん、分類されてないものがあると気持ち悪いからである(それは私のこと)。考えてみればマインドマップも分類思考の一つではなかろうか?思考の整理がつくと心の整理もつく。それだ!

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2013/12/29

系統樹であれば定量的に閾を決められるが,種は定性的でしかあり得ない,パターン認識なのだと説く.抑も,対象とする種全体像が明確でもないのに,そこに漠然としたパターンを見いだすことが如何に困難なことか,そこには科学と哲学によって形成される混沌世界が存在するように感じる.

Posted byブクログ

2013/08/19

話はいろいろなところへ。それが楽しい。いろいろな話の背景にある文献リストにコメントがついているのも見もの。

Posted byブクログ