数学は言葉 の商品レビュー
数学を第二言語として身につける。 ありそうでなかったコンセプトだ。 構成も外国語の本にそっくり。数学の文法を踏まえて、和文数訳、数文和訳で数学語を磨く。おもしろい。 著者の新井紀子さんのご発言によれば「東京図書のMath Storiesは高校から大学への移行期に『視点を変える』...
数学を第二言語として身につける。 ありそうでなかったコンセプトだ。 構成も外国語の本にそっくり。数学の文法を踏まえて、和文数訳、数文和訳で数学語を磨く。おもしろい。 著者の新井紀子さんのご発言によれば「東京図書のMath Storiesは高校から大学への移行期に『視点を変える』ためのテキストとして企画しました。『あぁ、数学ってこういう話だったのか』と思ってもらって大学の数学に入ってもらえるように。」とのこと。なるほど納得。 命題論理やら述語論理やら、一年の夏に記号論理学なる講義を取っていたため、内容はすんなり頭に入ってきた。良い時期に読むことができた。
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卒研生必読書.卒論を書く前にぜひ読んでください. 卒論指導の中で毎年注意することですが, 「となる」と「とする」 はたった1文字の違いですがとても大きな差があります. 「AはBとなる」は,Aがなんらかの操作,推論,演繹の結果,Bとなることを表しているのに対して,「AをBとする...
卒研生必読書.卒論を書く前にぜひ読んでください. 卒論指導の中で毎年注意することですが, 「となる」と「とする」 はたった1文字の違いですがとても大きな差があります. 「AはBとなる」は,Aがなんらかの操作,推論,演繹の結果,Bとなることを表しているのに対して,「AをBとする」は,AでBを定義することを意味しています.とても大きな違いですが,1文字しか違わないので,学生さんはごちゃごちゃに使ってしまいます.しかしその1字の違いで読んでいる人にはチンプンカンプンになってしまいます. 本書は「数学語を第二言語として身につけさせる(はじめにより)」ことを目的として書かれており,卒論を書くにあたって必要な論理的説明およびそれに必要な数学語を解説しています.理系の大学生には一読の価値のある書籍だと思います.
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「数学語を第二言語として身につける」というコンセプトが衝撃的だ。最近は、社会人向けの数学入門書がにぎわっているけれど、その多くは中学や高校の数学をわかりやすく説明するという構成。本書は、そういった本とはまったく異なるアプローチで、数学の扱い方を解説する。すなわち、数学を外国語のよ...
「数学語を第二言語として身につける」というコンセプトが衝撃的だ。最近は、社会人向けの数学入門書がにぎわっているけれど、その多くは中学や高校の数学をわかりやすく説明するという構成。本書は、そういった本とはまったく異なるアプローチで、数学の扱い方を解説する。すなわち、数学を外国語のように学ぶというアプローチだ。 英語に英文法があるように、数学にも、命題を構成する「対象・関係・論理結合子」などの文法があり、この文法を学ぶと「日本語で書かれた数学の命題を、数学の記号だけからなる数文に変換できる」。これを著者は「和文数訳」と呼んで、「どんなnに対しても、それより大きなmが存在する」「素数は無限に存在する」など、様々な和文数訳の演習を重ねていくのだ。ふむふむ、かなり手ごわいけれど、ノリは外国語の勉強とよく似ている。 和文数訳があれば、当然その逆の「数文和訳」もあるし「数学の作文」もある。この新しい数学語の学習は「練習して数をこなす以外にはない」そうで、一朝一夕で習得できるものではないという。でも、トレーニングを積んで数学語を自在に扱えるようになった暁には、次のような副産物もついてくる。「そのとき、あなたは(中略)自分の頭の中がそれ以前に比べて、ずっと整理されていること、自分の考えがシャープになっていることに気づくにちがいありません」。 本書は“math stories”というシリーズ刊の1冊目。数学語の習得後には、『計算とは何か』『変化をとらえる』など、同シリーズの本にも手を伸ばしていただきたい。
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数学の基本的な論理結合子は¬、→、∧、∨、⇔、∃x、∀xの7種に集約される。これらは、英語で考えると順番が合致し、日本語よりしっくり来るようだ。大学1年の時にこの本読みたかった。
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ネットの「文芸思潮」「作品の広場」「エッセイの広場」の『量化って』の中で社会科学(ミクロ経済学)の問題を解くのに量化(価格}式と等価(価格)式が構築された時に前者が「和文数訳」後者が「数文和訳」として「財」の変化を論理的に説明できたので何かの参考にしてください。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
数式を英語で読む本に似ている感じがしました。 銀林さんがだされている本や、工業英語の別冊で数式の英語の本と同じ感覚で読めます。 違いは日本語で書いてあるという点です。 ついでに、英語の表現も並列で書かれていたら、涙がでるほどうれしかったかもしれません。 英語+日本語版の発行を望みます。 追記: 数学では,英語を日本語に翻訳する努力をした代表的な分野の1つです。 言葉の間の変換をすることが,抽象度の変換だったり,写像であったりするので,専門分野と言えるかもしれません。 最近のカタカナ語が氾濫している「和文」は「カタカナ語文」のようです。 漢字表現や,大和言葉表現ができてこそ,数学者なのではないかという気がしています。 #WEBで英語を公開していただいてもうれしいですが、、、
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数学での定義や、証明について丁寧に説明している。高校生、大学生1年あたりが読むと、参考になると思う。定義、定理の意味付け、証明の読み解き方、数理論理学など、わかりやすい言葉で書かれている。人に説明を求められたときに、これくらいわかりやすい言葉で、簡単に説明できるようにしておきたい...
数学での定義や、証明について丁寧に説明している。高校生、大学生1年あたりが読むと、参考になると思う。定義、定理の意味付け、証明の読み解き方、数理論理学など、わかりやすい言葉で書かれている。人に説明を求められたときに、これくらいわかりやすい言葉で、簡単に説明できるようにしておきたい。
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数学には「計算」と「言葉」の機能がある。と言ってみて、どれだけの人が共感してくれるだろうか。多くの人は、数学は「計算(方法)」と同義だと思っているし、ちょっと気のきいた人でも「数式って世界中で通じるから便利だよね」くらいにしか思っていない。もちろん、そんな単純な話をしたいのではな...
数学には「計算」と「言葉」の機能がある。と言ってみて、どれだけの人が共感してくれるだろうか。多くの人は、数学は「計算(方法)」と同義だと思っているし、ちょっと気のきいた人でも「数式って世界中で通じるから便利だよね」くらいにしか思っていない。もちろん、そんな単純な話をしたいのではないのだが。 本書は、「言葉」としての数学(著者は「数学語」と呼んでいる)に特化して執筆された、きわめて稀有な読み物である。数学とは、「集合」という単語と、「論理」という文法によって構成される言語体系である、という見方にしたがい、あたかも英語の教科書のように、「和文数訳」「数文和訳」「数作文」などを具体的に指導しているのである。内容は、理系科目をある程度修得している人にとっては当たり前のことが書かれているだけであるが、このような本を執筆しようと思い立ったこと自体に大きな喝采を送りたい本である。 私が「言葉」としての数学の存在に気付いたのは、高校生のときである。そして、そのシンプルで美しい姿に惹かれるようになった。証明を書くときは、ただ正しいだけでは物足りず、シンプルかつ美しく記述することに徹底してこだわった。大学進学に際しては当然のように数学科を選択した(数学科は、理系で唯一の実験をしなくて良い学科、という実利面も考慮したことは否定しない)。しかし、「言葉」としての数学における一番の基礎である「集合論」と「(数理)論理学」のうち、後者の講義はカリキュラムとして存在していなかった。もちろん、数学科のすべての講義は、数学を操るための「論理」について、かなり専門的なことも含めて、知っていて当然というスタンスで進行した。今になって思うと、「論理学」は不自然なまでに完璧に無視されていた、という印象がある。 これは私の仮説だが、純粋数学者たちはいまだに「ゲーデル・ショック」を引きずっており、不完全性定理という「魔物」を召還した「論理学」をタブー視しているのではないか、という気がする。数千年におよぶ数学研究の集大成として、世界に華々しく打ち上げるはずだった「ヒルベルト・プログラム」をぶっ潰したんだから、100年や200年は引きずっても仕方がないくらいのインパクトはある。これが通常の学術プロジェクトだったら、たとえ目標を達成できなかったとしても、何やかんやで「成功した」と結論付けられるのだけど。白黒が厳然と定まる世界は残酷だな、と、しみじみと思わずにはいられない。
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論理的に物事を記述するための「数学語」を理解するための本。数学を勉強する本というより、論理学の基礎を数学を通して勉強する本、といった感じでしょうか。 数学の面白さにもちょっと触れられます。
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厳密な言葉遣いは科学では必須です。論理記号の解読の仕方やその訓練によいと思います。やさしい言葉で説明しようとしているのだけど、文系向けではないです。
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