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ツタンカーメン秘話 の商品レビュー

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2024/06/01

35歳で名門メトロポリタンの館長となったトマス•ホーヴィングは、ハワード•カーターによるツタンカーメンの発掘に、メトロポリタン美術館が支援していたこと、その時の詳細な記録が美術館に残されていることを知る。 そこで明らかとなったのは、カーターによる発掘記の「虚偽」だった。 未盗掘...

35歳で名門メトロポリタンの館長となったトマス•ホーヴィングは、ハワード•カーターによるツタンカーメンの発掘に、メトロポリタン美術館が支援していたこと、その時の詳細な記録が美術館に残されていることを知る。 そこで明らかとなったのは、カーターによる発掘記の「虚偽」だった。 未盗掘の墳墓を発見したカーターは一度開けた穴を埋めて、パトロンであるカーナボン卿がイギリスから到着するのを待って初めて、封印を開けたと述べている。 未盗掘の墓を発見し、小さく開けた穴から覗いた先には燦然と輝く宝物が見えた。 苦節何十年、ようやく発見したファラオの墓を前にして、一度穴を埋め戻して封印し、イギリスからパトロンが到着するまで待つ。 「嘘をつくな!」とホーヴィングは断言する。 「誰がそんなに冷静に振る舞えるものか!」というのだ。 カーターは穴を大きく開けると中に入り込み、目ぼしい宝物を運び出したのだ、と述べる。 ホーヴィングは、出生不明のエジプト美術の名品の数々を、カーターがネコババし、売り捌いた物であると断言する。 それは、メトロポリタンがカーターの支援をして、発掘当時の遺品のリストを作っていたことから、論証出来るのだ。 そのリストにあって、現存しない品々。 出所不明の品物で、そのリストで現存しない物を照らし合わせるのだ。 だから、正確に、どこの美術館のどれが、カーターがネコババして売り捌いたものかわかるのだ。 しかし、著者はその行為を批判はしない。 当時、発見した者が、宝物の一部を所有することが一般だったからだ。 これを読んでハワード•カーターのツタンカーメン発掘記を読むと、ホーヴィングの主張が正しいことが納得出来る。 一度、穴を覗いてしまったら読者でも、五分と待てないのだから。

Posted byブクログ