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あなたのための物語 の商品レビュー

4.1

29件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

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2019/01/12

余命の限られた中で死に向かってひたすら執拗にあがく物語 死とはなにか人間とはなにか物語とはなにかについて 物語の好かれる配列よりサイエンスフィクション的に追及した様式だが 書きたいように書いているわけではなく 死とは違ってきちんと完結している 何しろSFという狭いジャンルにはいく...

余命の限られた中で死に向かってひたすら執拗にあがく物語 死とはなにか人間とはなにか物語とはなにかについて 物語の好かれる配列よりサイエンスフィクション的に追及した様式だが 書きたいように書いているわけではなく 死とは違ってきちんと完結している 何しろSFという狭いジャンルにはいくらでも先駆の読みづらい なんといってもイーガンが本作から連想される がいるので 『円環少女』同様の会話文に地の文がのるこの作者文すら可読性は高い どうしても『円環』の長谷せんせの作という先入観は拭えないが それでも本格(=マニアは喜ぶがあんま売れない)系を 書ける実力を示したのは大きいのでなかろうかマニア的に

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2018/06/06

ガジェット重視ではなくヒューマンドラマ志向のSF。技術が進歩した社会を描いてはいるが、どちらかというこの話が着目しているのはずっと変わらないものの方。 無価値であり続ける人の死、ずっと変わらない田舎の暮らし、人間の倫理観。主人公の性格や動機づけが一貫しており、それが死ぬその時まで...

ガジェット重視ではなくヒューマンドラマ志向のSF。技術が進歩した社会を描いてはいるが、どちらかというこの話が着目しているのはずっと変わらないものの方。 無価値であり続ける人の死、ずっと変わらない田舎の暮らし、人間の倫理観。主人公の性格や動機づけが一貫しており、それが死ぬその時まで「自分を曲げられない」ことに繋がっている。科学万能ではない、リアリティを感じさせる作品。

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2015/10/15

肉体を持たず意味と感情で構成された知性にとって、恋をしてひとりであることをやめるとは、個体を失うことと同義だったのだ。恋とみずからの消失とは、《彼》にとっては、今日よりずっと前から結ばれていた。 (P.267)

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2014/02/26
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※このレビューにはネタバレを含みます

優しそうなタイトルとは裏腹のハードなSFでした 余命宣告された女性科学者が、自らが研究する人工知能を通し、迫りくる死と向き合う物語。人工知能に「物語を書かせる」という実験が物語に通底し、さまざまなイマジネーションをふくらまさせてくれる。 自らの脳を人工知能に移して永遠の命を画策する主人公の姿を通し、結局は人間とは「身体」あっての「生」であることを痛感させる。そして、それゆえに「死とは何か」を描き出したこの物語は、読み進める辛さを感じさせながらも、「人間の生の素晴らしさ」を教えてくれているような気がします。

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2022/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

割と天才な女性の死までの内的な葛藤がほとんど。SFなんだけど純文学的な。 読んでから何年経っても忘れられない本になっていた。 その点で5点に付け替え。

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2013/10/05

サマンサは絶対的な死を前に物わかりよく悟ったりはしない。 恨み、怯え、怒り、あらゆる醜態を晒し続けます。 救いの手を拒み、無垢な愛情を受け入れられず、どこまでも孤独。 ここには『尊厳ある死』などという幻想は存在しません。 一匹の虫の死と変わらない、ひとつの命の終焉です。 サマンサ...

サマンサは絶対的な死を前に物わかりよく悟ったりはしない。 恨み、怯え、怒り、あらゆる醜態を晒し続けます。 救いの手を拒み、無垢な愛情を受け入れられず、どこまでも孤独。 ここには『尊厳ある死』などという幻想は存在しません。 一匹の虫の死と変わらない、ひとつの命の終焉です。 サマンサの死からジョブズの死を連想してしまいました。 『灰色』に侵蝕されるとき、カリスマは何を思ったのか。 少し知りたいと思いました。

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2012/11/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

間違いなく、この物語を読んでいる最中、私は言語を奪われていた。 一人の女科学者が“死”に抵抗するも、社会の“慣性力”――人間を人間たらしめる“肉体”の軛 に屈服せざるを得ない行程が描かれる。 彼女の最後の物語における重要な登場“人物”は、ITPテキストにより組み立てられた仮想人格。 自らの希望とする未来をITPに見いだし最後の時間を捧げてきた彼女が最終的に辿り着いた結論には、虚脱感とともに一抹の切なさが残る。 あちこちに哲学的思索への糸口となりそうなキーワードがちりばめられており、物語のさらに奥へと引き込まれた。

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2012/08/25

経済的に成功した一人の女性の物語。脇役は仮想人格 wanna be。タイトルの「あなたの」は wanna be によるサマンサへの物語という意味だろう。でもでも、読者に対して、傲慢になるなよという継承を含んでいるのかも。穿ちすぎかな? なんか、読んだ後、説教された感じ。何か言い...

経済的に成功した一人の女性の物語。脇役は仮想人格 wanna be。タイトルの「あなたの」は wanna be によるサマンサへの物語という意味だろう。でもでも、読者に対して、傲慢になるなよという継承を含んでいるのかも。穿ちすぎかな? なんか、読んだ後、説教された感じ。何か言いたいことを遠回りに物語にして悟らせているような... 死を取り上げた物語なので、面白いという感想は微妙だが、読んで損はないかも。 ただ、ITP があるのに苦痛をシャットダウンできないというのは矛盾しているような気がする。苦痛がないと物語が成り立たないのでしょうがないかもしれないけど。

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2014/01/07

心を揺さぶられる本だった。 主人公の、傲慢で苛烈な性格が自分と重なったせいもあるかもしれない。 ありがちだと思ったタイトルも、美しいものに思えてきた。 この本にはただ死がある。 死から始まり、死に終わる。 残酷な結論に至る本ではあるけれど、それが太古の昔から続いている、代わり映...

心を揺さぶられる本だった。 主人公の、傲慢で苛烈な性格が自分と重なったせいもあるかもしれない。 ありがちだと思ったタイトルも、美しいものに思えてきた。 この本にはただ死がある。 死から始まり、死に終わる。 残酷な結論に至る本ではあるけれど、それが太古の昔から続いている、代わり映えのしない事実であることに気づく。 人工の人格が作り続けた、主人公のための物語。 こんな言葉を感想にしたくはないが、あえて言う。 泣いた。

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2011/09/19

本格SF。内容は……Amazon辺りにお任せすることにします。久しぶりの本格SFはヘビーでした。 何かを理解するということは、それを否応なく受け入れるということと同義である。わからないものは無視してもかまわない。というより無視できる。だが一度でもそれを理解してしまうと、それは望...

本格SF。内容は……Amazon辺りにお任せすることにします。久しぶりの本格SFはヘビーでした。 何かを理解するということは、それを否応なく受け入れるということと同義である。わからないものは無視してもかまわない。というより無視できる。だが一度でもそれを理解してしまうと、それは望む望まないに関わらず一生まとわりついてくる。 科学技術が発達し、脳内における神経細胞の発光を観測・記録できるようになったとき、サマンサは理解してしまう。「死」を。いくら科学技術が発達したところで、それは決して人類を死の恐怖から解放してはくれない。むしろ「死」は、より明確な形となって人類の目の前に現れる。 科学に対する反定立ではないと思うが、その先が決して夢に満ち溢れているものではないということなのかもしれない。 あとやっぱり科学による死生観って面白いなあ、と。対極に存在するもの同士をつなげると真実が見えてくる。

Posted byブクログ