生と死と の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
吉田としは、昭和40~50年代に活躍した児童文学の作家で、正確に言えば、児童文学よりももう少し上の世代の恋愛を書いた作家である。例えばコバルト文庫の初期シリーズに登場する。今で言えば「Jノベル」であるが、当時はこの辺りの需要は高くなかったようで、よい作品が多いと思うのだが、余り高く評価されていない。 この本は、他界する直前に書かれた遺稿で、20年以上の時を経て、発行されることとなった。作家である主人公が病院で癌であることを告げられるという、一種の闘病記となっているが、吉田とし特有のユーモアのある文体が懐かしく、本を開いたときの文字の並びさえも愛おしく感じた。 彼女の描く全ての物語に共通する「人間としての矜持」を肉声で聞けたような気がする。 私は、彼女の描く世界と共に生きてきたのだと実感する。 死後二十年も経ってから、「吉田とし」の新刊を本棚に並べられる事が本当に嬉しい。
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