1,800円以上の注文で送料無料

ダーウィンの思想 の商品レビュー

3

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/10/19

「共感」や「道徳」「社会規範」を扱う最終章だけ読めばいいのだけど、通しで結局は読んだ。 「共感」はどのように道徳や規範と共に進化したとダーウィンは考えたのか、あっさりとした書き方ではあるもののなんとなく理解できた気がする。J・S・ミルの功利主義との関係はもう少し踏み込んでもらっ...

「共感」や「道徳」「社会規範」を扱う最終章だけ読めばいいのだけど、通しで結局は読んだ。 「共感」はどのように道徳や規範と共に進化したとダーウィンは考えたのか、あっさりとした書き方ではあるもののなんとなく理解できた気がする。J・S・ミルの功利主義との関係はもう少し踏み込んでもらった方が個人的には良かった。 というかもっと思想とダーウィン進化論との関係をタイトルから期待していたのだけど。

Posted byブクログ

2013/04/30

ダーウィンの進化論は、大仮説であり、よくわからない ところがある。 この本は、よくわからないところを、うまく、編集している。 ピーグル号に乗ったダーウィンが、ライエルの 地質学原理を 読み進めながら、現場で、自分で観察し、思考することで、 ライエルの突き当たった壁を突き破って行...

ダーウィンの進化論は、大仮説であり、よくわからない ところがある。 この本は、よくわからないところを、うまく、編集している。 ピーグル号に乗ったダーウィンが、ライエルの 地質学原理を 読み進めながら、現場で、自分で観察し、思考することで、 ライエルの突き当たった壁を突き破って行く。 地質学原理は、地質学だけでない視野の広い本なのですね。 ダーウィンの中で、進歩説、転成説から、進化論に 突き進んで行くことが、巧みに描かれている。 読みながら、ダーウィンは、徹底して 神と戦った人だと思った。 種の起源を作り上げて行く過程で、様々な出会いがあり、 徐々に、一つの物語になる。 この本で面白かったのは 分岐の原理である。 ダーウィンが、遠慮し、戸惑いながら書いているのを、 内井惣七が 、丁寧にまとめている。 ダーウィンのデモンという切り口もユニークでわかりやすい。 今西錦司の棲み分け論に対して、痛烈な言葉をはなっているのが、 感情的で、大人気ないようにも見える。違った表現があるだろうに。 何か、今西錦司に対して嫌な思いもあったのだろうか。 道徳哲学に対して、ダーウィンが、興味深く、幅広く追求したのは、 ライエルの言葉にあった。 『人間の卓越性は、人間が下等な動物と共有するそのような性質や 能力に依存するのではなく、理性にあって、 それより、人間は彼らから区別されるのである。』 動物と人間を連続的につなぐことを拒絶していた。 さらにライエルは思っていた。 『動物界に道徳性や高い知性はないが、人間にはある。 ではその道徳性は、どこからきたのか?』 ダーウィンはノートに書く 『蜜蜂の巣がミツバチの本能なしでは存続できないのと同様、 社会は道徳感覚なければ存続できない。』 いやー。あっぱれ。 内井惣七は、ダーウィンを褒め称える。 『人間から文明の衣を剥ぎ取り、 自然界に投げ戻して、道徳の機能に着目して、 他の社会動物と比較する。』

Posted byブクログ

2012/10/23

人間の動物に対する優位性を捨てる。「進化」という言葉は進化が優位性を獲得するものだと思われがちだけど、ダーウィンはメタ的な視点を持っているのでそこに関してはふれていない。。。?

Posted byブクログ

2012/08/14

著者の専門は科学哲学であり,ダーウィン「自体」についての研究成果である. 進化論として有名なダーウィンであるが,進化論自体と同時に同時代の研究者とのつながりについても解説される.最終章では道徳について考え,人間と動物に本質的な違いがあるのかどうか,ダーウィンの思想が語られる.

Posted byブクログ

2012/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

哲学者である著者が、ダーウィンの功績を論じた本。 やや読みにくいので星2つ。 ダーウィンが「種の起源」(1859)を発表した頃、万能の神がデザインして人間と動物を作ったというキリスト教の教えに則り、人間とその他の生き物は違うという考えが残っていた。それに対しダーウィンが著書「人間の由来」(1874)にて人間特有とされてきた道徳を獲得したことも自然淘汰の結果であることを論証した点、彼がそれに気づいたのは、かなり早い時期であるものの、発表に当たっては自身の評価が学会に定着してから行ったことが興味深い。 ダーウィンは、同時代の哲学者J.S.ミルの「功利主義」(1863)を以下のように批判した。 ダーウィンは「進化論によれば動物と人間との連続性は疑いえない。したがって、社会的動物の社会的感情が本能的である以上、人間の社会的感情にも本能的な部分があることを否定することはできない。また、人間の道徳に生得的(遺伝的)な側面があることも否定できない。」(p173-174) 20世紀末にオランダ出身のフランス・ド・ヴァールが、ダーウィンの頃は進んでいなかった類人猿の研究によりダーウィンの説を強力に裏付けている。「道徳の素材となるような能力や心証がほかの動物にも見られること、あるいは霊長類には萌芽的な道徳さえ見られること」(p200) 動物と人間が連続した存在であるという説が定説となっている今日、人間がその他の動物の尊厳を意識する時代になってきました。 今後も全ての生き物にとって幸せをもたらすことができたら、生命の起源から進化を解き明かしたことの意義もあるのではと思います。

Posted byブクログ

2011/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] ダーウィンはいかにして生物学から神を追放し、人間と動物をつないだのか。 ビーグル号の航海に始まり、主著『種の起源』と『人間の由来』に至る思想的成長の道筋をたどる。 自然淘汰・種の分岐の原理、進化の偶然性とデザインの問題、進化と道徳の関係を明快に解きほぐす。 徹底して人間を動物界に投げ戻すダーウィンの真骨頂。 [ 目次 ] 第1章 ビーグル号の航海 第2章 結婚と自然淘汰説 第3章 ダーウィンのデモン―進化の見えざる手 第4章 種はなぜ分かれていくのか―分岐の原理 第5章 神を放逐―設計者なしのデザイン 第6章 最後の砦、道徳をどう扱うか [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ

2010/08/06

本書の主要なテーマは2つある。 1つは、サブタイトルにもなっている、 「人間と動物の連続性」である。 進歩説にしろ、転成説にしろ、 単純で下等な生物から高等な生物への連続的変化を唱える説は、 ライエル初め、当時多くの研究者が反対していた。 「動物界にはない、人間固有の理性や道...

本書の主要なテーマは2つある。 1つは、サブタイトルにもなっている、 「人間と動物の連続性」である。 進歩説にしろ、転成説にしろ、 単純で下等な生物から高等な生物への連続的変化を唱える説は、 ライエル初め、当時多くの研究者が反対していた。 「動物界にはない、人間固有の理性や道徳性はどこから来るのか」 この問いを答えない限り、 人間と動物が連続的につながっているとはいえない。 ライエルはこう主張し、 自然界における人間の特別な地位を保持しようとした。 それに対して、 ダーウィンは次のように述べている。 「ミツバチの巣がミツバチの本能なしでは存続できないのと同様、 社会は道徳感覚がなければ存続しえない。」 人間固有と考えられてきた道徳性を、 何の抵抗もなく自然界に投げ戻し、 ほかの社会的動物と比較したのである。 そして自然主義に基づいたダーウィン独自の道徳論を展開していく。 このような自然主義的世界観は、 もう1つのテーマである、 「目的論的世界観の克服」にも大きく関係している。 知的創造者によって世界は設計されている。 これは、当時の一般的な考え方であった。 研究者たちの間でも、 「それぞれの器官は、 それ固有の目的のために設計され、機能するのだ」 というような目的論的見方が主流であった。 ダーウィンは自然淘汰説や分岐の原理を通して、 神のような設計者がいなくても、 生物の複雑な機能やデザインが生まれることを説明しようとした。 しかし神の配慮がない世界では、 自然界における人間の特別性が損なわれることになる。 ライエルを含めた多くの研究者が、 自然淘汰説と神の配慮をなんとか両立させ、 人間の尊厳を保持しようと試みた。 その意味では、 当時多くの人々が乗り越えられなかった壁を、 徹底した自然主義のもと、 ダーウィンはいとも簡単に乗り越えてしまったのである。 ここに彼の独自性とすごさがある。 以上が本書の核となる内容である。 しかし本書の構成では、 この2つのテーマが交錯しており、 「一体何のためにこの話をしているのだろう?」 とわからなくなることが多々あった。 おもむろに転成説や分岐の原理の説明をし始めても、 それを通して何が言いたいのかを述べなかったら、 本書の全体像が見えてこない。 さらには、 ダーウィンの伝記的エピソードや 色々な人物の説がまとまりのない形で出てくるので、 非常に読みづらい。 生物学者でもなく、ダーウィン研究者でもない、 哲学者としての視点が明示的に打ち出されていなかったのは 期待はずれであった。 扱っているテーマが面白いだけに残念である。

Posted byブクログ

2010/01/16

ダーウィンと言えば、進化論である。人間は、昔、動物だったと言われている。人間に進化した動物はとてもすごいと思う。今、その動物と人間のあいだには何があるのか。今人間に一番近い動物は、チンパンジーだと言われている。しかし、近いだけで人間にはなれないのである。その人間とチンパンジーのあ...

ダーウィンと言えば、進化論である。人間は、昔、動物だったと言われている。人間に進化した動物はとてもすごいと思う。今、その動物と人間のあいだには何があるのか。今人間に一番近い動物は、チンパンジーだと言われている。しかし、近いだけで人間にはなれないのである。その人間とチンパンジーのあいだにも何かあがある。この本は、ダーウィンの思想が読み取れる本になっています。ダーウィンの進化論と論理学がとてもおもしろいです。

Posted byブクログ

2009/12/18

ビーグル号。結婚。道徳。そしてダーウィン研究がおこなわれる理由についての考察。 ビーグル号とは、ダーウィンが同乗して地質学を学んだ船で、これに乗ったことが、ダーウィンが進化論をおもいつくきっかけとなった。自分にとってのビーグル号は何だろうか。 結婚。結構冷めていたらしい。結婚...

ビーグル号。結婚。道徳。そしてダーウィン研究がおこなわれる理由についての考察。 ビーグル号とは、ダーウィンが同乗して地質学を学んだ船で、これに乗ったことが、ダーウィンが進化論をおもいつくきっかけとなった。自分にとってのビーグル号は何だろうか。 結婚。結構冷めていたらしい。結婚に関する損得換算表なんか作ってたらしい。作るのはいいけど、正直、それが本当に意思決定において決定的だったかは個人的に疑問。 道徳。「蜂の巣の存続に、蜂の本能が不可能なように、人間社会の存続には道徳が必要」。妙に納得。 ダーウィン研究がこれだけできるのは、ダーウィンがメモ魔だったから。じゃあ、これから200年後、研究者たちはBlogやTwitterの書き込みを研究したりするんだろうか。

Posted byブクログ

2009/10/07

『ダーウィンの思想――人間と動物のあいだ』(内井惣七、2009年、岩波新書) ダーウィンの進化論がどのようにして生まれ、完成にいたったのかを追って解説している。 自然科学的な解説書ではないので、「自然淘汰」「性淘汰」などの用語をあらかじめ勉強してから読むと良いと思う。 (...

『ダーウィンの思想――人間と動物のあいだ』(内井惣七、2009年、岩波新書) ダーウィンの進化論がどのようにして生まれ、完成にいたったのかを追って解説している。 自然科学的な解説書ではないので、「自然淘汰」「性淘汰」などの用語をあらかじめ勉強してから読むと良いと思う。 (2009年9月4日)

Posted byブクログ