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アメリカの鳥 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2022/09/09

220909*読了 タイトルが秀逸。 少年期の母親への感情(執着)を抱く時期から、母と離れてフランスで暮らす時期へと。 この時期を描く文学って多いのだな、と世界文学全集を読みまくっていて思います。 ピーターが哲学を語る場面がたくさんあり、それをなるほど、とは理解できなかったのだ...

220909*読了 タイトルが秀逸。 少年期の母親への感情(執着)を抱く時期から、母と離れてフランスで暮らす時期へと。 この時期を描く文学って多いのだな、と世界文学全集を読みまくっていて思います。 ピーターが哲学を語る場面がたくさんあり、それをなるほど、とは理解できなかったのだけれど、そしてピーターの行動にも、おいおい…と思う部分が多かったのだけれど(笑) 第二次世界大戦が終わり、ベトナム戦争の最中。 自分が生まれる前(作者が亡くなったのは私が生まれた年)の出来事は、物語を読むことで当時の空気感、人々の思いを知ることになる。 日本から見たベトナム戦争と、アメリカ、フランスから見たベトナム戦争は違うと思うし、そういった視点の違いも海外文学を読む醍醐味と言えますね。 印象的な場面はいくつかあって、母親とアメリカの伝統的な料理を作るシーン、フランスに留学する列車でのアメリカ人女性教師3人組に捕まるシーン、フランスでの感謝祭の晩餐、ローマでの観光など。 3カ国にまたがる物語で、それぞれの国の特色も知れたのがまたよかったです。

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2018/08/13

マッカーシー 「 アメリカの鳥 」 難しい。 最初は青春小説、中盤以降 カント倫理学(道徳)の本。アメリカの反知性主義まで発展させるのかもしれない テーマは アメリカの社会道徳の崩壊 とすると 全体の筋が通る。市民革命で自由を獲得した アメリカとフランスを舞台として 道徳批...

マッカーシー 「 アメリカの鳥 」 難しい。 最初は青春小説、中盤以降 カント倫理学(道徳)の本。アメリカの反知性主義まで発展させるのかもしれない テーマは アメリカの社会道徳の崩壊 とすると 全体の筋が通る。市民革命で自由を獲得した アメリカとフランスを舞台として 道徳批判を展開したのだと思う 「アメリカンワシミミズクは死んだ」で始まり 「自然は死んだ」で終わる小説。その暗喩は *アメリカンワシミミズク=アメリカの鳥=自由 *自然は 死んだ=自由が社会道徳の崩壊へ向かっている 最終章「幽霊の三分の二」について 道徳に必要な3要素(自由、永世、神)のうち 2つ(永世、神)は存在しないことを示唆し、自由の国アメリカ、フランスにおいて 社会道徳は崩壊していることを意味している と解釈した 「世界の美しいものは 人間が世界のためになるようにできている〜人間の知覚による物の認識は 人間の知覚の法則と一致している」とは 3つのイデア(真理、倫理、美)のうち 2つ(美、真理)は 理性、知性、感性により実践されている と解釈した カント「他者は常に究極の目的である」人を手段として利用してはならない

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2012/09/29

政治思想家のハンナ・アーレントととも深い交流があった、著者の政治小説兼青春小説。ベトナム戦争や公民権運動などを背景にして、アメリカへの反発からヨーロッパを憧憬する青年ピーターの話。ある種の懐古主義的な作品と言えば、そうなのかもしれないが、正直、よくわからないし、読んでいてあまり面...

政治思想家のハンナ・アーレントととも深い交流があった、著者の政治小説兼青春小説。ベトナム戦争や公民権運動などを背景にして、アメリカへの反発からヨーロッパを憧憬する青年ピーターの話。ある種の懐古主義的な作品と言えば、そうなのかもしれないが、正直、よくわからないし、読んでいてあまり面白いと感じなかった。 というか、自分がよく理解できていないと言うのが、正直なところ。もう一度時間作ってじっくりと読み直したい。 それとアーレントとの書簡集(『アーレント=マッカーシー書簡集』みすず書房)を読んでみたい。

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2012/07/17

 いわゆるある種のビルドゥングスロマンとも言えなくはない。題名はアメリカの鳥であるが、舞台の中心になるのはパリとローマである。選者である池澤夏樹はアメリカの鳥をビーターの母親ロザリンドの象徴としているが、自分はそうは思わなかった。  マザコンであったピーターが激化するベトナム戦...

 いわゆるある種のビルドゥングスロマンとも言えなくはない。題名はアメリカの鳥であるが、舞台の中心になるのはパリとローマである。選者である池澤夏樹はアメリカの鳥をビーターの母親ロザリンドの象徴としているが、自分はそうは思わなかった。  マザコンであったピーターが激化するベトナム戦争の懲役を回避するために海外に留学するくだりが最初であるが、作者はそこでの生活を経て漆を塗られたピーターの純朴な精神、それは古き良きアメリカの良心的なものを象徴しているのであるが、ピーターはそれを海外においても首尾一貫しようとする。  旅をするとき、あるいは今までと環境の異なる生活を始めるにおいては、旅行鞄と共に自分は何を持ってきているのかがはっきりとしない。勿論、旅をするに当たってのそれなりの見当はするのであるが、それは実際の生活、経験を通して何なのかがはっきりする。自分の物と思っていたことが、実は祖国の伝統や慣習であったり、逆にナショナリティであると思っていたことが実はインディビジュアルなものであったりする。  その違いはそれが混在する環境では判別しにくく一つの対称性tを持っており、それが破られるのが異国での、伝統、習慣、風習、風俗、歴史を異にする状況での濾過なのだ。  パリ、ローマでの生活を通して、ピーターは変わる。変わるが、変わるものを知ることによって変わらぬものも初めて発見するのである。それは対照実験のようなものだ。あらゆる試練、環境を通して、一貫される自分という存在。自分で有りながらも、それが独りよがりではなくて、普遍性を同じに両立させる道徳律。カントの「自己の行動原理が、普遍立法となるように行動せよ」という言葉をまさに体現しようとしたときに、ピーターは「黒鳥」に襲われる。それは白鳥が自然で普通で有り、唯一普遍のものであるということのアンチテーゼあるいは文化洗礼ともいうべき事件だった。  しかしそれを通して、まさにピーターは他者を手段ではなく、最大の目的として扱うというカントの言葉を、ベトナム戦争への良心的徴兵拒否として具現化しようと決意するのである。その決意の後にピーターは突然の見舞客カントと語り合うのである。

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2010/08/03

[ 内容 ] アメリカ人青年ピーターは、鳥や植物を愛す、ちょっと内気な19歳。 パリ留学を前に母とふたり、ニューイングランドの小さな町を訪れる。 4年前、母と暮らしたその地は、アメリカのよき伝統が残る、緑あふれる土地だった。 しかし4年の間に自然は失われ、町はすっかり観光地化して...

[ 内容 ] アメリカ人青年ピーターは、鳥や植物を愛す、ちょっと内気な19歳。 パリ留学を前に母とふたり、ニューイングランドの小さな町を訪れる。 4年前、母と暮らしたその地は、アメリカのよき伝統が残る、緑あふれる土地だった。 しかし4年の間に自然は失われ、町はすっかり観光地化していた。 母は怒り狂い、よきアメリカを取り戻すべくひとり闘う。 そんな母と、アナキストだった父に育てられたピーターは、敬愛するカントの哲学に従い、「人を手段として利用してはならない」を行動原理として異国に旅立ってゆく。 時代は北爆開始にはじまるベトナム戦争の拡大期。 パリやローマで、ピーターは自身の反米主義に思い悩み、またイタリア系ユダヤ人を父にもつ自分のユダヤ性に常にこだわりながら、母国とヨーロッパの狭間で精神の成長を遂げてゆく。 ベストセラー『グループ』をしのぐ名著、待望の新訳決定版。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/11/11

プロットだけを抜き出せば、本作は大したこともない。 だが、主人公ピーター・リーヴァイの若者らしいまっすぐさが好ましく、ときどき強く胸を打つ。 そして彼の存在感ゆえに、非常に魅力的な作品になっているのだ。

Posted byブクログ