学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史(下) の商品レビュー
アメリカの黒歴史、下巻。 上巻ではコロンブスから始まるアメリカ初期の歴史で、弱者(ネイティブ、女性、奴隷)からの凄まじい暴虐と搾取の下に白人男性を中心として成り立ってきたアメリカが紹介されてきました。こちらの下巻では、近代になって暴力はほどほどに、嘘と欺瞞と謀略で国力を増大させ...
アメリカの黒歴史、下巻。 上巻ではコロンブスから始まるアメリカ初期の歴史で、弱者(ネイティブ、女性、奴隷)からの凄まじい暴虐と搾取の下に白人男性を中心として成り立ってきたアメリカが紹介されてきました。こちらの下巻では、近代になって暴力はほどほどに、嘘と欺瞞と謀略で国力を増大させるアメリカの姿が描かれます。学校の教科書に載っているお話の裏側を丹念になぞるのです。 さらに下巻では政府の嘘と欺瞞に満ちたやり口に対抗する様に、民衆が戦う姿が印象的に描かれていきます。弱者にとって地獄にも等しい世界で最も富める国、アメリカの底辺で声をあげ、拳を突き上げて、少しずつ、ひとつずつ権利と平等を手に入れていきますが、それを上から塗りつぶす様な国の政策が続いていて、権力と民衆の戦いは果てがない様にも思えます。 一つ一つ賽の河原の石を積み上げては壊される様に前に進んできた階級・権利の闘争は日本でも同じ様相だったのでしょう。私たちも進んでいるのかいないのかすらわからない一歩を踏み出し続けています。 そうした国という巨大で度し難い暴力への怒りと共に、民衆が立ち上がり、血を流して少しずつ世界を変えていくのだ、ということを力強く訴える終章は胸に響きました。選挙では何も変わらない。そんなこの世への絶望を踏みしめながら、次も投票に向かうことにしましょう。
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下巻は20世紀以降.種々の抵抗運動が実を結んでいく様が描かれる一方,現代に至るまでなお,権力者による抑圧や分断,暴力が続いてきたことを示す.黒人や女性の社会進出が進んでいるように見えても,実際は権力者の考えに多かれ少なかれ共鳴する人間が表に出ているに過ぎず,本当の意味でそうした被...
下巻は20世紀以降.種々の抵抗運動が実を結んでいく様が描かれる一方,現代に至るまでなお,権力者による抑圧や分断,暴力が続いてきたことを示す.黒人や女性の社会進出が進んでいるように見えても,実際は権力者の考えに多かれ少なかれ共鳴する人間が表に出ているに過ぎず,本当の意味でそうした被差別地位の人々全員の立場が改善しているわけではないというのは,留意しなければならないと思う.訳者あとがきにある通り,原著者本人が移民ルーツで,第二次大戦に参加し,更には公民権運動や反戦運動に関わってきたということで,上下巻含めた内容の背景にある思想にも納得.原題の「人民の歴史」が示すように,これはアメリカにおける市民の抵抗運動を紹介する内容として読むのが適切と考えた.第一次大戦への参戦が国民に支持されず,それへの対処として,反戦運動や徴兵逃れに対する弾圧が行われていたのも知らなかったが,同時多発テロ以降,過去のそうした抑圧に類するような,個人の権利を著しく制限するスパイ対策法が通っていたというのも驚き.今般中露の台頭を踏まえ,軍事分野の記事では,冷戦以降のアメリカ軍の縮小・弱体化が問題にされることが多いが,この本では社会保障の縮小が依然続けられながら,アフガニスタンやイラクで無為な戦争が行われたことが批判されており,そう考えるとアメリカにとって,冷戦崩壊以降の趨勢は「失われた20年」と言うべき状況に思われる.軍事介入ではなく,人道支援こそがテロへの適切な対処だというのは正しくそうだと思うが,一方で軍事力における優越を保てない限り,交渉ができない側面もあるので,難しいところ.この本のスタンスで考えるとトランプ政権は完全に権威主義へのロールバックなわけだけど,これまでの歴史的推移を鑑みると,むしろここで挙がった批判をバネにして,次を担う政権は革新的なものになるのでは,と考えるのは,楽観的すぎるだろうか.
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ヘレン・ケラーも社会主義者だったんだ。 ラングストン・ヒューズ『アメリカを再びアメリカたらしめよ』 朝鮮半島の歴史も、もっとちゃんと知っておく必要がある。 人々を救ってくれる救世主の活躍や、戦争は歴史の全てではない。それは人類の歴史のごくごく一部、偏った視点から見た歴史に過...
ヘレン・ケラーも社会主義者だったんだ。 ラングストン・ヒューズ『アメリカを再びアメリカたらしめよ』 朝鮮半島の歴史も、もっとちゃんと知っておく必要がある。 人々を救ってくれる救世主の活躍や、戦争は歴史の全てではない。それは人類の歴史のごくごく一部、偏った視点から見た歴史に過ぎない。 もう、誰かに救済してもらう、という考えは捨てよう。私の代弁は誰にもできない。私の言葉は私によって語られるしかないんだ。 https://coggle.it/diagram/Ws2qp2Z72lbCH8lC/t/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%81%A7%E3%81%AF%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2-%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%B3-r-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%95%E7%B7%A8%E8%91%97
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近代の扉を開いた産業革命の本質は機械化にある。その機械化が労働の質を変えた。労働者は部品となった。こうして働く喜びが人類から奪われたのだろう。 http://sessendo.blogspot.jp/2014/10/1901-2006.html
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民衆の歴史。なぁんだ、アメリカも日本もおんなじじゃんか。金持ちが庶民を支配することばっかり考えてるんだもんな。
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学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史の「下巻」です。対象期間は、1901-2006年までで、アメリカが独立を経て、新興国から先進国、さらにはリーダーへ駆け上がっていく期間となっています。 この時代のアメリカは、第二次世界大戦が終了する頃までは、戦争に負けなしで好調のようで...
学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史の「下巻」です。対象期間は、1901-2006年までで、アメリカが独立を経て、新興国から先進国、さらにはリーダーへ駆け上がっていく期間となっています。 この時代のアメリカは、第二次世界大戦が終了する頃までは、戦争に負けなしで好調のようですが、それ以降は、軍事費ばかりが増えてしまい輝きを失いつつあるように思います。また、以前はアメリカの繁栄は、アメリカに住む多くの人に幸福をもたらしていたようですが、現在は一部の人に富が集中してしまっているようです。 どの国にも統治者や権力者から見たら都合の悪い歴史はあると思いますが、アメリカの別の姿を見た気がしました。 以下は気になったポイントです。 ・20世紀初頭の数十年間を、革新主義時代と言われるのは、反抗的な人々をなだめるために、新しい法律(食肉検査・鉄道規制・企業独占の制限・食品や医薬品の安全確保・労働関係等)が制定されたから(p15) ・第一次世界大戦は、大規模な殺し合いで、大戦初期のフランスでの戦闘では、双方の軍ともに50万人の死傷者をだした、開戦3か月で、イギリス陸軍に以前から属していた兵士の大半が死亡した(p21) ・スパイ法とは、スパイ行為を防止するのではなく、軍への入隊を拒むもの、志願入隊しないよう勧めたものを20年以下の禁固にする等の法律(p23) ・1900年以降の20年間にアメリカには移民として1400万人がいたが、1924年に移民制限法を成立させて外国人の大量流入を制限、これはイギリスやドイツを出身とする白人移民に有利(p35) ・1933年の失業者数は 1500万人で全労働者の1/4から1/3、国内には何百万トンもの食料があるにも拘らず、利益にならないために放置されて、そのために人々は飢えた(p37) ・第二次世界大戦は、アメリカが参加した戦争で、最も人気が高い、1800万人が軍に入り、2500万人が自分の給料で戦時公債を購入した(p48) ・朝鮮戦争では、3年間で200万人もの北朝鮮・韓国の人々が死亡し、国土は荒れ果てた(p59) ・1946年に、トルーマンは公民権委員会をもうけて、10年かけて軍における差別が撤廃されて、黒人兵と白人兵は分離されなくなった(p67) ・1956年11月、最高裁判所は、地方バス路線での座席分離を違法と判断した(p68) ・レーガン政権で貧富の差は広がった、1980年のトップ役員は工場労働者の平均賃金の40倍だったが、89年には93倍になった(p128) ・2002年になってイラクに対して戦争をするとアメリカが決めた本当の理由は、イラクにある石油のため、アメリカが単独でイラクに対して軍事行動を起こすと宣言したのは、国連憲章違反である(p178) 2013年5月15日作成
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上巻では、自分の知らないことも書かれていて、興味深く読むことが出来たが、下巻では、どこの国でも、起こりそうなことがアメリカでも起きていたんだと実感しました。でも、アメリカでは、これらのことがかなり、公にされていて、公にされても殺されることはない。と筆者が自慢している声が聞こえてく...
上巻では、自分の知らないことも書かれていて、興味深く読むことが出来たが、下巻では、どこの国でも、起こりそうなことがアメリカでも起きていたんだと実感しました。でも、アメリカでは、これらのことがかなり、公にされていて、公にされても殺されることはない。と筆者が自慢している声が聞こえてくる。そして、自慢する愛国心が見えてくる。では、この筆者の言うようにするには、どうすればいいかというと、これは、難しいと思う。筆者は、かなり、理想主義的で、現実味があまり、感じられなかった。例えば、2次大戦の爆撃に対して、ドイツは、規模が小さかったが、アメリカは、ドレスデンの爆撃で、何十万の人が殺されたと、アメリカが非常のように書かれているが、私が思うに、ドイツは、このように大規模に爆撃をするだけの国力がなかっただけだと思う。大きく、爆撃をして、多くを殺したアメリカの方が悪い書かれ方をしたが、それは、行える能力の違いと思った。思い違いでは、内科。
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民主党であれ共和党であれ大統領はみな、権力の座にとどまる手段として、国民一般の怒りの矛先を自分の主張を口に出せないグループへと向けてきた。 アフガンが混迷状態にあるにもかかわらず、ブッシュはイラクに対する戦争準備に入った。それはイラクの地中にある石油に端を発していた。
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自分たち一部の上流階級人が儲けるために政治を行っているアメリカの政治家や役人は汚い。と思ったが日本の政治家よりはよっぽど行動力があるでしょうか。ともかくアメリカは下層の人々の苦しみを無視して一部の金持ちが潤う仕組みになっていることがわかった。戦争すらその一部であった。ただこの本は...
自分たち一部の上流階級人が儲けるために政治を行っているアメリカの政治家や役人は汚い。と思ったが日本の政治家よりはよっぽど行動力があるでしょうか。ともかくアメリカは下層の人々の苦しみを無視して一部の金持ちが潤う仕組みになっていることがわかった。戦争すらその一部であった。ただこの本は悪いところだけ書かれている。今度は良い部分がたくさん書かれている本も読みたい。
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下巻は、知っている歴史も増えてくるが、アメリカが尊敬されている時代はもう終わっているので、「裏」な感じはしない。
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