ソニーvsサムスン の商品レビュー
本書は、韓国人の経済学者が、凋落激しいソニーと今をときめくサムソンについて書いた本である。このシチュエーションで、しかも右翼的傾向の強い韓国人が書いた本であるという時点で、サムソンへのひいきの引き倒し的論理展開が想像されるが、まったくそんなことはなく、非常にニュートラルな視点から...
本書は、韓国人の経済学者が、凋落激しいソニーと今をときめくサムソンについて書いた本である。このシチュエーションで、しかも右翼的傾向の強い韓国人が書いた本であるという時点で、サムソンへのひいきの引き倒し的論理展開が想像されるが、まったくそんなことはなく、非常にニュートラルな視点から、ガバナンス的、戦略的、戦術的、企業文化的、歴史的に両者を比べ、冷静に批評している。興味深く読めた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
電化製品に限らず、近年の韓国企業の躍進は誰もが疑うことがない事実。 そしてその躍進によって日本企業が駆逐されてきたのも、これまた事実。 ”製品の特性(コストや機能・性能など)”から韓国製品の何が優れているのか、ということは、ベンチマーキングを得意とする日本企業ならどこでもやっているのでは?? そんな中、この本ではそういった結果(製品)だけの上辺の情報で韓国企業を評価するのではなく、ソニーとサムスンの組織とリーダーシップの違いを対比させ、「経営的に、企業戦略的に」韓国企業のなにが優れていたのかを非常に細かく分析されています。 つまり、「製品の何がすごいのか」で判断するのではなく、「なぜそのような製品が作れる企業足り得るのか」がわかります。これは上辺だけのベンチマーキングに嫌気がさしている私にとっては恰好の著書でした。 しかも、著者は韓国人の方のようですが、決してサムスンに傾倒した評価ではなく、超がつくほど中立的な視点で分析されているため嫌味がなく、ソニーとサムスンのお互いの長所と短所、成功と失敗が網羅的に記述されているため、ほとんどの事例に素直に納得できます。 以下、本書のおおまかな内容を私なりの言葉で解説します。 NIH(Not-Invented-Here:すでにあるものは開発しない)をモットーとしてきたソニーは創業者の天才的エンジニアリングとカリスマ性によって、電化製品の特異な企業として名を馳せてきました。 対するサムスンは、通貨危機をキッカケにして世界でトップになるべくして、「皇帝」として崇められるほどの権力者となったイ・ゴンヒ会長のリーダーシップによって模倣と吸収・拡大を繰り返し、破竹の勢いで世界のレベルに上り詰めました。 そしてソニーはNIHの限界と傲慢、創業者の引退、実力に見合わないグローバル化や事業拡大など、さまざまな要因が絡み合って短期的な業績が注目されるようになり、特異性は忘れ去られ、業績が悪化していきます。 それと時を同じくして、もはや誰も止められない勢いで成長していくサムスン。将来の不確定要素が少なく、投資レベルがそのまま業績に比例する DRAMという非常に合理的な事業に集中と選択を繰り返し、イ・ゴンヒの「恐怖経営」とまで呼ばれる圧倒的なリーダーシップで敏速に企業を成長させました。 しかし、ソニーも創業者から独立しながらも本来の姿をとりもどすべく、社外からCEOを招き、「ソニー・ユナイテッド」を目標に試行錯誤を始めています。 対するサムスンはもはや模倣する相手はいなくなり、名実ともに自らが業界のリーダーとなることが求められています。そんな中、ワンマン経営だけに頼っていくことの限界に直面しています。 これらの課題をどうクリアするかが今後の両社の明暗を分けるのでしょう。 本著を読めば、どちらの企業についても今後の展開に大注目になること間違いなし。 また、ただただ手をこまねいて惨敗しているだけではない日本企業があることを再認識させられ、少し明るい未来が期待できます。
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ソニーとサムスンの戦略を比較した内容。意外とこの2社は違うようで似ているようにも思えてしまう。ソニーとサムスンの違いを様々な要素から説明している。ブランド、戦略、人材、組織構造、意思決定。網羅されているため、各社を整理する上ではとても役に立つ。とはいえ、構成の問題かもしれないが、...
ソニーとサムスンの戦略を比較した内容。意外とこの2社は違うようで似ているようにも思えてしまう。ソニーとサムスンの違いを様々な要素から説明している。ブランド、戦略、人材、組織構造、意思決定。網羅されているため、各社を整理する上ではとても役に立つ。とはいえ、構成の問題かもしれないが、比較する上ではわかりづらく、整理しにくい。タイトルでソニーVSサムスンなのに、そのような内容になっていないのが残念。
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特に何かを得るような本ではなかったように思える。 ただ、SamsungとSonyが今までどのような事業をおこなってきたかを振り返り、まとめるには役立ったような気がする。 ただ、SamsungとSonyを比較するより、 Appleも混ぜたほうがいいような気がする。 まぁこの辺は難...
特に何かを得るような本ではなかったように思える。 ただ、SamsungとSonyが今までどのような事業をおこなってきたかを振り返り、まとめるには役立ったような気がする。 ただ、SamsungとSonyを比較するより、 Appleも混ぜたほうがいいような気がする。 まぁこの辺は難しいとこかな。。。
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少し時間がかかりましたが,概ね楽しく読ませていただきました.企業とはなかなか難しい・・・創業者から後世にわたるときに如何にうまく引き継ぐか…往々にして出来ていない.できないものか.後付理論で言えるものではないのか.何をもって成功と考えるか.私にはよくわかりません(笑)特色の違う2...
少し時間がかかりましたが,概ね楽しく読ませていただきました.企業とはなかなか難しい・・・創業者から後世にわたるときに如何にうまく引き継ぐか…往々にして出来ていない.できないものか.後付理論で言えるものではないのか.何をもって成功と考えるか.私にはよくわかりません(笑)特色の違う2つの企業を理解するには良い本だと思います. ソニーは常に新しいものを創造してきました.ウォークマン・グローバル化しかりです.その分多くの利益を獲れたし,負債も増やしてしまった.組織が肥大化してうまく機能するのに苦労を必要とした.その点サムスンはあるものを如何に効率的に生産し世界のトップになるかをトップダウンで目指してきました.今からは追うのではなく,リーダーとしてどう生き抜いていくか大変な時期にさしかかっています. 【参考情報】 ソニーの創業理念「自由闊達」 設立当初の井深の挨拶 「大きな会社と同じ事をやったのでは,我々はかないません.我々は大きな会社では出来ない事をやらなくてはならないのです.我々にはお金と機械はないものの,頭脳と技術があります.これを活用すれば,何でも出来ます.優れた頭脳と技術を他社を真似ることや追従することに使っていては,道は開きません.他人がやらないことをやりましょう.」 ソニーの「自由闊達」という創業理念は企業文化に発展し,社内に定着する事になる. 井深は古き良きものを保存し,そこから新しい知識を得る(温故知新)のではなく,新しいものだけを追求しようとする「温新知新」というモットーを提案した. 盛田は「市場は存在しない.ただ,創造されるだけだ」と述べた. 他社が真似できないソニーの商品を作るには,基本的に次の二つの方法しかない.要するに商品の標準規格を自ら定めるか,またはものづくり精神に基づく技術で証明されたメカトロニクスを有することである. by 大賀典雄元会長
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サムソンという会社がよく理解できた。友人が国内最大手家電からヘッドハンティングされたこともよく理解。
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比較により両社の違い、強み・弱みが理解できた。 創業以来、コンシューマに革新的な新製品を提供することを存在意義とし、グローバル化を目指したソニー。事業部への権限移譲により、全体最適が指向出来ず低迷。 方や、オーナーのリーダーシップの下、汎用品、キャッチアップ型戦術でグローバル...
比較により両社の違い、強み・弱みが理解できた。 創業以来、コンシューマに革新的な新製品を提供することを存在意義とし、グローバル化を目指したソニー。事業部への権限移譲により、全体最適が指向出来ず低迷。 方や、オーナーのリーダーシップの下、汎用品、キャッチアップ型戦術でグローバルブランドの仲間入りをしたサムスン。韓国人中心の経営で真の現地化、グローバル化課題。 コンシューマとしては、便利な製品 サービスで、生活が豊かになれば、ブランドは後から。 ソニーはかつてのビジョンすら感じられず、サムスンはそもそもコンシューマに対して何を考えてるのか全くイメージなしの株式会社韓国。 いずれも自分のブランドではないし、 今後もそうだろう。
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ソニーとサムソンの逆転劇の原因を戦略、組織、リーダーシップの観点から分析 戦略:デジタルドリームキッズ対デジタル刺身屋64 デジタル化は業界標準規格を伴い、専門化や標準化を実現するとともに、部品のせんん門下と規模の経済を達成してコストが削減されると同時に、企業間の品質の差がなく...
ソニーとサムソンの逆転劇の原因を戦略、組織、リーダーシップの観点から分析 戦略:デジタルドリームキッズ対デジタル刺身屋64 デジタル化は業界標準規格を伴い、専門化や標準化を実現するとともに、部品のせんん門下と規模の経済を達成してコストが削減されると同時に、企業間の品質の差がなくなり価格以外の差別かが難しくなったため価格競争が誘発される。71 ソニーの新製品開発を後押ししたのは優れた製品デザインと広告だった112 サムソンも元々ブランドが弱い会社だったがグローバルマーケティング室を立ち上げ、ブランドに対する投資を正当に数値かするためにブランドの価値を数字で測定。ROIを算出した。119 組織:SONYはカンパニー制でHQ不在、サムソンはGBMで秘書室 SONYはカンパニー制。ころころと変化(176のチャートはすごい)。196ソニーのカンパニー制度が長期的な投資を阻害しカンパニー間の競争と葛藤を助長しサイロになった理由を探ってみた。カンパニー制や事業部制のすべてがサイロになるわけではない。事業部制の組織ではサイロになるのを防ぐために補完的制度を設けている。HQが担うのだが、過去盛田、井深、大賀までカリスマリーダーが君臨し事業部間の調整をさせていた196。 サムソンもGBM(グローバルビジネスマネジャー)という製品別組織構造205。SONYと大きく異なるのはスタッフ組織である秘書室がサムソン電子だけでなくグループ企業全体を統轄し人事権と財務的統制を強力に行使する点209。 ガバナンス:SONYは専門経営者、サムソンは皇帝経営 サムソンがソニーのガバナンスとの最大の相違は強力なオーナーによる統制である点238。サムソンの事業部間のシナジーは秘書室と開帳に頼るもの254 ソニーとサムソンの業績の差を左右するのは戦略の差ではなく、組織プロセスと役員のリーダーシップである。255 危機には表面的危機と内在的危機がある256 サムソンがアナログからデジタルに技術がうつるタイミングで選択と集中をとったのが成功の原因264 後発企業がよくやりがちな誤りは、リーダー企業をベンチマーキングしてその戦略をまねてそのまま実行すること。資源や技術が不足している後発企業が資源や技術が優れているリーダー企業を模倣しても決して彼らを追撃できない266
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(2009/10/4読了)ソニーとサムスンの長所と欠点についての分析。経営・経済素人の私でも興味深く読めました。
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ソニーとサムスンの比較分析。 著者が韓国人。今はサムスン絶好調であるが、今後の未知の世界を経験するにあったってどのような戦略をとるかが興味深い。
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