地球全体を幸福にする経済学 の商品レビュー
原著のタイトルはCommon Wealthだから「共有の利益」「豊かさの普及」といったところか。国単位の経済活動のような視点ではなく、環境、人口、貧困を解決するための大きなビジョンを掲げている。 CO2濃度を工業化以前の2倍以下に保つためのコストは世界の年間所得の1%以下、人口...
原著のタイトルはCommon Wealthだから「共有の利益」「豊かさの普及」といったところか。国単位の経済活動のような視点ではなく、環境、人口、貧困を解決するための大きなビジョンを掲げている。 CO2濃度を工業化以前の2倍以下に保つためのコストは世界の年間所得の1%以下、人口増加を抑えるための政策の導入には富裕国の年間所得の0.1%以下、極度の貧困をなくすためには富裕国の年間所得の1%以下で足りる。しかし、この行動をしなかった時の結果の甚大さは比較にならないほど大きい。環境については気候変動枠組み条約や生物多様性保全条約などが、人口問題については人口開発行動計画が、貧困・飢餓についてはミレニアム開発目標が、それぞれ作られている。 環境保護と個人的な動機付けを両立させるための政策として、環境破壊に対する課税(外部性の内部化)、総量制限(キャップ&トレード)、業界ごとの基準設定、ゾーン区分があげられる。天然資源の採取を持続可能なレベルに制限する方法としては、取引可能な収穫権の導入、共有物の私有化、地域社会による共有化がある。 専門家は気候変動への対処方法について、エネルギー効率を改善することだけでは不十分であり、再生可能エネルギーは限られた役割しか果たせず、低価格で豊富な石炭などの化石燃料は利用され続けるため、回収・貯留(CCS)技術の費用効率が高くなれば重要なものとなるとの見解で一致している。 内戦の引き起こす要因として、若年層の突出、住民一人あたりの耕地不足、都市部の急成長があげられ、どれも高出生率が続くことと深く関わっている(Population Action International)。 世界の貧困は、内陸部、熱帯地域、水が少ない地域、マラリアの蔓延地帯、国際貿易ルートから外れている地域に集中している。イースタリーの海外援助に対する非難は、日本が東南アジアのインフラを整備して工業製品の輸出国へと成長させたことや、韓国・台湾・中国・インドなどが新興成長市場となったことを無視していること、1人あたり年額15ドルの援助支出(援助国の所得の0.3%)を大金と決めつけていることの2点が誤りであると主張する。 9章以降はスルーした。
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我々が「国益」と称しているものは、21世紀を生きるにはあまりにも狭小すぎて我々が幸せに生きるのを阻害していると思い知らされる。 原題は"commonwealth"だが、著者の提起する"commonwealth"の概念は「地球上の全人類の暮...
我々が「国益」と称しているものは、21世紀を生きるにはあまりにも狭小すぎて我々が幸せに生きるのを阻害していると思い知らされる。 原題は"commonwealth"だが、著者の提起する"commonwealth"の概念は「地球上の全人類の暮らしを守るための組織体系」だ。 「気候変動」「生態系の破壊」「人口増加」「貧困」は、先進国の我々にとっては他人事にされ、後回しにされがちだ。 しかし、著者は先進国に起きている国家安全保障、気象災害、伝染病などの問題を旧世紀の「国益」単位で捉えているために、その本質を見誤っていると読者に気づかせる。 そのために、本書の前半は、気候変動、人口増加、貧困などの世界規模の問題の解説に充てられている。 ブクログには「世界の問題の理解に役立った」レベルのレビューが見受けられるが、それはどうやらこの大著の前半で読む気が失せたためと思われる。 本書の後半から、なぜこれらが全人類の共通の問題と捉えることで、これらを解決することができるのかが示される。 このビジョンだけを読むと夢物語になってしまうために、前半に膨大な論拠を示したのだと気づかされる。 前から順に読むことに疲れたら(現に疲れますけど)、先に後半のビジョンを読んでから、前半の論拠に戻ってみることをお勧めしたい。きっと全く違うレビューになるはずだ。
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現在のグローバルな諸問題(政治、経済、環境)の深刻さを、経済学のシンプルなロジックで分かりやすく説明している。G0となった世界という見方との親和もあり、読んでいて面白い。 資源だが限りある魚を今、捕って得られる利益と代わりに投資したことで得られる利子を含めた収益との比較など。 ...
現在のグローバルな諸問題(政治、経済、環境)の深刻さを、経済学のシンプルなロジックで分かりやすく説明している。G0となった世界という見方との親和もあり、読んでいて面白い。 資源だが限りある魚を今、捕って得られる利益と代わりに投資したことで得られる利子を含めた収益との比較など。 後半には、問題解決に向けた処方箋とそれに対する世界の現状、成功事例が怒涛のように、論理的に明快に並べられていた。読んでいくと、本当に自分自身がまだ何も行動していないことを痛感するとともに、いち早く個人・市民・会社員として積極的に地球レベルの問題の解決に関わっていきたいと感じた。 富裕国のGNPや財団からほんの少しの金額が提供されることで、人口問題・農業生産性・飢餓・伝染病・地球環境問題を解決に近づけることができるということは本当に驚かされた。
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サックスの『貧困の終焉』に続く本。どちらかというと、貧困の終焉に比べて環境経済学の話が多かった気がする。良書。
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幅広い入門書。 世界にある様々な問題を、個別のものでなく横断的に捉える視点が役に立った。 それぞれのファクターについてもっと深く知りたくなる。
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Global Issue をざっくり理解するには良い本だと思う. 環境問題,人口爆発,貧困の罠,緑の革命,経済の国際協力体制... ありとあらゆる問題が複雑に絡み合って世界が成り立っているが,それをできるだけわかりやすく解きほぐしていると思う. もう一度,振り返りたい一冊.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1.持続可能なエネルギーシステムの構築に必要なコストは世界の年間所得の1パーセント。極度の貧困を無くすためのコストも同様。 2.生物多様性の損失により、突発的な思いがけない結果を招く危険性がある。生態系は様々な部分で関連性があり、ごくわずかな力関係の崩壊でも壊滅的な変化を起こしかねない。 3.出生率の低下を促す努力が貧困の終わりを呼び寄せる。人口転換を成し遂げる必要性。 4.社会福祉国家は雇用率がたかく、貧困率が低く、ジニ係数が低い。一人当たりGNPも高い。
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前著(「End of poverty」。特に臨床経済学の項)は必読だと思いますが、本著は筆者以外でも書けるという印象。
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先進国が当たり前に享受している幸福をどのようにして途上国が手に入れるうるかを複数の視点から考察した一冊。途上国が先進国との格差を収束(コンバージェンス)する方法を述べている。貧困、環境、人口、官民、緑の運動、医療がキーワードになっていて、世界が抱えている問題が実は容易に解決できる...
先進国が当たり前に享受している幸福をどのようにして途上国が手に入れるうるかを複数の視点から考察した一冊。途上国が先進国との格差を収束(コンバージェンス)する方法を述べている。貧困、環境、人口、官民、緑の運動、医療がキーワードになっていて、世界が抱えている問題が実は容易に解決できることを強調して、先進国の活動に提案をしている。 入門書のような気軽さで、でも深いとこまでえぐってる。ただ長いなあ笑
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これまで自然にあったもの、例えば空気や海や山や、もしくは宇宙までもこれからお金で取引されるようになるって、なんか虚しいなぁと思った。「ほとんどのエネルギー資源は商品になる」 アフリカはダイヤモンドなどが発掘されるのに経済発展とうまく関連づけられていない。もったいない。もっと、いい...
これまで自然にあったもの、例えば空気や海や山や、もしくは宇宙までもこれからお金で取引されるようになるって、なんか虚しいなぁと思った。「ほとんどのエネルギー資源は商品になる」 アフリカはダイヤモンドなどが発掘されるのに経済発展とうまく関連づけられていない。もったいない。もっと、いい手段を使ったらアフリカは発展できるだろう。 まぜ主要産業を築くことによって、港も発達し貿易も栄える。 一般的に地理的不利だと思われる場所でも、見方を変えればその相違を有利な状況に転換できrのではないか。
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