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和歌とは何か の商品レビュー

4.2

17件のお客様レビュー

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2023/02/07

開始:2023:2/3 終了:2023/2/7 感想 和歌をある種の呪文として解釈する試み。和を以て貴しとなす日本の営為を支える文化。喜び飛び跳ねる虚構の世界を作り出す様は水墨画の如し。

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2022/12/08

和歌を詠んだことはないが、本書はとても面白かった。31文字という限られた文字数の内の貴重な5文字を、意味を持たない枕詞に使うおかしさ。「和歌を生きる」という最終章もよかった。詩というのは世界をどう見るかということで、生き方なのだと思う。 メモ https://local-cla...

和歌を詠んだことはないが、本書はとても面白かった。31文字という限られた文字数の内の貴重な5文字を、意味を持たない枕詞に使うおかしさ。「和歌を生きる」という最終章もよかった。詩というのは世界をどう見るかということで、生き方なのだと思う。 メモ https://local-clavicle-daa.notion.site/76506651363943cfaae4ee2c801fee12

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2022/02/23

お茶の水大学日本語日本文学コースの教員おすすめの本 和歌とはその時の情景をただ単に示してそこから描く感情を書いているものだと思ったけど、 体験の真実性に近づけるための虚構で、演技しているのでは?と作者は考える 1つの和歌であっても取り上げるところによってよみが変わったり、人...

お茶の水大学日本語日本文学コースの教員おすすめの本 和歌とはその時の情景をただ単に示してそこから描く感情を書いているものだと思ったけど、 体験の真実性に近づけるための虚構で、演技しているのでは?と作者は考える 1つの和歌であっても取り上げるところによってよみが変わったり、人によって感じ方は全く違うのだなあと感じた。 切ない恋心を歌った歌も、歌合の題に沿って書かれたり、成り切って書かれたものだと知ってなんだか残念だと思ってしまった、、、(無知だった) でも表現も感性も素敵だなと再認識。 個人的にはこの本で出会った 「面影も別れに変はる鐘の音にならひ悲しきしののめの空」がぐっときました。

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2022/01/28

目次の章立てだけを見ると和歌の基本的技術や和歌がどのような場面で詠まれたのか、といった基礎的な事柄がタイトルの「和歌とは何か」通りに書かれているように見える。 しかし序章で提示される、「和歌は演技である」という主題が基礎的事柄のわかりやすい解説の中に編み込まれる。終章では和歌を詠...

目次の章立てだけを見ると和歌の基本的技術や和歌がどのような場面で詠まれたのか、といった基礎的な事柄がタイトルの「和歌とは何か」通りに書かれているように見える。 しかし序章で提示される、「和歌は演技である」という主題が基礎的事柄のわかりやすい解説の中に編み込まれる。終章では和歌を詠むことと人の生きる世界の関係までも考察して、和歌を詠むという行為が言葉を通じて世界に繋がろうとすることであるとともに、そもそも生きるということが詩なのではないか、と世界を包括した考えが説得力と高揚感を伴って示される。 いわゆる和歌の入門書とは少し違うのかもしれないけどとても納得のいく論考であり、繰り返し読んでいきたいと感じる素晴らしい作品。

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2020/03/29

和歌を楽しむ人間としてではなく、「高校生に、受験の知識として教える人間」として、非常に感動的な本。 和歌の技法を「単なる技法」としてのみ認識すると、生徒にとって「単なる暗記対象」になってしまう。それではまったく面白みがない。生徒たちはなぜ(一般的に)15〜18歳という人生にとって...

和歌を楽しむ人間としてではなく、「高校生に、受験の知識として教える人間」として、非常に感動的な本。 和歌の技法を「単なる技法」としてのみ認識すると、生徒にとって「単なる暗記対象」になってしまう。それではまったく面白みがない。生徒たちはなぜ(一般的に)15〜18歳という人生にとって大切な時間を、そんな無味乾燥とした知識の詰め込みに使わなければならないのか。私たち教員はなぜ1000年以上の時を経てなおこの国に残っている(それどころか、今なお燦然と輝き続けている)和歌を、そんなつまらない知識に堕させるようなことをしなければならないのか。 そういう気持ちで、「自分は大学で和歌を専攻したわけでもなく、在野の研究者というわけでもないのに、こんな教え方をしても良いのだろうか?」と悩みながらも、「これが生徒のためであり、和歌のためなのだ」と自分に言い聞かせながら(たぶん間抜けなヒロイズムに勝手に酔いながら)、「和歌の専門家」からすれば邪道と言われるだろうかたちで生徒に伝えてきた。 しかし渡部泰明はこの本の中で、まさしく私の言いたかったことを示してくれていた。

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2017/07/27

和歌とは演技性を持つ行為だ、というのが著者の主張の骨子のようだ。 序詞や枕詞などのレトリックは、言葉を儀礼的な空間に呼び込むための技法だ、ともいう。 そういった技法は言葉に二重の意味を持たせるものであり、声が重なるような感覚をもたらすものだと。 歌の中で役割を演じながら、他者との...

和歌とは演技性を持つ行為だ、というのが著者の主張の骨子のようだ。 序詞や枕詞などのレトリックは、言葉を儀礼的な空間に呼び込むための技法だ、ともいう。 そういった技法は言葉に二重の意味を持たせるものであり、声が重なるような感覚をもたらすものだと。 歌の中で役割を演じながら、他者とのつながりを作り出す、ということらしい。 こう書いていると、わかるような気もするし、ちっとも腑に落ちない気にもなる。 本書では実際の和歌がやりとりされる空間のことも扱っていた。 具体的には歌合せや古今伝授、屏風絵の歌など。 こちらは具体性があり、読みやすい部分。 やっぱり実際の歌合せや贈答の場面が見てみたいなあ。 結局そういう感想に落ち着いてしまった。

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2016/08/31

長年の学生への講義よって培われた論理と言葉だろうし、それだけ説得力も論理の迫力も感じられる。昔の干からびた文芸学ではなく、今の論理で、和歌の構造解釈に真摯に取り組んでいる。近代言語による和歌解釈の最も真摯な姿であると言える。特に、本歌取りや縁語、掛詞の背後に、「懐かしさ」を論じる...

長年の学生への講義よって培われた論理と言葉だろうし、それだけ説得力も論理の迫力も感じられる。昔の干からびた文芸学ではなく、今の論理で、和歌の構造解釈に真摯に取り組んでいる。近代言語による和歌解釈の最も真摯な姿であると言える。特に、本歌取りや縁語、掛詞の背後に、「懐かしさ」を論じるあたり。 しかし、近代言語による和歌解釈の達成とはいえ、それはやはり「近代」である。その「懐かしさ」の本源には近代的研究言語では決して辿りつけるものではない。「分かる」ことと「感じられる」こととは遥かなる距離がある。

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2016/06/19
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和歌は「演技」する文学であるという点と、掛詞・序詞などの文脈が重ならない言葉が「運命的」に一致するところに和歌の美があるのだという点、非常に面白かった。枕詞は、『日本書紀』では、神の言葉に萌芽的にみえるそうで、人類学的、呪術的な奥行きを感じさせる。第二部は歌合、人麻呂影供、古今伝授などの和歌の社会的側面に光をあてており、和歌をよむことは、演技をとおして、心を社会化する試みであり、その点で精神修養であり、「悟り」を求めることであり、為政者たる資格を証明するものであったという点も、たいへん面白かった。古典とはそういうものであろう。

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2016/05/22
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和歌は身近なものではない。 和歌の詠まれる場に注目すれば、 和歌の内容は、作者によって「演技され、理想とされ、社会に共有されるもの」である。 それは儀式的空間を形成するものとして 精神的状態の一種の憧れとして 絵や美術と共鳴し合うものとして 心的距離をもって接するものである。 身近ではない。だからこそ、 長い時代を生き永らえてきた。 きわめて日本人的な、という但し書きはつくけれど、 「和歌は、人の生き方に深く関わってきた。 むしろ私たちの生き方そのものだ。」 という筆者の説に、なるほど一理あり。 むしろ、和歌コミュニティ拡大の過程が 日本人的な社会観、価値観、思想の形成に 大きく一役かっている。 だから、「場にふさわしい」とか「無心をよしとする」とか 人生を重ねてしまうのだろうと思った。 歌合や、障子画や、歌集や。 すごいな、和歌コミュニティ。 感性が人生を為し、生き方が感性を為し。

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2014/05/14
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和歌のレトリックについて。枕詞、序詞は歌の本題(?恋の歌のなら恋とか)の文脈とは異なる文脈を想起させる。掛詞は歌の文脈を二重にする。縁語は詩の主題を陳腐化させずにまとめあげる力を持つ(ex. 「難波江」の「芦」の「かりね」のひと「夜=節」ゆゑ「身を尽くし=澪標」てや恋ひ「わたる」べき)。本歌取りは本歌への新しい解釈を提供する。 屏風歌・障子歌は絵の中に入り込んで(絵の中にいるという目線で歌を詠み)二次元の絵に動きを与える。風を吹かせたり。ここで紹介されていた、定家の「秋とだに吹きあへぬ風に色かはる生田の森の露の下草」という、絵に描かれなかった(描けなかった)細部を歌った歌、凄く好きだと思った。障子には採用されなかったらしいが。

Posted byブクログ