1,800円以上の注文で送料無料

動物農場 の商品レビュー

4.1

76件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    31

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/04/30

立場上、学生に「どうして勉強をしなくてはならないのか?」訊かれることがある。これにシンプルに答えるのは難しい。 頭脳労働と社会運営を他者に任せきりにした動物達の行末を描いたこの本は、その回答のひとつとして比較的分かりやすいと思う。 知識を蓄えること、頭を使うことの重要さが、全体主...

立場上、学生に「どうして勉強をしなくてはならないのか?」訊かれることがある。これにシンプルに答えるのは難しい。 頭脳労働と社会運営を他者に任せきりにした動物達の行末を描いたこの本は、その回答のひとつとして比較的分かりやすいと思う。 知識を蓄えること、頭を使うことの重要さが、全体主義への風刺を込めて描かれている。学生にこそ読んでもらいたい。 本書を読んでしまうと、会社員と家畜をかけて"社畜"と呼ぶ皮肉はそう笑えない。自分のために生きることを決意しなければ、本当に豚と人間の見分けがつかなくなってしまう。 また、トップさえすげ替えれば自分の暮らしは良くなるに違いないと信じる考え方も安直だなあとつくづく思ってしまう。

Posted byブクログ

2024/04/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった….. ナポレオンはわたしの会社の課長をみているようだった………そりゃ世の中、良くならないよね……..。七戒の文字が足されていくのがやばかった。記憶と思い出って、想像よりも随分と脆い。  読後、付録のオーウェルの言葉を読んで、史実どどこが重なるか具体的に知れて、それも興味深かった。確かに当時出版するのは大変だったんだろうなぁ……

Posted byブクログ

2024/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。スターリン時代のロシア情勢の風刺らしい。興味湧いたからあとで調べよう。知ってて読んでたらまた違った印象かも。物語としては寓話として良質だった。希望を胸に奴隷農場から独立したのに結局独裁者が生まれて奴隷農場に逆戻りってオチが良かった。

Posted byブクログ

2023/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。 それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。 資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けがつかなくなっていく。 これは労働者のリーダーのはずのスターリンが資本主義国家の英国や米国首脳と会談を重ねて彼らに同化していく様子を風刺している。 オーウェルは言う。 【現代の戦争】とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるものであり、戦争の目的は領土の征服やその阻止ではなく『支配構造の保持』にある、と。 そして法や歴史的解釈、ニュースの真相といった政治的教養は、いかにマスコミやフェイクニュース、プラットフォームのアルゴリズムによって自在にプロパガンダに変貌しうるのかを示している。

Posted byブクログ

2023/11/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

岩波文庫と中央公論新社(絵付き)を併読。オーウェルがなぜこれを書いたのかを学びつつ「おとぎばなし」を読めてよかった。人間を追い出した動物たちの農園でも、やはり支配する側とされる側の構図は変わらない。権力者は利権を守ること、支える側をいかに従えるかが命題となる。自分も支える側の一人として、闘った多くの動物よりも、現状の中にあった喜びを求め農園を出て行った馬のモリーが印象的だった。様々な立場と力量で考え動く動物たちを、読み手のように一歩引いて俯瞰でみることって大事だなと思った。

Posted byブクログ

2023/05/30

ピア・サポーターズ レフ・ブラゴヴェシチェンスキーのおすすめ本です。 「『すべての動物の平等』というスローガンのもとに解放された農場の動物たちを襲ったのは、動物たちによる新たな独裁だった…。理想と現実との格差、過酷な労働ですり減っていく動物たちの精神、醸成される疑心暗鬼、そして...

ピア・サポーターズ レフ・ブラゴヴェシチェンスキーのおすすめ本です。 「『すべての動物の平等』というスローガンのもとに解放された農場の動物たちを襲ったのは、動物たちによる新たな独裁だった…。理想と現実との格差、過酷な労働ですり減っていく動物たちの精神、醸成される疑心暗鬼、そして権力を握って肥え太る独裁者の「豚」たち…。果たして動物たちの王国に託されているのはどこの世界のことなのか、「豚」とは果たして「誰」なのか、想像力を働かせながら読んでみて下さい。」 最新の所在はOPACを確認してください。 TEA-OPACへのリンクはこちら↓ https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00288627

Posted byブクログ

2023/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一気に読み切れました。 なんとも言えないもどかしさが続きながらも、最後の反乱を期待しつつ一気にに読み切らされたという感じです。 動物に擬態化することで切なさや滑稽さが自然に感じられました。

Posted byブクログ

2023/05/07

旧ソ連を揶揄した小説。しかし、譬え話とはいえ本当に旧ソ連がこんなひどい政治をしていたかと思うと開いた口が塞がらない。日本は平和だ。

Posted byブクログ

2023/02/06

「1984」で有名なオーウェルだが、個人的には初めて読んだ。農場の動物たちが農場主の人間に反抗して追い出し、動物たちの自治を獲得しながらも、その理想主義的な理念が次第に独裁へと変わっていく様子を「おとぎばなし」として描いている。ロシア革命やソ連内部の路線闘争について詳しくないが、...

「1984」で有名なオーウェルだが、個人的には初めて読んだ。農場の動物たちが農場主の人間に反抗して追い出し、動物たちの自治を獲得しながらも、その理想主義的な理念が次第に独裁へと変わっていく様子を「おとぎばなし」として描いている。ロシア革命やソ連内部の路線闘争について詳しくないが、それでも、スターリン派とトロツキー派の抗争とか、残虐な粛清のことだと分かる。おそらく、当時の人たちは、もっとリアルに反ソ的な内容だと分かったのだろう。 独裁者、特権階級、彼らを守る暴力装置たる軍隊・警察、それに対し、革命の理念をあくまで維持しようとする者、現実を理解しながら見て見ぬふりをする者、ニヒリスト、右往左往する大衆などが出てきて、社会主義革命の裏の一面を鋭く描いている。

Posted byブクログ

2022/10/13

本篇は開高健訳で読んでいるので、付録二篇を目当てに借りて読んだ。 付録1 出版の自由 付録2 ウクライナ語版のための序文 時節柄、ソ連批判の寓話が非ロシアのソ連圏で出版された時の状況に興味があったのだが、第二次世界大戦終結後に英米の管理下にあったドイツの難民キャンプで暮らすウク...

本篇は開高健訳で読んでいるので、付録二篇を目当てに借りて読んだ。 付録1 出版の自由 付録2 ウクライナ語版のための序文 時節柄、ソ連批判の寓話が非ロシアのソ連圏で出版された時の状況に興味があったのだが、第二次世界大戦終結後に英米の管理下にあったドイツの難民キャンプで暮らすウクライナ人に向けて書かれたものだそう。 いずれもソ連神話を暴露することを目指して書かれていて、特に付録1の方は、ソ連を美化する風潮を強烈に戒めていて、世界で最初に近代的民主政治を築いた英国知識人の矜持を強く感じた。

Posted byブクログ