政治学のリサーチ・メソッド の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
• 理論はどのようにしてつくられるのか(21) 帰納的な理論構築:諸事象間の関係性を追究し、発見された関係が因果関係を示すものであるかどうかを検討したうえで、「この具体的な原因・結果のプロセスは、どのような一般的な因果関係の例であるのか」を問うのである。 • 事例研究の5つの主要目的(58) -理論を検証すること -理論を構築すること -先行条件を明らかにすること -それらの先行条件の重要性を検証すること -本質的に重要な事例を説明すること • 事例選択の基準(79) -研究者は自分の調査目的にもっとも合う事例を選択すべきである -理論を検証する際、研究者は自分が行う検証の強さと数を最大化するために事例を選択すべきである • どのようにすれば優れたテーマが見つかるのだろうか(100) -「だれかが書くべき本や論文」のリストを昨日の分からさかのぼってつくってみる -あなたが読みたいものを頭の中で思い描いて、実際に探してもそれが見つからないときは、あなたの「本や論文」のリストに仮のタイトルとして書きとめておく -大学院の授業が終わったあとで、その都度、その科目の授業で取り扱ったトピックにおいて何がかけていたかについて、メモしておく。 -既存の研究において欠落している部分を見つけるために、専攻分野の最先端を概観する。先行研究にないことが判明した問題や答え、さらにはそうした答えを提供しそうな研究についてメモしておく -あなたが関心をもっている政策論争を徹底的に研究する。それから、対立する両者を相反する結論へと追いやった事実や理論に関して、その主な争点を明らかにする • 博士論文の章立て(110) -あなたの主張 -その裏づけとなる証拠 -あなたの主張への反論や但し書き、その制約条件 -簡単な結論。ここにはあなたの主張が示唆することについてのコメントやそうした示唆から生じる諸問題などが含まれる • 事例研究を行う場合、そのまえに、その事例についての詳細な年表を書くとうまくいくことが多い(111) • 論証(127) -あなたの主張を裏付けるために、事実、数値、歴史といった経験的証拠を使いなさい。 -あなたの証拠が裏付ける一般的な論点を明確に書き表しなさい。 -自分自身の主張に反論してみる(手短に対応しておく) -脚注を使ってあらゆる情報源や事実に関する論述の記録を残す
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アメリカの大学院で博士論文を書くためのガイド。研究論文を執筆するに当たってのポイントが記されている。ゼミ論文を書くときなどにまた読み返したい。
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社会科学者による理論という用語の定義は謎めいていて多様である。 よい理論とは事象を説明する能力が高いもの。重要性、説明範囲、適用可能性。 より理論とは満足できるもの。好奇心を満たしてくれるもの。 よい理論は明確に組み立てられたもの。 理論は政策論争から推論されることがよくある。 ...
社会科学者による理論という用語の定義は謎めいていて多様である。 よい理論とは事象を説明する能力が高いもの。重要性、説明範囲、適用可能性。 より理論とは満足できるもの。好奇心を満たしてくれるもの。 よい理論は明確に組み立てられたもの。 理論は政策論争から推論されることがよくある。 理論を検証するには2つの基本的な方法、すなわち観察と実験がある。 データが多くあればあるほど、多くの疑問に答えられる。 ・理論提唱型 ・理論検証型 ・選考研究評価型 ・政策評価型 ・歴史説明型 ・歴史評価型 ・予測型 どのような問題に取り組みのか。問題をはっきりと書き表すべき。なぜその問題を選んだのか?どのような答えを提供するつもりなnどのようにして答えに到達するつもりなのか。 どのような作業仮説を探求しようとしているのか。どのようにして答えに到達するつもりなのか。
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この著作では学問の方法論について扱っている。中でも社会科学の事例研究の方法論について焦点を当て、よい理論の条件とはなにか、その検証はどうするべきか、実際上の博士論文はどう書き進めていくべきか、などかなり詳細に書いてくれている。 よい理論の条件」として「重要な事象を説明するも...
この著作では学問の方法論について扱っている。中でも社会科学の事例研究の方法論について焦点を当て、よい理論の条件とはなにか、その検証はどうするべきか、実際上の博士論文はどう書き進めていくべきか、などかなり詳細に書いてくれている。 よい理論の条件」として「重要な事象を説明するものであること」と「それが現実の政策への処方に富むものであること」が挙げられていたことが気になった。しかも、これは本文中で再三強調されている事項でもある。 ある哲学者の著作に「哲学は現実世界におけるなど求められず、ましてや政策提言などは求められない。だからこそ、しがらみに捕われず自由に真理を探求できるのである」というような趣旨のことが書いてあった記憶がある。自然科学においても現実世界に役にたつかどうかは度外視された研究も多いのではないだろうか。だからある意味この条件は当たり前のように見えて、本当にそうなってるか議論の余地があると思う。 「よい論文はあなたの名声を高める」ということが繰り返されていることも気になった。日本の著作ではここまで名誉欲をかき立てせる露骨な文章を見ることは滅多にない。その理由は名誉欲や出世欲はないということが美徳とされているからだと思うが、これは前述の社会との関係性にも関係してくると思う。「出世欲や名誉欲のためにやっているんじゃない、私は自分の研究がやりたいだけなんだ。」というタイプの人間が日本には多いんじゃないか。 個人的には名誉欲や出世欲を肯定した上で、どうそれらの欲求とうまく付き合って行くかを検討したり、職業としてどうあるべきかを考え、社会にどう義務を果たすべきかを考えたりする方がより健全な気がする。 あと論説委員との付き合い方や教授と院生の恋愛についてなど、論文をかくにあたってぶつかるであろう壁を妥協なくカバーしているのは素晴らしい。 「市場の力がわれわれに実用的な研究成果を出すように強いることはない。しかし、こうした圧力がないと、われわれは社会の厄介者に成り下がる危険がある。」
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