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図書館の神様 の商品レビュー

3.8

451件のお客様レビュー

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    81

  2. 4つ

    182

  3. 3つ

    121

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2022/10/25

読書の力はこれだけ大きいのか。垣内君が大人過ぎて惚れ惚れしてしまった。 お互いにスポーツ万能で辛い過去を持ちつつも、決してそれを明かすことは無い。「顧問と生徒」という、つかず離れずの関係が面白い。年齢もおそらく4~5歳しか離れていない二人は、むしろ部員同士という関係なのだろう。一...

読書の力はこれだけ大きいのか。垣内君が大人過ぎて惚れ惚れしてしまった。 お互いにスポーツ万能で辛い過去を持ちつつも、決してそれを明かすことは無い。「顧問と生徒」という、つかず離れずの関係が面白い。年齢もおそらく4~5歳しか離れていない二人は、むしろ部員同士という関係なのだろう。一年を通して、二人はお互いに尊敬しあう仲間になっていく。 この「部活仲間」という健全な関係が、主人公を取り巻く「姉と弟(家族)」「恋人(不倫相手)と自分」という関係と対比して描かれているので、余計に神聖なものに感じられた。 最後に部活らしく「走ろう、走るしかない!」という展開はとても爽やかな名シーンだった。文学への情熱、身体を動かしたい衝動、廃部のやるせなさや名残惜しさを思い切りぶつけているのだろう。 そして、主人公も立派な教師だと思う。一見、無気力な国語教師なのだが、体調不良の女子生徒に寄り添って本音を引き出しただけでなく、授業内容を生徒1人1人の個性を引き出すものへ柔軟に変更している。 自分の子供時代を思い出してみると、学校の図書室に普段は誰もいなかった。むしろ図書室で読書をしているだけで、「暗い」「仲間外れ」といった悪いイメージを貼られがちだった。実際は、広い世界との窓口であり、限りなく自分を成長させてくれるヒントとチャンスが転がっている場所なのだ。

Posted byブクログ

2022/10/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中学、高校とバレーボールに打ち込む熱血スポーツ少女だった女性は、高校時代のある日にある出来事がきっかけでバレーボールを辞めた。 バレーボールを軸に人生を組み立てていた彼女は全てに対しやる気を無くし、偶然出会ったパティシエの男性と不倫関係を続けていることだけを楽しみに日々を過ごしていた。 そして仕事もその男性に適当に言われたアドバイスに従って教職だけ取って、適当に講師の立場に収まった。 仕事にも職場の人間関係にもやる気が出ず、適当に過ごしているが、更にやる気が出ないことに文芸部の部活動顧問に任命されてしまう。 しかも部員は今年卒業の3年生男子一人のみ。 さあ、こんなやる気の出ない状況からどう話が進むのか! という始まりのお話。 正直、どこかで大きな事件があるとか、弁論大会に向けて頑張るとかそういうのは無いです。 ただただ、女性教師のやる気のなさと、不倫関係のやるせなさは続いていきます。 そのやるせなさは話が進むにつれて破局へと向かう。 私事での不調と呼応するように、彼女自身が少しづつ生徒の語りをきっかけにして読書というものの体験に惹かれていく。 なんかその過程が良かったです。 登場人物は皆、憎めない個性的だけど、やはり不倫している男性は面白い人物であってもダメですねー。 怖いのは、不倫で楽しみだけの関係と割り切っていても、いつか自分の感情を制御できなくなった時が怖い。 自分にはこの人しかいないと思ってしまったときに、それが終わりの合図になってしまうジレンマ。 煉獄で焼かれるような苦しみなんでしょう。 昔から不倫が戒められてきたのもわかる気がします。 あと、女性はスポコン時代は「正しさ」を信奉し 自分にも他人にも押し付けてきた。 それが他人も自分も苦しめ、人が離れる原因となっていた。 荒治療ではあるが、極端にだらしなくなり適当になることで 「正しさ」の押しつけをやめ、寛容になっていくさまを見て 正しく生きるとは何だろうと思った。 やはり読書というのは素晴らしいですね。 気に入った言葉 楽なものはつまらないとセットなのよ

Posted byブクログ

2022/10/21

先生、生徒。1人ずつしかいない部活。若いから、歳が近いから、だけなのか?この関係性、なんだかうらやましい。人物の置かれた環境や心情がすっとはいってくる。瀬尾さんの書き方が私の好みなのかも。

Posted byブクログ

2022/10/16

出てくる大人の精神年齢とか、 甘さが幼すぎて少し不快だったけど 読みやすかった〜 堀内くんと濃密で、大人になっても頭の片隅に残るであろう出来事を共有したのに 4語くらいしか交わさない あっさりとした別れもなんだかよかった。 中学の時の佐々木先生元気かな。 ありがとうって伝...

出てくる大人の精神年齢とか、 甘さが幼すぎて少し不快だったけど 読みやすかった〜 堀内くんと濃密で、大人になっても頭の片隅に残るであろう出来事を共有したのに 4語くらいしか交わさない あっさりとした別れもなんだかよかった。 中学の時の佐々木先生元気かな。 ありがとうって伝えたい!

Posted byブクログ

2022/10/12

色々と苦悩する主人公の心情に、共感するどころの話じゃなかった。別に冒険するわけでも、大恋愛するわけでもなく、淡々と日々が過ぎていく話で、別に劇的な展開があるわけじゃなかったけど、そのゆっくりと自分の生活や考え方に寄り添ってくる感じがグッとくる。瀬尾さんって言葉選びがとても素敵だし...

色々と苦悩する主人公の心情に、共感するどころの話じゃなかった。別に冒険するわけでも、大恋愛するわけでもなく、淡々と日々が過ぎていく話で、別に劇的な展開があるわけじゃなかったけど、そのゆっくりと自分の生活や考え方に寄り添ってくる感じがグッとくる。瀬尾さんって言葉選びがとても素敵だし、優しい気持ちになれるこの作風がすごく好き。

Posted byブクログ

2022/10/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに読んでも、主人公はやっぱり嫌いだけど、垣内くんと弟は好きだった。 穏やかな日常に思えて、高校生くらいは生きてるだけで大騒ぎだから、毎日楽しくて苦しい。もうあまり思い出す事もないけど、垣内くんのその後が気になる。 主人公にも不倫相手にも魅力が無さ過ぎて残念。前はもっと好きな気持ちで読めてたから、きっと受取手の問題。

Posted byブクログ

2022/10/02

過去のトラウマから抜け出せず生きる女性が、高校文芸部の垣内君や周りの人たちとの淡々とした交流によって 癒されていく物語 「春、戻る」を思い出した

Posted byブクログ

2022/09/29

すらすらと読めるとても読みやすい作品 主人公と文学部唯一の部員垣内君の、お互いに詮索もしなければただ顧問と生徒を超える訳でもない、ただ文学によってつながっているだけという事実がとても良かった

Posted byブクログ

2022/09/23

さらさらと読めて、優しい気持ちになれました。 主人公の清(きよ)の視点で語られていくお話。淡々とした語り口調で進められるので、サクサク読めました。文芸部の顧問になった清と唯一の部員の垣内くん。やる気のない先生の言葉もいったん受け止めて答えてくれる垣内くん!こんな人になりたいと思っ...

さらさらと読めて、優しい気持ちになれました。 主人公の清(きよ)の視点で語られていくお話。淡々とした語り口調で進められるので、サクサク読めました。文芸部の顧問になった清と唯一の部員の垣内くん。やる気のない先生の言葉もいったん受け止めて答えてくれる垣内くん!こんな人になりたいと思っている人物像がここにいました。 垣内くんが文学について語る言葉が素敵でした。 清が一歩踏み出す終わりで、優しい気持ちで読み終えることができました。

Posted byブクログ

2022/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

瀬尾まいこさんの本はおそらく初めて読んだのだと思うが、すっと読みやすい文体でするすると読み進めることができた。 一つちょっと引っ掛かったのが自殺に追い込んだかもしれない人に対する描写。所詮フィクションと言えばそれまでだし、自分が少し過敏になっているだけかもしれないけど、理解しにくい描写だった。 短編の雲行きがとてもよかった。母親の再婚相手と年頃の娘という微妙な関係性がよく伝わってきた。

Posted byブクログ