ボヴァリー夫人 の商品レビュー
冗長さに耐えられなくてかなりの部分を飛ばしながら読んだ 巻末の解説が蓮實重彦で、むしろこの人の書いたボヴァリー夫人論のほうに少し興味があるから、もしかしたらボヴァリー夫人論を読むときに再びこの本を開くかもしれない
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今年読んだ本のベスト。多少読みにくかったが、空間の細部が緻密に描かれいることで、小説世界にグッと引き込まれた。主人公エンマの感情の機微がロマンチックに美化されることなく、リアルに描かれているので、より胸に迫るものがあった。フローベールは天才だと思う。訳者のセンスもいい。
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フローベールが「ただ息をするように書いてみた」実験的小説。そして完成したこの小説は不思議な小説になった。恋愛とは幻想である。話自体は小説のような恋愛という幻想の中で借金が膨れて身動きが取れず全ての恋愛が終わり自殺する医者の妻、美しきエンマ・ボヴァリーの話。この話には恋愛の、欲望の...
フローベールが「ただ息をするように書いてみた」実験的小説。そして完成したこの小説は不思議な小説になった。恋愛とは幻想である。話自体は小説のような恋愛という幻想の中で借金が膨れて身動きが取れず全ての恋愛が終わり自殺する医者の妻、美しきエンマ・ボヴァリーの話。この話には恋愛の、欲望の、あるいは倫理的であれ何であれテーマがない。ただ人が生きるようにコトは進み、ひとりの女性の人生が終わる。大人になってから死までの間に幾度かの恋がありそれが形として不倫だったのだが、それはここではあまり関係ない。人は自分の作り出した幻想を最後まで貫徹することはできないという話なのか。ラスト100ページはスリリングに破滅していく。その破綻と共に彼女の恋も夫や娘の人生も全てが終わるということが淡々と語られる不思議な小説なのだ。森鴎外の孫にして森茉莉の息子、山田じゃくの訳文が素晴らしい
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小説の歴史に刻まれるとても小説らしい本格小説 いつでもどこにでもある登場人物たちと筋書きとを 文章芸という手先を超えて細部が造る全体として構成するような作品 のようなものだと思うが 原語で読んでもいないくせに何わかったようなこと言ってんだってなものかもしれない 日本語で現在読んで...
小説の歴史に刻まれるとても小説らしい本格小説 いつでもどこにでもある登場人物たちと筋書きとを 文章芸という手先を超えて細部が造る全体として構成するような作品 のようなものだと思うが 原語で読んでもいないくせに何わかったようなこと言ってんだってなものかもしれない 日本語で現在読んでも さすが時代を越えて読み続けられる作品と風格なんである
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あまりにも有名なフランス文学の古典。 これまでに色々なことが言われているが、読んでみると予想外に波乱万丈でエンターテイメントとしても一級品。これって今で言う『多重債務』ってやつだよなぁ……。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『ボヴァリー夫人』って聞いたことあるけど、どんな話かまったく知らないなぁと思って手にとった本。 解説にもあるように少し文章が読みづらいけど、そこを我慢して読み進めると途中からまさかまさかの展開で一気に読めた。 ってかエンマ結局死んじゃうの!?っていうオチにびっくり! 夫のシャルルは良い人だけど、退屈な人。 既婚者ならエンマの気持ちに共感しながら読めるかも。
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リアリズム小説の嚆矢とされるフローベールの代表作。苦心の末生み出された没主観的な文章は綿密な分析的描写が特徴である。ロマン主義的な憧れが凡庸な現実の前に敗北する様を描き出す手法はあくまで淡々としており、それだけに悲喜交々が過ぎ去ったあとには何も残らない。ただ日常の風景が以前と変わ...
リアリズム小説の嚆矢とされるフローベールの代表作。苦心の末生み出された没主観的な文章は綿密な分析的描写が特徴である。ロマン主義的な憧れが凡庸な現実の前に敗北する様を描き出す手法はあくまで淡々としており、それだけに悲喜交々が過ぎ去ったあとには何も残らない。ただ日常の風景が以前と変わらずそこにあるだけである。
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エンマが気にくわないという人をよく見かけますが,私は好きです。おそらくボヴァリズムが私の中にあるからでしょう。彼女を見ていると他人とは思えません。 半年かけてこの作品を授業で取り扱いましたが,フローベールの演出がそこらじゅうにちりばめられており,またその物語に破綻や矛盾が少なく,...
エンマが気にくわないという人をよく見かけますが,私は好きです。おそらくボヴァリズムが私の中にあるからでしょう。彼女を見ていると他人とは思えません。 半年かけてこの作品を授業で取り扱いましたが,フローベールの演出がそこらじゅうにちりばめられており,またその物語に破綻や矛盾が少なく,本当に優秀な作品なのだと感じました。 また,副題に「地方風俗」とあり,そこからわかるように作品中には細かい地方風俗の描写があります。民俗学などの資料としても重要な位置にあるのではないでしょうか。 内容に関して語り始めるといつまでも終わらないので何もいいませんが,もしつまらないと思った方がいたら解説本(どういったものがあるかはわかりませんが)などにも目を通してみることをお勧めします。私も最初はパッとしない印象を受けましたが,教授や友達とディスカッションしたり考察をするうちにこの本の魅力にすっかりとりつかれてしまいました。
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平凡な結婚生活に鬱々としていた主人公のボヴァリー夫人。 恋愛小説のような恋に憧れてきた彼女が、ある日都会に出かけて、恋に落ちる。不倫と浪費を繰り返す彼女の運命は・・・? 積み重なった倦怠や不満が、爆弾みたいなエネルギーを持つ。 情熱と言うにはあまりに乱暴で奔放な、彼女の欲望。 ...
平凡な結婚生活に鬱々としていた主人公のボヴァリー夫人。 恋愛小説のような恋に憧れてきた彼女が、ある日都会に出かけて、恋に落ちる。不倫と浪費を繰り返す彼女の運命は・・・? 積み重なった倦怠や不満が、爆弾みたいなエネルギーを持つ。 情熱と言うにはあまりに乱暴で奔放な、彼女の欲望。 そんな主人公に対して、嫌悪感よりも、人生の哀しみを強く感じました。 欲望を制御できず、夢見ることをやめられず、あがきつづける人生。 主人公のようにはなりたくないけれど、共感してしまう自分もいるのでした。 150年前にフランスで書かれた作品。 当時の人も現代の自分と同じように悩んで一生懸命生きていた。 そう思うと、人間が愛おしくなります。
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写実主義の代表的作品として、同じゼミの先輩に薦められて読んだフランス小説。論文中に見た「ボヴァリズム」って言葉がかっこよすぎて頭から離れない。今度僕も何かの作品を論じる時に「ボヴァリズム」使ってみようと思う。 それにしても長かった…。
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