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選挙の経済学 の商品レビュー

3.8

7件のお客様レビュー

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2021/08/08

訳者あとがきより、本書の要約。 「現実の政治やデモクラシーは、投票者が合理的に行動することによって失敗しているのではなく、自分たちの状態を悪くするような非合理的な(愚かな)選択をすることによって失敗している、…民主主義は人々が欲することを反映するが故に失敗する」 どこかの書評で取...

訳者あとがきより、本書の要約。 「現実の政治やデモクラシーは、投票者が合理的に行動することによって失敗しているのではなく、自分たちの状態を悪くするような非合理的な(愚かな)選択をすることによって失敗している、…民主主義は人々が欲することを反映するが故に失敗する」 どこかの書評で取り上げられており、サブタイトルが「投票者はなぜ愚策を選ぶのか」とあり、関心のあるテーマだったので読んでみた。なるほどと思う反面、あまり難しいロジックがあると言うよりは、単に投票者が愚民化している事と、政策ごとに投票できないことが問題ではなかろうかと考えてしまった。 それにしても訳者のあとがきがなければ何を言いたいのかよくわからなかった。一方、公共選択論という学問があることをしることができたことは収穫。

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2013/10/04

私にとっては難しかった(*_*) 序文の民主主義のパラドックスは面白かった。 独裁国家は危険だけれど、無知な人々が投票したところで、良い政治はできない。 しかも、実際の人々は無知よりたちが悪い、非合理的な考え(正しくないのに、それが社会にとって良い事だと思い込んでいる)を基準に...

私にとっては難しかった(*_*) 序文の民主主義のパラドックスは面白かった。 独裁国家は危険だけれど、無知な人々が投票したところで、良い政治はできない。 しかも、実際の人々は無知よりたちが悪い、非合理的な考え(正しくないのに、それが社会にとって良い事だと思い込んでいる)を基準に投票する。 良い政治にするには、政治家を批判する前に、私たちが頭良くならないといけない。真実を知りたいと思っていない事についても知っていかなければならない。

Posted byブクログ

2021/10/02

以下、本の要約です。 ーーー 政治やデモクラシーの失敗は、人々が自分たちの状態を悪くするような非合理的な選択を行うことによって起こる。 その非合理選択は ・反市場(競争はよくない)、 ・反外国(外国のものや外国人は良くない)、 ・雇用創出(経済成長や技術革新は我々から仕事を奪う...

以下、本の要約です。 ーーー 政治やデモクラシーの失敗は、人々が自分たちの状態を悪くするような非合理的な選択を行うことによって起こる。 その非合理選択は ・反市場(競争はよくない)、 ・反外国(外国のものや外国人は良くない)、 ・雇用創出(経済成長や技術革新は我々から仕事を奪う)、 ・悲観的(世の中は常に悪くなっている)、 の各バイアスによって起こる。 従来の公共選択論がデモクラシーの失敗を(自分の1票が投票結果を変える確率がゼロに近いため政策や政治に関する情報を集めることをしない)「合理的無知」によるものと見做すのに対して、著者はデモクラシーの失敗がデモクラシーが人々の意見を反映しすぎるために起こると見る。 このように著者は民主主義の失敗がなぜ起こるかを従来の公共選択論とは異なった視点で見ており、研究者はもっと人々の合理性や愚かさについて認識しないといけないと述べている。それを是正するための政策提言については、従来の公共選択論者と同様、公的領域の縮小と市場・私的領域と拡大を主張する。

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2013/08/13

政治ではなくて経済学のお話なので、選挙を経済学から細かく分析してみようということ。で、本書のポイントは、サブタイトルの「投票者はなぜ愚策を選ぶのか」。なんで我々は自分たちの投票で政治家を選ぶ権利を持っているのに、おかしな結果を招く投票をしてしまうのか。 普通、人間が社会の中で行...

政治ではなくて経済学のお話なので、選挙を経済学から細かく分析してみようということ。で、本書のポイントは、サブタイトルの「投票者はなぜ愚策を選ぶのか」。なんで我々は自分たちの投票で政治家を選ぶ権利を持っているのに、おかしな結果を招く投票をしてしまうのか。 普通、人間が社会の中で行動する際には自分自身に利益が出るように行動します。しかし、それが選挙となると、自分自身の利益に繋がるような政策に投票しても、それが直接結果に結びつく可能性はとても低くなります。自分に与えられた権利は何十万分の一票なので、結果に直接反映されるわけではない。なので投票に対してそれほど慎重になる必要がなくなる。場合によっては非合理的な選択すらしてしまう。 こういった非合理的なバイアスのもとで行動できてしまうため、選挙においては自分のことなんか考えない有権者たちによっておかしな結果が出ることがある。 愚民たちはランダムに投票するわけではなく、バイアスのかかった奇妙な偏りを持って投票するため、有識者たちの結果が直接反省されることなく自分自身にも他人にも利益にならないような愚策を持った候補者や政党が当選することになるわけです。 選挙がどんな結果に落ち着こうと、それは我々有権者たちがそれそれ投票し「民意」が反映された結果です。自分は愚民にはならない、きっちり政策を吟味してから投票しよう!と思うのは誰だってできますが、それも結局は何十万分の一という事実に変わりはない。どちらに転ぼうが言えることはたった一つ。「我々は愚民だ!」なのかな、なんて思い知らされる1冊でした。

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2012/01/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 正直言ってまだまだ模索中の考え方で、とても一般向けの本にするようなテーマではないと個人的には思うのだが、新しい経済学の形を考える上では参考になるかもしれない。要は、選挙という形式が正しい政治判断をするためのツールとして機能しているかを、経済学的な見地から考えようというお話だ。  ただ、日本語がすごく読みづらいので、よほど興味がないと読むのはつらいかもしれない。  経済学は、極論すると、あっちとこっちのどっちが得かを比較判断する学問だと思う。この、得かどうかの正しい判断が、合理的選択と呼ばれるわけだ。経済学によると、経済活動を行う上で、人は合理的選択を行う。一方、同じ人が、選挙になると、経済学的視点から見て非合理的に思える判断を下してしまう。例えば、比較優位の理論によると市場開放した方がお互いに利潤を最大化できるのに、バイアメリカン条項の様に保護貿易を主張する政治家が当選してしまうことがその例だ。  この様な非合理性を説明するのに、古典的公共選択理論では、有権者が合理的無知であることを仮定していたらしい。つまり、自分がどの様な投票行動を取ったとしても、それが全体の結果に影響を及ぼす期待値は限りなくゼロに近いので、適当に投票してしまうということらしい。すると、多くの合理的無知な有権者はランダムに投票するので、集計の奇跡により、ごく少数の情報を多く持った有権者の行動により全体の結果が決まることになる。  しかし著者は、この様な集計の奇跡は起こらないと主張する。では、何故、非合理な選挙結果がもたらされるかというと、有権者は合理的非合理性を持つためらしい。例えば、排気ガスを規制する為に自家用車の使用を制限する、ということが選挙の争点になったとしよう。有権者は排気ガスが健康や環境に悪影響を及ぼすということを熟知している。そして仮に、今のまま自家用車を使用すると、1兆円の経済損失を招くという予測がなされているとする。  合理的に判断するならば、自家用車を制限するのが正しい判断になるはずだ。しかし実際は、制限しないと主張する政治家が当選するだろう。これは、一票がもたらす経済損失の期待値が極めて小さいためだ。一票が全体の結果に影響を与えるのは、その他の票が完全に半々に分かれている場合に限られる。しかし、そのような状況が発生する確率はほとんどゼロに近い。よって、有権者一人が規制に反対することによる費用はほとんどゼロなので、自分の利便性を考慮して規制に反対することになる。  ここまで読むと、(訳者あとがきにもある通り、)合理的無知だろうが合理的非合理性だろうが、もたらされる選挙結果に変わりがないことが分かる。では何故この様な議論を著者は展開したのだろうか。後半の章を読む限り、著者は、民主主義の無謬性を信仰する者達が経済学者を軽く見るのが気に食わなかったのではなかろうか。そして信者達に、民主主義は無謬でも何でもなく、有権者は誤った行動を取るものであり、その特性は彼らの嫌いな経済学で説明できることを示したかったのではなかろうか。  本書で示される結果は、ボクらが普段の選挙で直観的に感じている非合理性を説明しているに過ぎない。そして、どうすればその非合理性を回避できるか、提案がなされているわけでもない。だが、有権者は合理的に判断して誤りを犯してしまうという事実を自覚していれば、私的利益ではなく社会的利益をもたらす政策は何なのかという検討を行う上での戒めにはなるかも知れない。  最後に、訳者あとがきにもありますけれど、かなり日本語が読みづらいです。

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2010/08/18

 あー、もう経済学はホントに面白くないわ~。。バイアスの議論は最近どんどんこの本のような一般向け書籍にも随分出るようになったけれども、な~んか納得いかない。バイアス自身の議論を否定したいわけではないのだけれども、経済学の理想状態がしっくりこない。だから読んでいても面白くない。。可...

 あー、もう経済学はホントに面白くないわ~。。バイアスの議論は最近どんどんこの本のような一般向け書籍にも随分出るようになったけれども、な~んか納得いかない。バイアス自身の議論を否定したいわけではないのだけれども、経済学の理想状態がしっくりこない。だから読んでいても面白くない。。可測なのかな、経済ってそんなに簡単に。

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2009/10/07

民主主義は有権者が非合理的な選択をすることによって失敗しているとする本書、その原因として多くの有権者は4つのバイアスにより、経済的愚策を選択すると説いている。 その4つのバイアスは 1.反市場バイアス・・・市場メカニズムがもたらす経済的便益を過小評価する 2.反外国バイアス・・・...

民主主義は有権者が非合理的な選択をすることによって失敗しているとする本書、その原因として多くの有権者は4つのバイアスにより、経済的愚策を選択すると説いている。 その4つのバイアスは 1.反市場バイアス・・・市場メカニズムがもたらす経済的便益を過小評価する 2.反外国バイアス・・・貿易の利益を過小評価する 3.雇用創出バイアス・・・ 労働の価値を過大評価し、労働の節約に反対する 4.悲観的バイアス・・・経済を悲観的に見通す である。 市場原理主義に対する不信(競争は搾取を生み出す)、過剰な保護貿易(外国排斥的な考え)、またマスメディアなどの派遣=悪の論調や、昔は良かった式の悲観論など。 そんなあたりから具体例を考えてみると思い当たるところも多そうだ。 とはいうものの、経済政策のみで投票行動が決まるというわけでもなく、またアメリカとも事情の違う日本でどこまでこの論が有効であるかは分からない。 何にしても従来の、民主主義の失敗は人々の無知によるものであるからさらに悪い非合理による選択で失敗すると言っているわけで、少なくとも経済に関して言えば民主主義というのは駄目な体制のようだ。 そこで著者は一応解決策の提示もしている。それは経済リテラシーの高いものに多重投票権を与えること(リテラシーの低いものには投票権を与えない)や"穏健"的な案としては投票率を上げる努力を減らすかやめることなどである。 バイアスがかかり非合理な選択をするという説に同意できても、こういった点で受け付けない人も多いかもしれない。(もちろん教育をきちんと施せということも言っている) それでも、選挙で何より経済問題が優先すると考えているのなら、上記を参考に自分の判断は合理的であるか、情報を求め考えてみるのも良いのではないだろうか。

Posted byブクログ