もう私のことはわからないのだけれど の商品レビュー
静かな暴風雨というか、風に舞う錘というか...。[more] 何気なさの後ろに隠れた葛藤やわだかまり、寂しさなんかが、短い文章ながらも圧倒するように迫ってくる。細かなプロフィールがその重たさにさらに加重を架しているかのようだ。
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介護をテーマとした短編集。 全て、介護をしている人間の日記というか、手紙というか、告白口調…語り口調で描かれています。 その語りが終わると、解説のような文体でどのような環境であるのかが記されています。 介護と育児の違い。 そのどちらも経験したことがない私が抱く感想は見当違いな...
介護をテーマとした短編集。 全て、介護をしている人間の日記というか、手紙というか、告白口調…語り口調で描かれています。 その語りが終わると、解説のような文体でどのような環境であるのかが記されています。 介護と育児の違い。 そのどちらも経験したことがない私が抱く感想は見当違いなのかもしれませんが、対等に向き合った過去や歴史があり、互いに語彙があり、身体が大きいことが 様々な感情を生み、けれどかつて対等にあった相手はもう、乳児のように邪気を持たず、そういう相手と対峙して、改めて己の偽善心や自己愛から目を逸らすことができなくなる。 だから、介護は時に辛く悲しいものなのかな、と。 登場人物が被介護者を見放さない理由が共通して、 形は違えど愛であることがとても救いになる作品です。
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13人の短い話、だけどそれは全部一人の話!介護している人なら誰もが感じたり体験していること。創作は話の終わりのプロフィール。その人の背景、経歴、家族の歴史。短いけどそこから長い物語が想像される。たぶん介護真っ最中の人ならかえって苦しくなって読みたくないと思うだろう。
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介護に追われる主人公の心の内を描いた短編集。家族・親族を介護しなければならない自己の状況と、本当はもっと自分の自由な時間を過ごしたいという葛藤が、淡々とせつない言葉で表現されています。 短い言葉のなかに込められたグサッと来るメッセージ。改めて姫野さんの文章の深さを感じます。各編...
介護に追われる主人公の心の内を描いた短編集。家族・親族を介護しなければならない自己の状況と、本当はもっと自分の自由な時間を過ごしたいという葛藤が、淡々とせつない言葉で表現されています。 短い言葉のなかに込められたグサッと来るメッセージ。改めて姫野さんの文章の深さを感じます。各編の終わりには主人公のプロフィールが添えられているのはかなりユニークな演出。 全般的に陰を感じる作品ですが、最終章の主人公「コメノオ・ヒカル」さん(笑)が、発した最後の言葉で勇気づけられます。
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介護をモチーフにした短編集。著者に関しては"おもしろいやりかた"をするなぁと感じることが多いけど、本作も然り。しかも本作には常ならぬ(?)柔らかさを感じた。介護を嫌だと思っている人はここには登場しない。それは恐らく現実に反している。でもそれで良いと思わせる力が...
介護をモチーフにした短編集。著者に関しては"おもしろいやりかた"をするなぁと感じることが多いけど、本作も然り。しかも本作には常ならぬ(?)柔らかさを感じた。介護を嫌だと思っている人はここには登場しない。それは恐らく現実に反している。でもそれで良いと思わせる力があった。最終話はきっと自身の体験なのだろう。
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50代女性の声が主かと思いきや、男性を含むもっと若い頃からの、介護をめぐるつぶやき。 プラスな感情ばかりではないのに、読後意外と暗くならない。 逆に共感した感情を大事にしたいと思った。
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行き詰った人の気持ちが よく表されている 他人に 励ましてらっても、ほめてもらっても、つらいです。 話しかけられることすら、辛い時があります 読んでいて、涙が出ました
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実にコンパクトにまとまった一冊で、あっという間に読了。 介護を主題して、介護をしている人の気持ちが問わず語りのように短く描かれている。 ごく普通のひとが、ごく普通に抱くような心象風景が丁寧に描かれていて、初めはノンフィクションかと思った。新聞の投書欄みたいな感じ。 ひとつひとつ...
実にコンパクトにまとまった一冊で、あっという間に読了。 介護を主題して、介護をしている人の気持ちが問わず語りのように短く描かれている。 ごく普通のひとが、ごく普通に抱くような心象風景が丁寧に描かれていて、初めはノンフィクションかと思った。新聞の投書欄みたいな感じ。 ひとつひとつは本当に短い語りなのに、時折ぐぐぐと迫るものもあって、少し泣けた。 良い作品だと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
身内の介護に従事する市井の人々の内なる想いを、著者はフィクションの力を借りて慎重に、丁寧に掬い上げる。 介護に悩む人々は決して世に珍しくはない、だが介護に身を捧げる人々の心の澱、徒労、嫌悪、悲哀、諦観、様々な感情の鬱屈する私たちの隣人の心の声を、普段どれだけ耳にすることが出来るだろうか。 言葉にならない領域に言葉を与えるという、文学の役割を誠実に熟すこの小説には、読む者の心を打ちのめすだけの力が宿っている。
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恋愛をあんなに素敵に描く一方でカオルコさんは介護も。人事には思えず、フィクッション仕立てにしたので余計に、切ない思いで読みました。
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