聖遺物崇敬の心性史 の商品レビュー
聖遺物の崇拝の歴史、聖遺物そのものと容器の関係、聖遺物の展示と集客などを要領よくまとめた本。ドイツ文化研究者らしく、西欧、とりわけドイツの記述が多い。 読んでいると、聖遺物と仏舎利の並行性が、思われる。聖遺物=仏舎利、聖遺物容器=仏舎利容器、聖遺物展観=ご開帳(これは仏舎利という...
聖遺物の崇拝の歴史、聖遺物そのものと容器の関係、聖遺物の展示と集客などを要領よくまとめた本。ドイツ文化研究者らしく、西欧、とりわけドイツの記述が多い。 読んでいると、聖遺物と仏舎利の並行性が、思われる。聖遺物=仏舎利、聖遺物容器=仏舎利容器、聖遺物展観=ご開帳(これは仏舎利という訳ではなく、秘仏とかだが) 聖遺物容器が、貴重な中身の入れ物として、聖性を顕示するために豪華である(聖遺物の従属物)から、それ自身の芸術的価値を評価されるようになるところ、内容である聖人の似姿として具象的に造形され、偶像崇拝的になっていくところは、成程と思われる。 中世における聖遺物展示で、参拝者にお土産の巡礼記念バッジが売られたり、展示品の目録として、挿絵入りカタログが作成され、その比重が文から挿絵(クラナッハ!)に移っていくところが興味深かった。
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第1章 聖遺物の力 第2章 トランスラティオ(聖遺物奉遷)と教会構造 第3章 黄金のシュライン―聖遺物を納める容器 第4章 聖遺物容器のさまざまな形態 第5章 聖なる見世物―聖遺物/聖遺物容器の人々への呈示 第6章 聖なるカタログ 第7章 聖性の転移 著者:秋山聰(1962-、...
第1章 聖遺物の力 第2章 トランスラティオ(聖遺物奉遷)と教会構造 第3章 黄金のシュライン―聖遺物を納める容器 第4章 聖遺物容器のさまざまな形態 第5章 聖なる見世物―聖遺物/聖遺物容器の人々への呈示 第6章 聖なるカタログ 第7章 聖性の転移 著者:秋山聰(1962-、神戸市、美術史)
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本書は、キリスト教世界で神聖視される、聖人の遺体・遺骨・遺灰や、聖人の触れた事物、更には、それに触れたことのあるものを、総称して、「聖遺物」と定義するところから始まるのだが、冒頭の、西洋中世の人々の「聖遺物」に対する、ある種の「執着」ともいうべきエピソードに、当初、予想していた「神聖さ」とは、大きくかけ離れているものだという印象を抱いた。 当時、「聖遺物」の「神聖さ」を保証するものは、聖人の生前も、その後も、継続し続ける「力(デュミナス、ウィルトゥス)」とされ、それが「奇跡」を生じせしめると考えられていたという。 筆者は、「聖遺物」が、次第に、「聖遺物の容器の神聖視」→「容器やそれをモチーフとした芸術作品」へと、「聖人への崇敬」から「個人のイメージの表現」へと変貌する媒体と化していくプロセスを、様々な史・資料を駆使して丹念に辿って論述する。 一般向けに分かりやすく書かれた学術書であるが、個人的には、その「聖性」そのものについての論考を期待していたことから、「モノ」を介しての「聖性」を理解することの限界を、(著者の意図は、もちろん、そこにあるのではないが)本書によって、逆に知ることになった。
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どうしてこの本を読もうと思ったのか覚えていないのだけれど、アマゾンで取り寄せてまで買ったのだから、よほど読みたかったのに違いない(笑)。 内容は、中世ヨーロッパで大人気だった「聖遺物」すなわち、キリストや聖母マリア、その他聖人や殉教者の遺骸の一部、身に着けていたものや触れたものが...
どうしてこの本を読もうと思ったのか覚えていないのだけれど、アマゾンで取り寄せてまで買ったのだから、よほど読みたかったのに違いない(笑)。 内容は、中世ヨーロッパで大人気だった「聖遺物」すなわち、キリストや聖母マリア、その他聖人や殉教者の遺骸の一部、身に着けていたものや触れたものが、どのようにして集められて、権力者や民衆を魅了したか、というようなことが書かれています。そして、それは聖遺物そのものから「容れ物」に視線が移り、やがて現代の芸術作品の展示に影響を与えていく過程が明らかにされていきます。 本文の最後のページにブラームスの猿股の写真が載っています。さて、その意味とは?
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欧州における聖遺物崇敬の歴史を記した本。キリスト教における役割や芸術的観点から非常に詳しく説明がなされている。ただ、ある程度のキリスト教の知識は必要。
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