百寺巡礼(第十巻) の商品レビュー
シリーズ最終巻。四国および九州の寺がとりあげられています。 九州では、ヤマト政権の中心地から離れた太宰府をたずね、それよりもさらに長い歴史をもつ観世音寺に、古代からの九州と朝鮮半島の関係の跡を見ようとしています。さらに長崎では、鎖国状態にあった江戸時代において、中国との交流の窓...
シリーズ最終巻。四国および九州の寺がとりあげられています。 九州では、ヤマト政権の中心地から離れた太宰府をたずね、それよりもさらに長い歴史をもつ観世音寺に、古代からの九州と朝鮮半島の関係の跡を見ようとしています。さらに長崎では、鎖国状態にあった江戸時代において、中国との交流の窓口であり、異国情緒をふんだんにただよわせる街のようすに著者の連想はおよんでいきます。 四国では、「お遍路さん」の隆盛に触れつつ、現在の日本人の心のなかにも受け継がれている信仰のありかたについての考察が展開されています。また人吉別院では、一向宗の禁制が敷かれるなかで、「隠れ念仏」と呼ばれる、信仰を守ってきた人びとのことが紹介されています。 最終巻となり終わりが近づいてくるにつれて、著者がこの二年間の旅でのさまざまな出会いや、著者をここまでみちびいてきた宿縁について振り返って語っているところもあり、一読者としてもどこか感慨深い思いになります。
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大学時代のレポート作成の際に手に取ったのかな? 自分の出身地や、住んだ事のある街の歴史、中々 他人に説明できないと思います。 寺社仏閣って、建立されて以降、ある意味、その土地を 見守ってきた歴史的建造物であり、どのようにその土地が 変遷し、現在の形になっているか、それを知る手...
大学時代のレポート作成の際に手に取ったのかな? 自分の出身地や、住んだ事のある街の歴史、中々 他人に説明できないと思います。 寺社仏閣って、建立されて以降、ある意味、その土地を 見守ってきた歴史的建造物であり、どのようにその土地が 変遷し、現在の形になっているか、それを知る手がかりに なる。 熊本・人吉の人吉別院の頁にあった、隠れ念仏の弾圧。 加藤清正の菩提寺である熊本市の本妙寺。 その他、興味深く読む事が出来ました。
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善通寺に着くと まず、有岡古墳群の中の大墓山古墳を訪れている。 善通寺駅から車で5分位走ると 突然右手に出現する大墓山古墳。 この古墳の上にのぼると飯野山が見える。 そして 「さらに、その讃岐富士から視線を転じていくと 森の向こうに五重塔がそびえているのが見えた。...
善通寺に着くと まず、有岡古墳群の中の大墓山古墳を訪れている。 善通寺駅から車で5分位走ると 突然右手に出現する大墓山古墳。 この古墳の上にのぼると飯野山が見える。 そして 「さらに、その讃岐富士から視線を転じていくと 森の向こうに五重塔がそびえているのが見えた。」とある。 ここにある古墳群の多くは 空海の家の墓であると考えられている。 この大墓山古墳のすぐ南にも 宮が尾古墳があった。
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百寺巡礼の旅も遂に最終巻で私の故郷の九州へ。 どんなお寺を巡るのか楽しみにしていたのだけど、なるほどまだまだ知らない場所やお話は沢山あって、最初の巻にあった新鮮な感嘆は最後まで途切れることなく。 お遍路さんを見ては、『人はなにもかも自力のままに行動するのではない』という、「縁」と...
百寺巡礼の旅も遂に最終巻で私の故郷の九州へ。 どんなお寺を巡るのか楽しみにしていたのだけど、なるほどまだまだ知らない場所やお話は沢山あって、最初の巻にあった新鮮な感嘆は最後まで途切れることなく。 お遍路さんを見ては、『人はなにもかも自力のままに行動するのではない』という、「縁」とか「他力」の不思議さ大切さに思い巡らせ、「隠れ念仏」の口伝には人吉の地に埋まっている多くの人々が紡いだ歴史の痛みが知れる。 そしてこれまでに何度も出てくた神仏習合に対しても、『巨木や巨石や山や海などに対する畏怖と尊敬の念のなかから自然に育まれてきた』日本人の神の意識と中国大陸や朝鮮半島から伝来した仏教の自然な融和について、仏の里であり神の里でもある国東半島で改めて感じ入る。 そして第百番・羅漢寺の岩窟のなんと印象的なこと。 室生寺の石段から始まった巡礼の旅も羅漢寺の石段にて大団円。 私の旅はこの文庫を持って筆者の後をなぞる今から始まる。
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