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フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白 の商品レビュー

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2025/01/24

歴史への証言と取るか、言い訳と取るか…。

大東亜戦争末期、B29による高高度からの日本への無差別絨毯爆撃を提案したのは、最年少でハーバード大学助教授と成った、当時陸軍中佐の彼だった…。
確実性を重んじる余り、全てを数値化する事によって政策化する彼のやり方は最終的に《ベトナム戦争の泥沼化》まで引き起こす結果と成った。...

大東亜戦争末期、B29による高高度からの日本への無差別絨毯爆撃を提案したのは、最年少でハーバード大学助教授と成った、当時陸軍中佐の彼だった…。
確実性を重んじる余り、全てを数値化する事によって政策化する彼のやり方は最終的に《ベトナム戦争の泥沼化》まで引き起こす結果と成った。
勿論、キューバ危機など奏功した政策もあったが、彼の〈事象を数値化して評価するやり方〉は、例えば“数値化する事で警察の検挙率向上を掲げれば現場の警官たちは軽微な犯罪ばかり捕まえるように成り、逆にもっと大きな悪とは対峙しなくなる”と云う『マクナマラの誤謬』と云う言葉をも生み出した人物でもある。
この作品は、そんな彼が晩年、自分の行ってきた施策や歴代政権の施策について、元国務長官の立場から振り返って語った証言ドキュメンタリー映画である。
胸を張って成果を強調する場面も有れば、「あの時点ではそうする他無かった」と言い訳めいた発言をしている部分もある。
確かに〈米ソ冷戦時代〉を戦った国の中枢に居れば、その中の特定の個人に対して単純に善悪や責任を言い募る事は不可能だ。
しかし、冒頭の記載が示している様に、立ち位置さえ変われば恐ろしい敵にも力強い味方にも成る、これが国際社会の中での冷徹な政治なのだ。
情緒的な日本人には受け止め難い部分も有るだろうが、厳しい国際社会の中で伍していくには、これぐらいの狡猾さが必要なのだという事を教えてくれるには、貴重な証言集だと言える。
ただ、ハーバード大助教授⇒フォード社長⇒国務長官と駆け上がった前半生に比べ、泥沼の冷戦時代に浸かった後半生はとても晴れ晴れとした生き方ではない事が、彼の言葉の端々からも感じられ、最後まで「自分の過ちだ」とは言わないものの、歴史という法廷でどう裁かれるのかは覚悟している様な、年老いて弱気に成っている姿を見ると、何とも言えない感慨に襲われた。

単純に「戦争反対」「平和が一番」しか言えないような幼稚な人達にこそ、この作品の視聴をぜひ薦めたい。

左衛門佐